<高校への新生活>

 私は学校に行き、中学と同じように学校ではゆったり目に過ごす。でも、そう簡単にいかないことが起こった…………そう、この学校の位置づけだった。

 ちなみに定期テストを落とすと退学になる。定期テストまで2ヶ月しかないのにどうしろというのだろうか?私はこの現実と向き合うのにただ疲れたの?いや、ただ私は活動する気力が人より限定的なんだと思ってる。

 前にアニメのキャラクターにあこがれを抱いて「私もこんな風に振る舞えたらな~」と思ったことがある。

 もちろん、そんなことできるはずもなく、学校では真反対な性格をしてる。つまりは誰かとあんまり関わらないタイプってこと。誰かとわいわいしゃべるなんて私にそんなことできない。すぐ興味ないってぼろが出て、見放されるに決まってる。だから、あんまり誰ともつるんではいなかった。今はそのおかげで高校での学校生活で苦労してる。私が普通に他の人にやさしく、気楽に話すという事ができるのかあんまりわかんないんだけど、取りあえず、次の2か月後のテスト、まずはそこから!


「今日の授業はここまでです。金曜日は小テストをしようと思うので今までの復習を忘れずにお願いします!じゃあ、終了~お疲れ様~」


 舟志薪音のクラス、Bクラスの授業が終わり生徒が先生の周りに集まっている。まあ、舟志先生は生徒に好かれやすいタイプなのだ。

 それはさて置き、それぞれのクラスが終わり水曜日の何もない放課後となる。先生たちは2,3年の担任と同じく会議に足を運んでいる。クラスのみんな、特にEクラスはあまり活気良くないと思われるだろう。それも授業が終わった瞬間3分の2が帰ってしまうのだから。

 それ故、同じクラスで普通に話し合っている生徒が2,3組しかいない。もちろん、雨音理沙も一人静かに行動している。


「テスト、テスト前ってどうやって勉強してたっけ?あれ、取りあえず0点取らないようにがんばろっ。いや、25点以下で赤点サヨナラだったんだ~~はぁ~どうしよ、これじゃ一つもまともに点数取れないよ」


 相当焦っている。それもその通りで雨音理沙という人物は勉強に対してのやる気というのが、ほとんどゼロなのだ。中学ではアニメにハマり、定期テストでは半分取れたらもういいと考えていた。アニメの世界に入り込んでそれ以外の事を厳かにしてきた、だから……。


「やばい、中学より全然むずいし早いしおまけに範囲が多いよ!なんで、もうちょっと軽い内容にしてくれないの!はあ、後2ヶ月か~これって短いのかな」


 時は一行にすぎていくがその感覚を理沙はまだ知らない。


「どっちみち、図書室に行くし、ついでに探そう」


 自分なりに調べて学習はしているものの、時間がかかりすぎて、全然宿題

 に時間が費やせない。


「あ~、問題が多いよ~何からすれば、でも中学の頃はできていたのに!」


 中学とはどうも授業背景が違うらしい。そのせいで今まで簡単にできていたことが、できなくなっている。これはかなり、マズいことだ。試験は2か月後、その授業形式に慣れるには1か月は彼女には必要だ。それから、1ヶ月でテスト。2か月分を必死に全部覚えようと思うと到底間に合うとは思えない。


「何かいい方法ないかな?……もしかして、私今まで真面目に授業受けていなかったからなのかな?」


 いろんな過去の光景が頭をよぎるが、解決することなく時間だけが過ぎていく。そして、勉強できない時間がさっと過ぎてゆく。

 取りあえず明日がんばろうと、そうすれば何とかなると思い込み次の日を迎えた。

 次の日、木曜日私は真面目に集中して授業を受けることにした。それで、昨日はアニメや漫画で遅くならないように控えて0時に寝た。


「よし、今日は集中できている人が多かったように思えます。このまま試験日まで頑張りましょう!」


 亜白木はそう言いホームルームを終わらせ、颯爽と教室を出ていった。何かの業務でやるべきことがあるのかただの私情かもうそんなこと多数の生徒にはどうでもよくなっていた。ただ雨音に関しては……。


