<実力の価値>
次の日、最初の授業となった。誰もがいいスタートを切れると思っていたが、Eクラスにはそんな雰囲気はなかった。Dクラスにも不安な生徒がいるくらいだ。別枠クラスにはそんな余裕は残されていなかったのだ。
「先生‼。当然帰ってくる答えが「ええ、最初の内は所属しないとダメですね」になる。
「先生?最初の内ってどれくらいなんすか⁉」
今度は男子生徒からだ。こんな感じの質問が2,3繰り返されたところで、先生は教室の周りを見渡して、それから質問した生徒に対してこう答えた。
「確かにみんなの気持ちもわかる。不良品宣言されて、部活に入らなきゃいけない決まりがある中で、どうしてもクラスの質というものを基準にして見てしまうよね。不安が積もるのも無理はない。だったら、これからの生活で改善していけばいいじゃないかな?これから部活で活躍していけば、少なからずとも先生はいいと思ってるし、周りの部員も認めてくれると思うよ」
こんなことを言ったが、生徒にしてみれば、そのハードル自体が高くて無理だと思う人がクラスのほとんどだと思うように見えた。
そんな中、さらに先生に質問する生徒が増えた。「部活に入っても仲間はずれにされれば意味ないじゃん?」と。
亜白木先生がそれに答えようとすると山添がいきなり割り込んできて、こう言った。
「それよりまずは、期末試験だろ。そこに残らなきゃやばいんじゃねーの⁉」
「それは確かに、でももし部活で面倒なことになったら、先生のせいだからね!」
「え、それはちょっと。とりあえず、勉強の方に力を入れてくれ!部活はその後でも間に合うから」
先生が不安そうに答えるとチャイムが鳴り、一部の女子たちは「めんどくさいね~」と言いながら自分のロッカールームに荷物を入れに行くのだった。
亜白木先生が職員室に戻ると職員会議が始まろうとしていた。2年担当の先生は来てないから1年の先生で会議だろうかそう考えるとやはり、試験のことが関与していくのか?そう考えていると、各クラスの担任と校長が来たのでそれ関連が濃厚とみた。
「あれ、宮地先生もいるんだ……ということは、今朝の暴力事件の事じゃないんですかね?」
そう言うと亜白木先生と与兎川先生はきょとんとした表情でお互い顔を合わせた。
「あのな、この話は後で校長からも伝言があると思うから一様頭の片隅にでも置いておいてくれ」
そう言うと、舟志先生はあれっという顔をしてから慌てて「この話って秘密なのっ!ごめん、あまり、広めないでね~」という感じで
お願いのポーズを取りながら、会議室に入っていった。
「まったく、小学生じゃあるまい頭がおかしいんじゃないのか⁉」
「…………なるほど、問題はEクラスだけじゃないのか。また、他の生徒に聞いてみよっ」
と軽い感じの表情を浮かべながら、会議室のドアを閉めるのだった。
校長の横に警備担当の紫檀と秘書の咲さんが先に入り、校長が椅子に座ったところで話はすぐにはじまった。
「1週間前に発表した期末試験のルールや目的についてこれから話します。1時間目は自習ということでどうぞくつろいで聴き取り願いたい」
「突然ですが、すみません。期末試験のことなんですが、退学を赤点条件としたルールはここ12年行われてなかったはずですがどうして今行うことになったのですか?」
Cクラスの宮地先生が聞くと校長は真剣な表情になり、こう言い放った。
「元々はA,B以外のクラスは引き立て役みたいなものだったのだが、これからは創立20年を持って新たに実力重視の学校にしていきたいと思い、こんなルールを設けた」
「そんな~C,Dはそれ知ったら退学する子も出てくるんじゃない?」
「
「もし、退学を選ぶなら、Eクラスの生徒がとっくにしているだろう。それに校長からの目的もルールもまだ詳しく聞いていないだろ」
「確かにそうだったかも」と言いながら落ち着く舟志先生だった。
「これからなぜこういう事が行われるのか、この学校の方針が定まった今、ちゃんと説明させてもらいたい」
「いいかな?」と校長が確認を取ると1年担任の先生側が大きくうなずくと校長が話し出した。
その頃、自習の生徒たちは各クラスでやることがバラバラだった。
