第23話 幼馴染から恋人になる二人
舞葉が……一番の女優になって……俺と、結婚したい……?
それが、舞葉の夢……?
俺が、舞葉から告げられたことに全く頭が追いついていないでいると、舞葉は少し間が空いて自分の言ったことを認識し出したのか、顔を赤くして言った。
「ち、違っ!い、今のは────」
そう言って言葉を続けようとした舞葉だったが、首を横に振って、顔を赤くしながら俺に近づいてきて言った。
「今言った通りだよ!私は飛隣と結婚したいって思ってるぐらい飛隣のことがす……好き、なの!好きなの!!先に言っとくけど異性としてだからね!!飛隣のこと異性として魅力的に感じて、異性として好きになってるんだからね!!」
「待ってくれ、頭が追いつかない……ま、舞葉が俺のことを好き?異性として?」
「そう!!」
「それなら、たとえば俺が舞葉に恋愛感情を持ったとしても、舞葉の夢の邪魔にはならないのか?」
「ならないから!!」
「じゃあ、舞葉は俺と幼馴染としてじゃなくて、恋人として付き合って行きたいってことか?」
「そう!そうだよそう!!私は飛隣と恋人になりたいの!!」
……当然だが、舞葉はこんなことを嘘で言ったりしないし、俺の前では演技ができない舞葉が、ここまで顔を赤くして感情を込めてそう言っている。
つまり……今俺は、舞葉から告白されている。
だからあとは、俺が返事をするだけだ。
……舞葉が女優になると言い出してから、俺は舞葉と恋愛することを諦めた。
それは、舞葉の女優になるという道で、俺の恋愛感情は確実に邪魔になると思ったからだ。
あの時はまだそこまで恋愛というものを理解できていなかったからどうにか諦めることができたが……高校生の俺に、またもそれが巡ってきた。
あの時は諦められたが、もしその気持ちを諦めなくても良いなら俺は────今度はもう、絶対に諦めたくない。
「わかった、舞葉……ただの幼馴染は今日で終わりだ、今日からは────恋人になろう」
「え、本当に!?」
「本当だ」
「あの飛隣の口から私と恋人になるなんて言葉が出るなんて、信じられない……これ、夢じゃないよね?」
「夢じゃない」
俺がそう言うと、舞葉は頬に涙を伝わせながら言った。
「そっか……私、本当に飛隣と恋人になれたんだね……ずっと、ずっと飛隣のこと好きだったんだよ?私、それなのに飛隣は、勝手に私の夢勘違いして、私のこと恋愛対象から勝手に外して……」
「悪かった」
「それだけじゃ済まないから!バカ!!私がどれだけ苦しんだと思ってるの!!……でも」
舞葉は今までの積もり積もった思いを叫ぶと、俺のことをゆっくりと抱きしめて言った。
「今日からちゃんと、私のことを幼馴染じゃなくて異性として愛してくれるんだったら許してあげる……」
「恋人になったからには、俺だってちゃんと────」
「信じれない」
「……え?」
「信じれない!だってあんなにアピールしてたのに私の気持ちに気づかなかった飛隣だよ?異性として愛するって言っても、どうせ歩く時とかに今までよりもちょっと肩寄せるとかだけで勝手に納得しちゃいそうじゃん!私そんなのじゃ満足できないから!」
「俺のことをなんだと思ってるんだ……でも信じてもらえないのは今後大変そうだから、俺たちが恋人になったことの証に何かするか?」
「な、何かって、キ、キスとかってこと……!?」
「口に出されると恥ずかしいけど、それでもいい」
「べ、別に飛隣がどうしてもって言うんだったら?私はそこまでしたいわけじゃないけど────」
舞葉はいつものようにそう言いかけたところで、一度言葉を詰まらせてから言った。
「……嘘、したい!キス、しよ!」
「素直だな」
「飛隣のことを異性として好きじゃないっていう演技、しなくて良くなったから……もう、隠さないよ」
「……そうか」
俺たちは互いに体を抱きしめ合った。
すると、舞葉は頬を赤く染めながら照れたように言う。
「い、言っとくけど、私恋愛系のやつは、演技でも飛隣以外と恋愛するのが嫌で断ってきたから、キスシーンとかも経験したことないし、普通に生活しててもキスとかしたことないから、これが初めてだからね?」
「わかった……ゆっくり、だな」
その後、俺と舞葉はゆっくりと顔を近づけていき────最後には、互いの唇を重ねた。
今日から俺たちはただの幼馴染じゃない、互いに愛し合っていく────恋人同士だ。
今重なっている唇に、俺はそのことを誓った。
◇
昨日で、この作品が連載され始めてから三週間が経過しました!
毎話ごとに日を追って読んでくださっている方々や、一気に読み進めてくださっている方々にも感謝しかありません!
もしこの作品を読んでいて楽しいと思ってくださった方が居ましたら、その気持ちをいいねや星、コメントなどで教えていただけるととても嬉しいです!
物語も終盤ですが、このまま最後まで楽しくこの物語を描かせていただこうと思いますので、読者の皆様も最後までこの物語を楽しんでくださると幸いです!
最後までよろしくお願いします!
◇
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