「何であんなに急いで出ていったんだろう。それより、疲れた~~~」

 授業を集中して受けるのがこんなに疲れることだったとは思いもよらずぐったりしていた。


「何でこんなに疲れるのって、私が自堕落してたせいだよね~これ」


 自分の事はちゃんとわかっている。だけど、直せない…………それがEクラスに振り分けられた1つの原因だと思った雨音理沙だった。


「でも、やらないと、置いてかれちゃうよ?」


 突然耳元でささやかれ、うわっと反応した雨音は仰け反いた。改めて上へ振り向くと隣には、Bクラスの先生、舟志薪音がにっこりした顔でこっちを見ていた。私は途端に、ぎょっとしたけど、何か言いたそうな表情だったからそのまま流した。


「え、私先生のところって行きましたか?すいません、覚えがないんですけど……」


 「私は何を言ってるんだ!」と思ったけど、何も付け足さずに先生の返事を待ってみた。でも、やっぱり他の担任の先生にまで話すようなことはしてない、そもそも何で私?


「あっ、ごめんね~。ところで先生何言いたかったんだっけ?」

「いや知らないですよ。そもそも、何で私なんかに話しかけてくるんですか?」


 舟志先生は首をかしげながらこう言った。


「だって困っている子を助けるのに迷う事なんてあるのかしら、ほら一様先生だし!」


 いや、そんなことは分かっている。でも、唐突すぎて情報が整理できないしこの状況が少し飲み込めない。


「先生ね、迷っている人に声かけてるの。今日はたまたまあなただっただけ」

「いやそうなんですね、少しびっくりしました。今日は先生暇なんですね」


 先生は少しムスッとしながら「たまたま空いてたんです、いつもは暇じ

 ゃありません!」そうして、手をつかまれ図書室へ。

 何で私に構うのと思いながらも図書室に行ってみると、ここは普通の図書館とは違った。何というか図書館なんだけど中学校や市の図書館で見るものとは見た目が違う。私が全然図書館に行ったことがあまりなかったということもあって新鮮な空気感を感じた。ちょっとだけ、ワクワクという気持ちを持ちつつもやはりできなかった……………………集中が。先生が勧めてくれた参考本を見たが意味が分からない。どれだけここに居ればいいのかという苛立ちもあった。


「私何もわかってないんです。どうやっても、理解することができなくて」


 舟志先生は私の顔を見てこう言った。


「勉強なんてすぐ忘れちゃうもの覚える努力をしないとテストを落とさないぞって気持ちで頑張ればいいのよ」


 私はド正論を言われて現況に対するやる気をなくし掛けた。でも、この環境は静かに本を読むという以外にもおもしろい使い道があり、ガラスの向こうでその様子を眺めていた。

「会議中、あれ、でも全員が私と同い年くらい?」

「そう、ここでは話し合って課題を進められるトーキングルームがあるのよ」


「は?」と私は思ったのも普通にしゃべって勉強したいなら教室か生徒個々人の家でやればいいのにと。だいたい図書館に課題の答えがある訳じゃないのに。


「あ~もしかして、答えないのに無駄とか思ってない?答えなんかはないけどそれに関連した問題はたくさんあるんだから!例えば次のテストの問題に似た書籍やここでは一対一もしているんだよ~」


  仮にも一対一でやるとしてもカップルぐらいしか…………。


「つまりで先生と生徒で個別学習ができるの」   

「え?そんなことで先生を使えるんですか?」


 舟志先生は首を傾けながら「それで生徒が理解してくれるなら楽なものよ」と言い切った。

 それから私に向かって困った顔をし、仕方なく言おうかという表情で距離を詰めてきた。


「それに先生を使うという表現をあまりよろしくないと感じるわ!先生は道具じゃないのよ。も~~~」


 私もちょっと申し訳ない気持ちになりつつ、先生の機嫌を損ねないよう

 にした。私だって先生と仲が悪くなるのは避けたい。


「でも、あなたはまずこないだの問題よりも前の中3ぐらいからの方がいいかもしれないわね」


 「え、なぜ中学の問題を解かなきゃいけないの?」と素で聞いてしまった。明らかに今の授業に手が付けられていないのをこの先生は知っているのだろうか?