(Aクラス)
この問題を解けば2,3時間目の授業分もやるから自分のできるスピードで説いていくようにというクラス委員長。
「もし、分からない場所があればすぐに対処すべきだと思うから、その時は遠慮なく言え!上を目指すためだ、みんなついてきてくれるな?」
ほとんどの生徒は反論もせず当たり前だという顔でクラス委員長の話に賛成していた。
(Bクラス)
「別に早くでた奴はそれでいいし、ゆっくりな奴は焦らなくていい、自分のできる限りでやればいいだろ……それだけ、以上‼」
「なんだよそれ!まあ、まとめる奴もいないしそんなもんでいいか」
Bクラスの生徒はそんな自由主義でクラスがまとまろうとしていた。だが、クラスをまとめるためには中心となる人物が必要だ。それなのにこのクラスにはリーダーとなる生徒が出てこない。それには舟志薪音という担任が深く関わっていた。そのクラスの違和感に気づくのはまたはクラスの生徒がリーダーという存在が必要不可欠になってくると感じるのにはまだ先の事であった。
(Cクラス)
クラスのレベルとしては真ん中に位置するCクラスだが、その平凡さを感じさせない生徒がちらほらいた。
「どうやって、この時間を有意義に使おうか?サケくんは何かあるか?」
サケと呼ばれている人物が暇そうにしているとリーダー的なポジションの生徒に目を付けられた。
「あ~何でもいいんじゃないんですか?あと4時間あるんだし、気ままにやれば……」
「へ~~~君はそうするんだ。いや悪いとは言わないがそれじゃあこの時間が無駄になる。君は時間が48時間だったらいいのにと思ったことはないか?」
「時間のことを言うならさっさと課題やれ!もう俺は3教科終わったから」
「トロくん、そんなにきつく当たらないでよ~、病むよ」
「勝手にしろ…………ていうか、2教科とも終わってんじゃねーか⁉」
「国語と英語は得意なんだよ!でも、まあここに万能な人間なんていないんだから適材適所だよね」
「それは後で考えればいいから。勉強に集中しろや!単位落としたくないやろ‼」
「それを言うなら、退学したくない、ね?」
どれだけ楽をできるか考え中の生徒はCクラスの頭いい方に落とされるという残念なこともある。そんな性格も加味した基準でこの学校が成り立ってる。まあ、世の中には普通の正攻法を試したがらない生徒も、この学校には存在するわけだ。
(Dクラス)
ここなんて書いてあるのかわかる奴いるのか…………?そんな思いがあっても聞くことができない生徒がいる。そう、去年までこのクラスが最下位のクラスだったのだから。
「ここどうやってするの、教えて!」
「はっ、自分でやれよ。ていうか…………学級委員長さんよ~あんた、クラスをまとめてくれるって言ったよな?」
Dクラスの不良の一人がクラスのリーダーに突っかかる。
「しょうがないよ、みんなレベルが低くてここに集められたんだから」
「で……どうするんだ⁉なんか策はあるのか?」
少し考えたのちクラスのリーダーはこう提案した。
「な、何でも人には向き不向きはあると思うんじゃないかな。だから、その面々を考えてその人に会ったペースややり方でゆっくりクラスのレベルを底上げ出来たらいいんじゃないかな………………と思うよ。どうかな?」
「らしいぜ!みんなも期待に応えてやれよな~」
奥の女子たちがひそひそと話しているが、それを気づかない不良少年であった。こんなことをしていると悪口を言われても無理はない。このクラスの環境は最悪と言っていい感じだった。
「……クラスの委員長が提案してるのにあいつ結局人任せじゃん!」
「え、そう?そもそも頑張ってこれだから何か今まじめなこと言われてもどうでもいいかも…………っていうかさ私にできるわけないじゃん」
低い位置からのスタートを送った生徒はあきらめかけている生徒が多いという。だからここでもう実力の差が見えてくる。
「そんなら、オレは努力する方を選ぶよ。人生何があるか分からないしさ!ここでお前らにどうこうされようとクラスに悪影響さえもたらしてくれなければいいだけだから……っだろ、Dクラスのリーダーさんよ」
「あぁ、そ、そうだね!今はそれでいいんじゃないかな?とりあえず、一年間よろしくお願いします」
