第4話 嫉妬する幼馴染

 土曜日の朝、インターホンが鳴ったので玄関のドアを開けると、そこには舞葉が居た……当然、今日は俺の家でアニメと舞葉の出ている映画を観ると約束していたからだ。


「来たか、入ってくれ」


 そう言って舞葉の方から家の中に振り向こうとする俺のことを、舞葉は俺の腕を掴むことで全力で引き止めるように言った。


「待って待って!飛隣の家久しぶりだからってちょっと気合い入れてこの色白な脚出してきてあげたのに無反応ってどういうこと!?あといつも思うけど、私服ぐらい褒めてよね!」

「脚、私服……」


 確かにミニスカートを履いていて足がかなり出ていて、そして服も白を基調としたとても良い感じの服を着ている。


「似合ってる」

「わ、私が何も言う前にそう言ってくれてたら嬉しかったけど、今更そんなこと言われたってう、嬉しくないから」

「顔が赤いのは気のせいか?」

「き、気のせいだから!ほら早く入るよ!」

「舞葉が止めてき────」

「あ〜!うるさいうるさい!」


 強引に俺のことを押してくる舞葉と一緒にリビングに向かうと、一緒にソファに座って、早速俺は舞葉にアニメというものを観てもらうことにした。


「舞葉、大前提で言うけど、アニメは全部が全部可愛い女の子が胸揺らして踊ったりするわけじゃないからな」

「じゃあ、可愛い女の子が可愛く変身して、悪いやつ倒したりするやつとか?小さい時ちょっとだけ見た気するけど」

「そういうのもあるけど、かっこいいバトルものとかもあるんだ」


 ということで、早速そのバトルもののアニメの第一話を舞葉と一緒に観てみることにした……このアニメは、最初に主人公の夢が語られ、悪戦苦闘しながらも強くなっていくという物語のようで、早速最初から主人公のバトルシーンが描かれている。


「すごい迫力……!」

「あぁ、アニメにはこういう感じのもあるんだ」

「そうなんだ……言われてみれば可愛い女の子が胸揺らして踊ってるだけなはずないよね」

「そこは本当に反省してくれ」


 その後もアニメを見進めていると、綺麗な女の人が出てきた……おそらくこのアニメのヒロインだろうか。

 一体ヒロインがこの主人公と主人公の夢にどう関わってくるのか……第一話も最終盤となったところで、その二人の関係が────というとても良いところで、何故かアニメ映像は止まった。


「あれ……?どうして止まったんだ?」


 もしかしたら何かの不調かもしれないと思った俺だったが、よく見てみると俺の隣に座っている舞葉の手にはリモコンが握られていて、その手には停止ボタンが押されていた。


「舞葉……?どうして止め────」

「確かに、飛隣の言う通り、私が思ってたアニメ像とは全然違って、この話もちゃんと観ていけば面白いと思う……でも!」


 舞葉はソファから立ち上がってテレビの前に立つと、そのテレビに映っているこのアニメのヒロインキャラの体を指差して言った。


「何この体つき!こんなの、飛隣にはまだ早いっていうか……ひ、飛隣はこんなの見たらダメ!」

「体つきって……確かにすごい体つきかもしれないけど、今はそれよりも物語────」

「目閉じて聴くのは良いけど、見るのはダメ!もしどうしても見たいんだったら、私が────は後だった……!えっと、と、とにかくダメ!つ、次は一緒に私のでてる映画観よ?DVD持ってきたから!」


 そう言うと、舞葉はどこか焦ったようにバッグからDVDを取り出して、それをディスク入れに入れた……後?

 舞葉が何を考えているのかはわからないが、とりあえず一応舞葉と一緒にアニメを観ることはできたから、次は約束通り舞葉と一緒に舞葉の出ている映画を観ることにしよう。

 舞葉の出ている作品は、初めて舞葉がテレビに出たドラマ作品、それも一言ぐらいしか喋っていなかったため、ほとんど初めてみるな……とはいえ、この舞葉に演技なんてできるわけがないから、そこだけは頭に入れておかないといけないな。

 そんな心構えで舞葉の出ている映画を観た俺だったが、舞葉が出てきて一言セリフを言った時、俺は度肝を抜かれた。

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