「そりゃ基礎はもちろん中学校の問題を出来るから高校の問題もそれにいろいろ合わさって難しくなるものよっ」


 そう言って舟志先生は少し厚い本を手渡してきた。中を見るとひたすらに中学3年までの5教科がびっちり敷き詰められていた。


「まずは何が苦手~って言うところから見つけてこ!」


 先生はそのまま業務があるからと言って去って行ってしまった。じゃあ何でこっちまで来たんだろうと思いながらもその本を渋々借りていった。


 「まず何が苦手って言っても……私全部の科目、苦手じゃない⁉」


 どの科目も10分の1しかできていなかった。まあ、どの科目もそこまでよくはないし、悪くても半分ぐらいの点数は取れるかもと思っていた自分が間違いだった。全然ていうレベルじゃない、もはやリセットボタンを押したようなものじゃない。


「明日先生にいろいろ聞いてみようかな?舟志先生部活の顧問やってたりするのかな?」


 私の力じゃどうしようもないし、後1ヵ月後にはテストだってある。考えただけでもう………………よし、もう考えるのはやめよう。


「何とか覚えてテストまでに完成させれば問題ないじゃない。後は推しのライブ確認しておかないと。」


 次の日も勉強で先生は変わらず担任の亜白木っていう優しそうな先生。でも絶対あの先生は何か熱意の塊みたいな感じに見えるけど、実は「何でこのクラスの担任になったんだ!」って生徒を憎んでそうなタイプだと思う。あまり近づきたくないな~。教えてくれてもじゃあ今度は自分でやってみようかって言ってその後も全部解かせてくるに違いない。

 最悪、答えが全く分からないんですみたいに訴えれば何とか全部教えてくれると思うけど、その結果「いろいろ勉強しなきゃ点数取れないよ」って言われて、努力しようって笑顔で返されるだけだと思う、私の想像だけど………………。

 パソコンを開くと気分が少しは晴れた気がする。このままテストも楽に終わってくれればいいのに。


「はぁ~、いや私だってできればAクラスやBクラスみたいに頭が良かったら何も苦労してないのに今までの何がダメだったの?」


 考えるだけ無駄なことに変わりわない。ただ一筋にアニメやアイドルを推していただけなんだって、そういう人生を送って何が悪いのと言いたくなる。


「明日って確認試験的なものあったっけ、そう言えば。まあ、そこでだいたいわかるでしょ、試験勉強もそこから計画立てたらいいし」


 次の日には生徒の半分が30分前に登校し、その半分がいつも通り来たという朝のホームルームでの緊迫感とも言えるものが今伝わってきた。私にはただのせかしや嫌味のようなものにしか聞こえなかった。


「先生として言うと君たちの今後を決める試験だからどうかこの試験だけはしっかりと取り組んでほしいんだ。これでホームルーム終わり、後は自由に!」


 確認試験が始まり、問題とにらめっこしている。


「全然わからないじゃんこんなの⁉」


 周りの女子たちからはそんな声が聞こえる。実際この問題を解いていても全く分かんない。計算問題にしろ読み取りの問題にしろそこまでひねった問題は出てこないだろうと思ってたけど、ふたを開けてみれば・・・全然手が進まない。


「えぇっと、これはここにあてはまるから~いや違うなあ?う~ん、全然解けない」


 結果終わった頃にはEクラス全体の顔は唖然としていた。


「これで予測試験・通称確認試験は終わりです。このテストを定期試験に活かせるように頑張ってほしいからテストの問題用紙はこちらでは回収しません。忘れ物がないように帰ってくださいね」


 先生が黒板前でしゃべり終わると同時にほとんどが下駄箱の方に向かっていった・・・。 

 私は別件があるからBクラスの前で待つことにした。


「これでいいですか?たぶん、全部集め終わったと思います」

「あぁ、ありがとね~物凄く助かった!また今度先生の仕事手伝ってくれたら……うれしいな?」


 先生とBクラスの生徒かな?その2人がしゃべってる様子が見えて初めて先生が私に気付いた。


「先生、自分の仕事はなるべく自分でやってくださいね、じゃあ」


 先生が困り顔をすると少しため息をついてその生徒は教室を出ていった。


「すいません、ちょっと早かったですか?」


 舟志先生はそんなことないと手を左右に振り、すぐ否定した。


「いや、こんなに早くきてどうしたのかなと、まさかだけど、全然できなかったとか………………テスト」


 やっぱり先生にはわかってたことかな、私の努力ではどうにもならないから、先生に頼ろうとしたんだけど、やはりダメみたい。


「ごめんないさい、やっぱり帰ります。先生に迷惑かけたくないし、業務残ってると思うし、先日はありがとうございました」


 そう言った矢先にすぐに引き留められる。先生の目は困ってるというよりは少し同情の目をしていた。


「この間はただ声を掛けただけなの、もし本当に困ってるなら、先生を頼って、ね?」


 舟志先生はそれに加えてこう言ってきた。


「私たち女同士なんだから担任の先生よりかは話しやすいと思うし、わからない点を解決して早くテストに活かせたらそれでいいわけだしね、今日から少しずつ解決していこう!まず何の教科をやろうか~一番苦手なのは何?」


