うまいだけじゃない、料理スキル。

パリッ!


うまい、うますぎる。なんだ?これは。今まで食べた料理の中で一番うまい。皮のパリッとした食感に、肉のやわらかさ。さらに、ハーブの香ばしい香りが、食欲を加速させる。我ながらうまくできたと思う。作ったのはスキルだが。

それに、妙に生命力が溢れているような気もする。


「この肉クソうまいぞ、マジで何なんだそのスキル。ここまでうまいとは羨ましくなるぜ」

「ああ、生命力が満ち溢れるような気がするぜ」


こいつらもそうなのか?凄いな、どうやらうますぎる飯は生命力が満ち溢れるような気がするらしい。

しばらく食べていると、


「ん?なあ、お前ら、ステータスを見てみろよ!あり得ないことになってるぞ!」


と、急に男の一人が叫んだ。

どうしたのだろうか?ステータスを見るとはどういうことだ?

すると、エルナも


「ん?...え!?なにこれ?何が起きたの??」


と、骨を持った手を止めて、空間を凝視している。皆してどうしたのだろうか?


「どうしたんだ?」

「ステータスを見てみてよ、なんかよくわからないことになってるんだ」


ステータスか。どうやって見るんだったか。確か、思い浮かべるだけでいいんだったっけ?

とりあえず冒険者ギルドでやったように、ステータス、ステータス、と頭の中で唱えていると、目の前に画面が浮かんできた。

何がおかしいのだろう?と、異変を探してみると、

ん?体力200?

おかしいな、確か冒険者ギルドで見たときは100だったはずだが。

他にも、右のほうに 体力上昇V:1時間27分56秒 ステータス上昇II:1時間27分56秒などと、文字と数字が書いてある。


「すごいよ!バフだよ!食べ物で、バフがついてるよ!こんなの初めて見たよ!」


と、エルナが超興奮している。どうやらこれがバフというものらしい。ゲームなどで使う言葉だった気がする。こうなるなら、生前もっとゲームをしておけばよかった。そしたらもっとこの世界のことが分かったかもしれない。まだ生きてるけど。


「すごいのか?体力が100ぐらい上がってるんだが」

「100だけ?僕は150ぐらい上がってるよ!」


50の差はだけ?なのだろうか。


「俺たちは300ほど上がっている。元の二倍だ。その他の値も上がってるようだが、どういうことだ?兄ちゃん。そのスキル、ぶっ壊れすぎてないか?」


知るはずがない。というか、料理スキルの影響という以外考え付かない。二倍だと?それは確かにぶっ壊れだ。ていうかこの人たちもとから俺の3倍の体力あるのかよ。いい人で良かった。

数値をよく見てみると、確かに体力以外も上がっている、あってないぐらいだが。元が少ないからか?


「食事でバフが付くって、普通じゃないのか?」

「ああ、バフ自体俺たちは初めて見た。普通、バフをつけるには専用のアイテムなんかがいるが、とても高くて買えやしない。それか、魔法を使ってつけるしかないんだが...」


だが?その続きを聞きたいのだが、なぜか男たちは口籠っている。

それを見て、エルナはしょうがないな、と言いながらこう続けた。


「魔法を使える人はかなり少ないんだ、その中でも、他人に影響を及ぼすことのできる魔術師はいないに等しいんだ。そして、リュウマ、君はそんな魔法のようなことを一瞬でやれるんだ!」


ふむ、そう聞くと確かにこのスキルはぶっ壊れている。すごすぎて驚くことさえできない。

ここまでいろんなことが出来るとは。確かに説明文が適当になるはずだ。

置いてあったほかのスキルもこんな感じにぶっ壊れていたのだろうか?


「ねえ、せっかくバフが1時間以上もついてるんだ、ダンジョンに潜ってみないかい?」


気持ちの切り替えが早いやつだ、俺はまだびっくりしているというのに。


「そうだな、俺たちも一緒に行っていいか?俺たちは何回もダンジョンに潜っている。一緒にいたほうが安全だろう。」


こいつらも来るのかよ?いや別にいいんだが、というか、かなり心強い。


「ああ、お前らが一緒に来てくれると心強い。俺たちを先導してくれ」

「もちろんだ。安心してついてくるんだな」


そして、俺とエルナ、今知り合った男たちは共にダンジョンに挑むことにした。

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