何でもお見通しのギルド長
仕事か...どんなことをするんだろうか。正直言って俺に出来る気がしない。
「おぬしの気持ちはわかるぞ。じゃが、そのようなスキルを持っているのに使わないのは宝の持ち腐れじゃ。おぬしにしかできん仕事、って訳でもないんじゃが。」
じゃあいいじゃねえか、やんなくて。
「そういうわけにもいかんのじゃ。あとちゃんと喋ってくれんか?わしのスキルがあるとはいえ、使うと疲れるんじゃ」
...すまんせん
「で、どんな仕事をするんですか?」
ギルド長はしばらく考えた後、
「わからぬ。まだ決めておらん」
ガクッ。決めてから言ってくれ。
「まあ、とりあえず魔物を倒しに行ってくれんかのう?最近あやつらの行動がおかしいんじゃ。普通そこにはいないような魔物がいたり、群れない魔物が群れたりのう」
「とりあえずって...大体俺は俺のスキルのこともあまり分かってないんです。あなたの千里眼で詳細を見たりできないんですか?」
すると、彼女は顔をしかめて
「嫌じゃ」
え~なんで?そんな露骨に嫌そうな顔をしなくてもいいじゃないか。
「おぬしのスキル、まるで適当に書かれた文章のようで見る気にならん。それに、仮に見たとしても情報量が多すぎて頭が痛うなる。まあ、その分いろんなことが出来るんじゃろうが」
...どゆこと?
「よいか、スキルというのはな、天空の島に住んでいる神が、魔物に苦しんでいる人間を見てスキルを授けた。そのスキルは神の手書きのようでのう、丁寧に書く神もいれば適当に書く神もいるんじゃ。おぬしのは超適当に書かれすぎていて制御できとらん。おそらく書いたやつも予想してないじゃろう。」
神?神がいるのかこの世界?しかも複数?
「あくまで伝説じゃが」
伝説か。なんて面白い伝説だ。いい加減な神もいるとは。
「ちなみに、これはこの世界では誰もが知ってる伝説じゃ。おぬしも覚えていたほうが良いぞ。見たところ、こちらの世界のものではないようじゃし」
え?千里眼ってそんなことも見えるの?こ...
キッ!ギルド長はこちらを睨んでいる。
...何でもありません。
「まあ、とにかく、おぬしはギルドにある図書館にでも待機しておるがよい。もうすぐおぬしの仲間も戻るじゃろう。任務を考え付いたらおぬしに連絡する」
考え付いたらって...どこまでも適当だなこの世界。
「ほれ、早く行くがよい。ここにある飴持っていってよいから。ほい、ほい」
俺はとりあえずギルド長の投げてきた飴をキャッチし、腕の中が飴でいっぱいになる前に部屋を出た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます