もふもふ
上層全般の調査?何をするんだろう?
「最近、上層のほうで魔物の怪しい動きが報告されておる。おぬしらが出くわしたような上層にいるべきではないような魔物なんかの目撃報告が相次いでおってな、おぬしらにはその原因を調査してほしいんじゃ」
またフェルノックみたいなやつと戦わなきゃいけないのか?正直に言わなくても嫌だぞ?
「大丈夫、別に戦わなくてもいいんじゃ。おぬしらにやってほしいのは調査。ダンジョンのどこかに大きな裂け目があったり、変に隆起、変形とかしてたら報告すればよい。もちろん、戦えるのなら戦ってもよいぞ」
なにがあっても、あんな魔物と戦うのあ避けたい。そりゃ、レベル100にはなったさ、でも怖いものは怖い。
「おぬしに言っとくが、レベル100以上の人間は中々いないからのう?わしの知っている人間でレベル100以上なのは2~3人ほどじゃ」
え、そうなの?
「でも、フェルノックを倒した人なんていっぱいいるんじゃ?」
「うむ。フェルノックを倒したパーティーは何組もおる。じゃが、おぬしはパーティーを組んでいても、ほぼ一人で、しかもレベル1の状態で倒したんじゃ。レベル差ボーナスや、ダメージボーナスがあったからレベル100ぐらいまで一気に上がれたんじゃろう。はっきり言って異常じゃ」
レベル差ボーナス...そんなもんがあったのか。あのフェルノック何レべだったんだよ!?
「ちなみに、おぬしの仲間もパーティーボーナスでレベルが一気に10~20ぐらい上がっておるぞ」
エルナのレベルは21だったっけ?最初のレベルは知らないけどかなり上がっていたようだ。
「まあ、おぬしらのレベルなら、中層の上のほうの魔物ぐらいは楽に倒せるじゃろう」
おぉ!それは嬉しい。怖い思いをしなくて済む。いや、それでも怖いっちゃ怖いが。
「まあ、安心して任務に臨むがよい。おぬしらが死ぬような事態は起こらんだろう。おそらく。多分」
そこは確定にして欲しい。
「任務は明日からじゃ。とりあえず、このソファでも使って眠るとよい。疲れているだろう。特におぬしは。見たところ、ここにきてまだ一日目のようじゃしな」
「了解!」
ほんと、どこまで見えるのだろうこの人。
確かに、まだ一日もたってないんだよな。前世にいたら一生分ぐらいの体験をしたような気がする。
「じゃ、お休みだな。また明日会おう、リュウマ」
と、アルデンとレイデンは近くにあるらしい宿へ行ってしまった。
ていうかあいつら、いつの間に俺のパーティーメンバーになったんだ?
まあいいや、違っても誘ってるだろう。
俺はソファに横になり、
「エルナ、俺もう寝るぞ」
というと、エルナが二階の手すりから顔を出し、ぴょんとジャンプした。
うぉ!!
そして彼女は、目の前で綺麗に三点着地、そしてくるんと回り、
「僕も寝る!!」
と言った。
犬って、猫みたいに高いとこからジャンプしても大丈夫だったっけ?
まあいいや、眠い。とりあえず寝よう。
「おう、お休みエルナ」
明日は任務か。少し、いや、かなりワクワクする。今日は一日でパーティを作り、でっかい魔物を倒し、レベル100になった。明日は何が起こるのだろうか。
明日への期待を胸に膨らませながら、俺は目を閉じ...ようとしたが、
モフッ。
ん?閉じかけていた眼を開けると、そこには丸まったもふもふがあった。
何だこのもふは?
俺は目を凝らし、よぉーく見てみると、それは丸まったエルナだった。
ん!?
「お前ここで寝るのか!?」
「ん?うん。寒いし」
寒いって...確かに寒いけれども!それでいいのか!?本当にそこで寝るんか!?っていうかよく入ったな!?
......眠い。これ以上考えても無駄か?こいつの辞書には恥じらいという言葉はないのか?
...もういいや。もふもふしてるし。寝よ。
俺は初めての異世界の夜に、もふもふした女の子の横で、目を閉じた。
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