第3話

ドアを開けると先に来ていたクラスメイトの視線が一瞬俺の方へ向く。だが興味がなくなったのか、直ぐにこちらに視線を向ける人はいなくなった。


まぁ俺みたいな普通の高校生には興味ないよな。もしイケメンだったら声をかけられたりしたんだろうが。


クラスのカーストはイケメンを中心のグループと、可愛い女の子を中心なグループは必ず上位のカーストだ。


俺の様な陰キャと陽キャの間みたいな奴はカーストの中間ぐらいだろう。


まぁそれがいいんだけどな。


黒板に貼られている席順の紙を見て自分の席を確認すると、窓際の一番後ろだった。


ラッキーと言いたいところだが、位置的にはあまりよくない。一番後ろの席は教卓から丸見えだからだ。例えばスマホをいじったりしていても直ぐにバレるのが一番後ろだ。逆にバレないのが一番前の窓側だ。


一番前とは言わなくてもせめて真ん中ぐらいが良かったな。


「はぁ。仕方ないか」

「何が仕方ないんだ?」

「うわぁ!」


後ろから急に声をかけられ驚きながら後ろを振り向く。


そこにはイケメンそうな、いやイケメンな茶髪の男がいた。


「急に声かけないでよビックリしたじゃないか」


少し嫌味を含めて言う。


「悪い悪い。まさか声が出るぐらい驚くとは思わなかったからさ。悪かったて」


まるで反省して無そうに手を合わせて謝ってくるイケメン。


「はぁ……これだからイケメンは」

「お、俺の事イケメンだと思ってる?分かってるじゃないか」


そう言って俺の肩をバシバシ叩いてくる。


「……やめろよ。痛いじゃないか」


イケメンの手を肩から払い除けて睨む。


「おいおいそう睨むなよ。本当に悪かったて………な」

「………別に反省してるないい」

「そうか!許してくれるか!お前本当に良い奴だよな。特に俺の事をイケメンと分かっているのは好感度高い」


さっきも思ったんだが、コイツまさかナルシストでは?


「今ナルシストだと思っただろ?」

「思ってない」

「いや!絶対思ったね!でも残念。俺はナルシストではない!スーパーナルシストだ!!」

『………』


少し騒がしさもあったクラスがシーンとなる。


よし。確か入学式は10時からだったよな。それまでにしないといけない事はあったけ?


そんな事を考えながら自分の席へ向かう。


「おいおい待ってくれよ」


確かこの後担任の先生が来て――


「友よ。何処か調子でも悪いのか?」

「………」


俺は無事自分の席を見つけて座る。そして何故か目の前には中二病イケメンが座った。


え、待って………まさか中二病イケメンが前の席とか言わないよね?頼むよ神様!嘘だと言ってくれ!!!


「友よ。本当に大丈夫か?体調悪いなら保健室に行くか?」

「………大丈夫だ」


心の中から何とか言葉を絞りとり答えた。


「そうか。まぁ本当に体調が悪かったら遠慮なく俺に言えよ」

「………それはやめとく」


…………最悪だ。普通の高校生として過ごそうと思っていたのに、いきなりクラスの注目を浴びてしまったし、前の席は中二病イケメンで頭のおかしい奴だし………………………終わった。


サヨナラ俺の高校生生活。


「そう言われたら自己紹介がまだだったな。俺の名前は田口陽介だ。宜しく」


自己紹介をされ握手を求められる。


「………神楽坂京介だ」


俺も名前だけ言い適当に握手をする。


「おう!宜しくな京介。これからは席も前後ろだし仲良くやろうぜ」

「………そうだな」


前の席はヤバい中二病イケメンだったが、隣の席の人ぐらい頼むからまともであってくれ。


手を合わせて神に祈っている。


「ん?何で急に手なんか合わせてるんだ?」


うるさい!そもそもどうして苗字が田口なのに席が俺の前なんだよ。か行の方が先なのに可笑しいだろ。一体どんな席の決め方をしているんだ?


そんな事を考えていると中二病イケメンのせいで少し静かになっていたクラスが、また騒がしくなった。


みんなドアの方を見ているので、俺も見てみるとそこには、信じられない程の美少女が入ってきたからだった。



後書き

評価宜しくお願いします。

今年も今日が最後。来年も宜しくお願いします。では良いお年を。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

どこにでもいる普通の高校生の俺が、学年一可愛い美少女と付き合える訳がない こたろう @marimo0214

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