 そんなこと言われてもと、モジモジしていると舟志先生に手をつかまれ、そのまま図書館に直行した。


「全部わからないなら、いろいろ読んで覚えていくしかないわね、手始めに国語よ」


 そこから数時間みっちり、まとめの時間に入ったというものほとんど整理できず、帰って自分のベッドにダイブした。


「あ~う~わからないよう、面倒くさいし、もういろいろと疲れた」


 寝てから気付いた。何の教科をやろうとしても活動意欲がわかない。集中できないんじゃない、この状況に置かれたことEクラスにおかれて尚そこから這い上がるのを期待されていることに参っているんだ。


「こんなことになるなら元からやっておけば………………」


 いやそんなことを悔やんでも仕方ない。今までやって来たことを再確認するだけだから。自分の見たいモノのために一生懸命頑張らなくちゃいけない。でも、もしこの期間内に全然覚えきれなくて自分の今後、試験の結果を見て退学するのだとしたらこれまで通り普通の暮らしを送って行けるのだろうか?疑問が段々と実感に変わっていく。ここまで普通の学校生活だったものがこれからは必死で崖から落ちないような生活になる。私はこれから何をすべきなんだろうか?何もしないなんて選択肢はない。だったら少しでも定期試験のため、今後の学校生活のために食らいついてやる。


「久しぶりに本気で何かやるな~私もまじめにがんばれるのかな…………」


 その後の1週間みっちり舟志先生指導の下、予習復習を重ねていった。分からないところがあればすぐに聞いてメモをする。メモ帳用のノートが一冊出来上がったぐらいだった。


「理沙ちゃん?ここの問題って昨日やったところだよね?」


 これで今日4回目だ。問題を解いているとついミスをしてしまう、その点で少し強く言われていた。全くミスするような問題じゃないのに解いてから違っていることに気付く。


「まあ、4問くらいはしょうがないわ、実際問題国数英に理科・社会5教科をこの短期間でやるってなると疲れも出でくるものよ」


 先生の言う通りここ最近は詰め込みでみっちり基本をやり、応用を習って問題を解く。慣れていないことをしているので脳が拒否反応を示しているのかもしれない。自分の思っている何倍もの努力が今物凄く感じられる。


「そんなに悩むことじゃないわ、無理やり解くよりまず復習して公式通り解けばいいの」


「先生って勉強が嫌いと思ったことってないんですか?」


 唐突に出た言葉。何でこんなことを言おうとしたのか分からないけど、先生は素直に答えてくれた。


「私も勉強は得意って言うほど得意じゃなかったのでもこうやって誰かに教えていくことで学問の重要性って言うのかな?段々とおもしろいって感じるようになってきたわ、でも勉強できない子って最近の多くて困ってるわ~~~でもうちのクラスは何というか大体できているから教えがいがないのよね~取りあえず、基礎を理解するって重要な事なのよ頭に染み付くまで明日もやるわよ~!」


 疲れがたまりすぎてか、家に帰って即で寝て起きたら次の日の朝になっていた。 


「体がもつか分かんない。ん~~~背中がちょっと凝ってるかな?」


 椅子に座りっぱなしのせいか少し猫背な様子が鏡からわかる。後3週間でどこまで仕上がりに近づくか疑問なところはあるけれど、中学校の時以上に内容が頭に入ってきているし、何よりこの土日で問題のミスが格段に減った。でも油断はできない。私の今やっているところは基礎の問題集。


 つまり、形式の違う問題や応用の問題はまだ1・2問しか解いていない。


 結局は50点…………この点数はあくまで予想だけど舟志先生が「基礎と応用で半々ね。」なんて口にしていたことから計算した結果、もちろんこのまま行けば欠点は免れるが、今後もそれが通るとはかじらないと舟志先生が言っていた。問題はいろんな形式であるのに頭が動かない。応用にして解いたら全然回答率が少ないことがわかった。これを治すにはちょっとの努力では通らないかもしれない…………………………推しのグッズももうしばらく無理か~~~。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る