エルナ戻る

それにしてもここは広いな。所々にある案内板がなきゃ、絶対に図書館になんてたどり着けない気がする。

しばらく歩いた後、声が聞こえてきた。


「あの異世...すがに...すぎる...理だよ...」

「...丈夫。...なら...まえ...スキル...使わなく..ばれな....」


壁の向こう側でだれか話しているようだ。

異世界人って聞こえる。もしかして俺のことを話してるんだろうか。

チラっと見てみよう。チラっと。

壁の角から声のした方向を見てみると...

...誰もいない。

まあいいや。なんで異世界人の話をしてたのか気になるが。

そういえばここにいる人達は俺のことを異世界人と知っているんだろうか?

また図書館に向かって歩き出そうとしたとき、目の前にあったドアが開いた。


ゴンッ!

いてっ!


なにせ急に開いたので、頭をドアにぶつけてしまった。最近よく頭をぶつけてる気がする。


「ん?...ん!?リュウマ?どうしてここに!?っていうか頭大丈夫?」

「...あぁ。その頭大丈夫?って聞き方はやめたほうがいいぞ」

「う、うん...」


どうしたんだろう。ちょっと元気がないようだ。


「エルナこそ大丈夫か?ちょっと元気がないように見えるけど」

「うん。ちょっと疲れただけ。ダンジョンから帰ったばっかりだからね」

「そうか。後でちゃんと休めよ」

「心配してくれてありがとう。ハンバーグ食べたからきっとすぐ治るよ」


そういうエルナの目は泳いでいる。

本当にこいつ大丈夫か?あとでなんか作ってあげよう。


「あ。そうそう今から図書館に行くんだ。ギルド長にそこで待ってるように言われてな」

「ギ、ギルド長に!?なんで?」

「ふっふっふ...俺はギルド長に見込まれてクエストをやることになったのだよ。まだ何か決まってないけど」

「へ、へえ...そうなんだ。すごいね、初めて見たよ、そんな人。凄すぎてひいちゃうくらいだよ」

「引かないでくれよ...まあとりあえず、なんか話しながら図書館に行こうぜ」

「うん...そういえば、さっき外でなんか聞こえたんだけど君誰かと話してたかい?」

「いや、俺は何も。俺もなんか聞こえたけどあんま聞こえなかった」

「そう。じゃあいいや」


俺達はその後適当に世間話をしながら図書館にたどり着いた。

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