<Bクラス、不安な声が広がる>

 Bクラスの生徒が一人欠席したという点で生徒の話題は持ち切りだった。もちろん、生徒が体調を崩して休むというのはごく普通の話だが、生徒が何の連絡もなしで3日間休むというのは新学期早々、初めての話だった。


「あの子だよ、ほら勉強全然できてなくていつも先生に聞きに行っていた子」

「あ~麻子ちゃんね、でも何でかな?」

「知らないけど、勉強に行き詰って家にこもってるんじゃないの?それか学校に行くのが面倒になったとか?」


 こんな話題がBクラスの中で広がって行き、授業が始まってからの休み時間はそんなことみんな忘れて話さなくなっていた。……というより、 みんなの興味が無くなっていたというのが正しいだろう。ここは実力がもろに出る学校、そんなことを気にしても自分が落ちない限りごく普通に受けいれられることであった。


「みんな落ち着いて勉強には励んでね!次の時間は実習だから各自自分の苦手な勉強をするように」


 舟志薪音はみんなにそう伝えると何事もなかったのように生徒と対面し、軽く数学の説明しているのであった。Bクラス以外の生徒間ではBクラスの話題は出てこなかったものの、担任の先生たちにはずっと残る疑問であったことは間違いない。

 授業が終わった放課後もBクラスで噂話が数人の中で広まって、みんなの想像や妄想だけが膨らんでいき、一気にBクラス内での勉強での集中度が高まる。


「勉強につまづいたら、ああなるんだね。私たちもしっかりしなきゃ!」


 舟志薪音が見渡すと、生徒がじっくり問題と向き合っている。その光景を見て慢心の笑みがこぼれ出し、その場は舟志先生が望む方向へと進んでいった。

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