第16話 遊園地を楽しむ幼馴染
「舞葉、今日の放課後、もし暇だったら一緒に出かけよう」
「……え?……今、なんて?」
「だから、もし暇だったら一緒に────」
「えええええ!?ひ、飛隣からお出かけの誘い!?」
珍しいことではあるが、俺が家に誘った時もそうだったがそこまで驚かれると俺の方が反応に困るな……だが、俺が誘っている側であるため、俺はその困っている感情を表に出さずに言った。
「あぁ、前に俺が舞葉のことを全然わかってないって言われたから、舞葉と一緒に出かけて理解を深めようと思ってな」
「飛隣が私のことをわかってないところの理解を深めるんだったら、別にわざわざ出かけたりしなくても……」
「なんだ、出かけなくても良いのか?」
「う、ううん!?で、出かける!出かける出かける!うん!出かけないとわからないかも!今急にそんな気がしてきたよ!ど、どこ出かける!?」
いきなり態度が変わったことに少し怪しさを感じた俺だったが、舞葉に対する理解度を深めるという点で一緒に出かけるというのは悪くないことのはずだ……そして、舞葉と出かける場所はもう決めている。
「遊園地だ」
「ゆ、遊園地!?え!?嘘!?ひ、飛隣と……ゆ、遊園地!?小学生ぶりだよね!?え〜!!」
俺が一言話すたびにこんなにもオーバーなリアクションをされるのは勘弁してほしいところだが、嫌という様子は全くなく、反対に嬉しいという表情をしているからそれはそれで良いだろう。
「ま、待って待って、私、心の準備が……!」
「準備……?もし今日が不都合なら別に明日とかでも────」
「今日!今日!!もう明日までなんて待てないよ!!今日ね!!」
「舞葉がそれで良いならそれでいい」
ということで、学校が終わると早速俺と舞葉は一緒に遊園地に向かった。
……平日の放課後の遊園地というのは意外と人が多いようで、入場ゲートの時点で人がかなり人が多かった。
「人が多いな、舞葉、一応俺の腕掴んでてくれ」
「え、え!?ま、まぁ?ひ、飛隣がどうしても私に腕掴んでて欲しいって言うんだったら掴んであげなくもないけど!?」
「どうしてもだ、はぐれたらお互いに困るだろ?」
「……じゃ、じゃあ」
舞葉はその控えめな声音とは裏腹に、結構しっかりと俺の腕を掴んできた。
しっかりと、と言うのは力が強いと言うわけではなく、俺と絶対にはぐれない……もしくは、俺のことを離さない、そんな意思を感じるほどだった。
その後、俺たちは出来上がっていた列に並んで入場ゲートを通ると、早速絶叫系のアトラクションに向かった。
「飛隣、小学生の時絶叫系のやつ乗って泣いてたよね?」
「泣いてない、ただ舞葉に付き合って五回も連続で絶叫系の乗ったのはバカだったと思う……涙目にはなったな」
「涙目じゃなくて泣いてたよ?」
「泣いてない」
「泣いてた!」
そんなことを言い合っていると、絶叫系アトラクションの場所に着いたため、俺と舞葉は早速それに並んで、思いの外すぐに俺たちの番が回ってきたため、俺と舞葉は一緒にそれに乗り込んだ。
「もし終わった後で泣きたくなったら、泣いてもいいよ、私が抱きしめながら慰めてあげる」
「ふざけるな、誰が泣くか」
そして、数分間頭から足元にかけて揺らされまくった俺は……
「かなり疲れたな」
「飛隣いっぱい叫んでたね〜!」
「絶叫系は叫ぶものだろ?」
「そんな冷静な感じの叫びには聞こえなかったけど〜?」
舞葉はニヤニヤしながら俺のことを見ていた……この状況自体は屈辱的だが、舞葉が楽しんでくれているならそれで良いか。
その後、別に俺が疲れたからというわけではないが、俺と舞葉は休憩としてドリンクを買いに行くことにした……俺が疲れたからということでは決してない。
そして、その道中……
「視線を感じるな」
「私一応人気女優だからね〜!どう?私みたいな人気女優と二人で遊園地に行ける感想は!」
そう聞かれた俺は、常に思っていることを口にした。
「どれだけ舞葉が人気になったとしても、俺にとってはいつまでも幼馴染の舞葉だから、何も変わらない」
「……え?」
俺がそう言うと、舞葉は立ち止まった……かと思えば、暗い表情で呟いた。
「何、それ……」
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