<雨音理沙の過去>

 私の名前は雨音理沙あまねりさ。どこも取り柄のない人間だ。何も取り柄がなかったから、ただ漫画を読んでいつも一人時間をつぶしていた。中学校の時だった、自分もアニメのキャラクターみたいになりたいと思ってコスプレをやってみた時期もあった。それから、したい体型のために少し運動するようにもなったけど、アニメのかわいいキャラクターにはなれなかった。そりゃそうか…………私は何をやってもダメ、結局失敗しちゃうから。

 この学校に進学したのも、いやできたのも、学校側のお情けみたいなものだろう。

 とりあえず、私はこれまで通り普通にやり過ごしていくつもりだ。自分の持つ何かが変われるのならば、変えてみたいと思うが、私にはそこまでの勇気がない。そこが私のダメな所だ。

 何かが変わってしまったら、私は私でいられるのか不安でしょうがない。人は変化を求めるけど、周りのいろんなものが変わってしまったら、たぶん普通の人は困って元の状態が恋しいと思ってくるだろう。

 私もその人たちと同じなのかもしれない。変われても人前で何かをしようとしても、勇気がでてこないまま、自分のやりたいことにも失敗してしまうんだ。

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