「こちらこそカイトくん‼」
女子の何人かには人気があるようだ。ささっとクラスリーダーの前に集まってきた。
(Eクラス)
このクラスは言うまでもなく…………静かだ。クラスのムードメーカーやまとめ役がしゃべらない限り誰も一言もしゃべろうとはしない。
もうこのままの方が全員にとって良い環境なのだとクラスの誰もが思い込み始めていた。分からなければ分からないでいいと……それはしょうがないことだと。どうしても他の人と協力してやるという考えに至らない。クラスと呼べるにはもう少しコミュニケーションというものが必要になってくる。それができなければ、もうここはただの作業室でしかない。人との繋がりを拒絶するとそういったことが当たり前になっていく。なんて悲しい場所なんだと……。
全員がもうこのままでいいと思ったが、聞こえてこないだろうと感じていた思いは突然やってきた。それは~。
「やっぱり、なんか気まずくない?……ごめん、耐えきれなくてしゃべっちゃったわ」
山添がドシンとした空気に耐えられず、そうみんなに問いかけた。しかし、応えようとする生徒は誰もいない。
「確かにこうなったことは自分でもショックだけどよ…………でも、いつまでもこうしてたって意味ないじゃん。3年間ずっとこのままはイヤだからな⁉」
そういうと、一人のクラスメイトがようやく口を開いたが……。
「そういう事じゃないよ。そういう事じゃなくてみんなこれからどうしようか悩んでいるんじゃないのか?オレも別にずっとこうしていたいわけじゃない。だがオレたちクラスにはそういった時間が必要なんじゃないかって……そう思っただけだ、おわり‼」
「なんだ……そういうことか、正直オレも最初は戸惑ったけれど今そうするより協力した方が絶対いいだろ!」
自分は大丈夫と思い込むことが山添には必要だった。なぜなら、ここで一番精神的ダメージを追っているのは山添だからだ。そうしないと彼の平常心は保たれないから……そう、この段階で初めて上げてからどん底に落とされる経験を彼は味わい、ギリギリに耐えきった。だから、こうして気を保たないといけない……………………自分が今、大丈夫と思えるから。
一年担当の先生と校長との会議が終わり、全員が席を去った。会議が終わったのは4時間目の最初あたりだが後は各自、生徒に関する事務作業を行っていた。
「まさか、今年から方針変えるとは思わなかったね~~~なんでだろ?」
「え?そうなんですか?」
与兎川先生が聞くと佐田村先生は「全然違うな!」と分かってただろと言うようにみんなに問いかけた。
「あっ、そっか光ちゃんと亜白木君は今年入って来たばっかだもんね?陽君も新しいメンバーなんだから、普通に接してあげてよ!」
「だからその変な呼び方はやめてくれ。それにこっちは新入りじゃない、3年ここにいる。」
「私は4年だから、私の方がここでは先輩なんです~~あっ、ごめんね、ほったらかして。まあわからないことがあれば聞いてくれればいいからそれだけよ!」
彼らの思いは人それぞれだが、ひとまず先にAクラスにどんな生徒がいるのか確認しておきたかった。
「佐田村先生、今年のAクラスはどんな感じ何ですか?」
佐田村にはあまり媚びを売らないように聞いてみた。
「今年か?去年と変わらず大半が優秀な生徒で溢れているが、それがどうした?」
そういうことを聞きたいわけじゃないが、少しでも情報を集めておきたい。さらに踏み込むと……。
「え、まあ……確かに、去年と教育方針は変わったけど、決して下のクラスがあるからAクラスを引き立てているわけじゃない……………………そういえば、お前はEクラス配属の亜白木だったな?」
「ええ、そうですがいまいちここの制度ががよくわかってないんですよね~」
佐田村は不思議そうな顔をして聞いていた。
「Eという落ちこぼれクラスを担当するのに気が滅入るという事はないのか?」
「まだまだ、最初の内ですし、高校生ですから最初の内から勉強やいろんな可能性を無駄にはできないですしね。それは…………」
優しい顔つきでしゃべっている亜白木に対し、佐田村は不安そうな顔でこちらを見てくる。
「でも、諦めたら、そこで終わりだ。優秀な人間がそろっても、そこで輝く人間はほんの一部だ。そんだけ過去をどう過ごしてきたかで変わる」
「だとしてもまだ16ですよ。そこを見れば高校生という名の特権だと思いますよ」
「さあな、どうなるかは分からんが、1年持たせられるように頑張るといい」
佐田村はそれだけかという顔でこっちの目を覗き、あきれる前に亜白木が一つ質問した。
「あぁ、先ほどの質問ですが、それ以外にどういったタイプの生徒が集まるかとか分かりますか?」
「まだ、この仕事でここに就いて3年だが、プライドの高いやつが多い。まあ必然的というか金持ちのボンボンも来るからな!」
意外としゃべってくれるものなのかと思い。大体の欲しい情報は入った訳でもなかったが、そこで取り敢えず止めにした。
「ありがとうございます。少し僕のために時間をさいてもらって!」
「そんなことなら全然構わない、だが生徒に何も期待しすぎるなよ、これは俺からの忠告だぞ‼」
舟志がこちらを見て「佐田村くん怖いよ~~~、もっと明るくいこ⁉」といいながら職員室をでていった。
放課後になり、生徒もバラバラと帰っていった。もちろん部活動や他のクラスに行って様子を見る生徒もいた。Dクラスの中にも部活をする生徒はちらほら見かける。それを見て、亜白木は少し安心する……自分のクラスの生徒がまだ、絶望していないことに完全に進むべき道を踏み外していないことに。
「そう言えば、彼はアメフト部だったね。Dクラスからもチームで活動するスポーツに入ってくれてうれしいよ。やはり、自分のやりたいことは、何か大きな壁があっても曲がらないんだね~~~それが小さい頃からの夢なら尚更。でも、ここからどう成長していくかは君のやり方次第だよ」
亜白木はそう独り言をつぶやきながら、いろんな部活動を見に行こうと決めていた。ここ(AF機関の高校)の生徒の力量がどのくらい凄いのか、どんな部活があって、どこが活躍しているのかなどをAクラスから自分の受け持つEクラスの生徒まで興味本位で見ていくのだった。
校舎を出ると基本的に見たことのない別の部活が活動している。学校内はけっこうなスペースがあるが、活躍度の低い部活や新しく作られたような少人数の部が多いと見てわかる。
つまり、ちゃんとした場ではしっかりとした成績が残せる部活が優先的に使っていることが分かった。亜白木もそれには納得していた。訳の分からない部活にかけるより、有名で大会などがしっかりした部の方が学校側としても効率よく部活動を強化していけるからだ。それはさて置き、自分のクラスの生徒がどうなっているか気になるのだが、場所が分からない。広すぎるからと言い、大体の場所は把握しているつもりだが、今日の練習場所までは把握できないようだ。そんな時遠くから凄いスピードで走ってくる人物が僕の目の前で止まった。
「あっ、Eクラスの先生じゃん、こんちわ~~~」
「こんにちは君は差別はしないんだね。……1年の生徒ではないよね、君は僕らの新入生のリスト(名簿)の中に居なかった気がするだけど?」
「そうだよ、あいさつが遅れたけど、私はサナ。2年で女子サッカー部に入ってる。……まあ~確かにEクラスというのを批判する人は結構多いと思うけど、私は違うし……それに先生は生徒じゃないじゃん。先生とは仲良くしておきたいし、勉強分からないときや人間関係に困った時は気軽に相談できるじゃん?」
「確かに、先生との信頼関係もやがては効率アップか~~~」
「いや、そういう風に考えてないから。…………でもこの学校って本当に努力・実力が必須だから、先生を頼らなきゃ、成長できないところがあるのよね~」
「一様心積もりはしておくよ。君も何事もなく部活動で活躍できるように頑張ってくれ。ところで、ラグビー部の場所はどこかな?」
「今日は海の近くで練習だって聞いたよ」
「本当か?それはちょっときついな。他の部も見たいし、また観ることにするよ、ありがとう。じゃあ、またどこかで合おう」
「うん、それじゃ。あっ、ちょっと待って…………確かに先生は生徒ほど、下級クラスにいる悪い人みたいじゃないけど、でもそのクラスをまとめんのに対しては同情するっていうかガンバレっていう感じだね。まっ、言いたいのはそれだけだから!」
そうして彼女は去っていった。彼女のいう事もよく考えながら亜白木は次の部活動に足を運んだ。
「同情するか……僕にとっては、チャンスなんだけどな~」
亜白木はそう呟いて、生徒一個人の見解なんだと受け入れ、深く考えるのだった。亜白木がこの学校に来た理由はさて置き、お目当ての部活に直行することにした。
「ほぉ~ここか~けっこう広いんだな」
学校からそう遠くない場所にきれいな海の見えるビーチが横に長く続いている。この場所ではラグビー部以外にも、活動している部活動があった。ビーチの近くまで行き、周りを見渡していると1年生の部員たちが競い合っている姿が見えた。今日は、初日だったということで、1年生の力量を見ているらしい。何とも言えないが、ここまで本気なのも個人の実力を強化するためだというのが育成に力を詰め込んだ学校というところがわかる。浜辺での練習が大体終わった頃、2年対1年でちょっとしたチームワーク戦をすることになった。一つのラグビーボールを使って10対10のガード役と攻め役を作り相手チームの青のラインまでボールを運んだら1ポイントという15分単位のミニゲームのようなものを始めようとしていた。
亜白木は「まだやるのか?」と思い、監督に一つ聞いてみた。
「あ~あの、練習の量自体は生徒に任せられているんですか?」
最初、亜白木が誰だか分からず、困惑していた監督だったが、新しく入った教員だということに気付ことに気付き、その問いにすぐさま答えた。
「いや、今回は別だ。こいつらの今の段階のチームワークと明後日までのチーム選考をどうするかを見るためにこういう風にやってるんだ」
「今回は第一戦の大会が早いから、予選票も早めに組まないといけないんだが、君は誰だ?」
「いえ、僕は今年こっちに入った教員です。まあ、自分のクラスの生徒がどんなことをしているのかぐらい担任ならしっておきたいじゃないですか?」
亜白木の言ったことに疑問を持つコーチだが、取りあえず新任の教師という事で軽く挨拶した。
「そうか、よろしくな。でも、担任が見てもどうしようもないんじゃないか?」
「それは……でも生徒の気持ちに寄り添う上でこう言ったことも必要だと思いますよ。ところであなたの名前は………………?」
祝二だと瞬発的に答え、練習メニューを組み直していた。
「そろそろあいつらも帰宅時間が迫っているから今日はこのぐらいでやめなくちゃいけない。だから、何か話すならまた今度にしてくれ!」
亜白木は「いいえ、大丈夫です。ある程度を見たかっただけなので」と答え、亜白木は学校へコーチは選手を集めてミーティングをするため砂浜へ行き、結局それで亜白木の予定していた一日が終わった。
「~~~これで今日の練習は終わりだ、Eクラスの新入生は、後で話がある。だ・か・ら、ここに残っておくように!」
これのせいでか、数人の部員が騒めき《ざわめき》、それを見越してか先生はこう付け加えた。
「別に大したことじゃない。担任と顧問で話し合わなければいけないことがあるだけだ、以上!」
ラグビー部の部員たちはバラバラと学校へ戻ってゆく。だが1人の生徒がビーチの端の方に残っていた。
大体みんなが帰ると、その生徒は壁側にいた先生のもとへ行くと。
「先生オレは何があってもラグビーをやめません」
なんて強い意志で言い放ったのに対して顧問は…………………………。
「実は担任の先生と話し合うというのは嘘だ。お前がこの学校に入れたというのは、たまたま校長がそういう救済措置を取られたから、今Eクラスの生徒がこの学校に入学できている状態なんだぞ」
「そんな事、言われなくても……オレは、ラッキーな方だと思ってます。だから、この部でも一生懸命頑張るので、そう言われないように努力します。人1倍に!」
顧問は何もお前がレギュラーに選ばれることはないと言っている訳じゃないと否定してさらに努力次第でみんなの見方も変わってくるだろうと言い残し、その場を去っていった。
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