獣人に話しかけられ、一瞬で仲間になる。
手渡されたガイドを見てみると
『初心者冒険者の万能ガイド!
これを読めばあなたも一流の冒険者!』
などと胡散臭い言葉が並べてあった。
だが、中身を見てみるとかなり有能なガイドだとわかった。この付近のマップや敵の情報など、読んでおいて損のない内容だ。
『!!重要!!
1人でクエストをしてはいけない!
最初はパーティーを組もう!』
確かにそうだ。まだこの世界のこともよくわかっていないのに一人で行動するなんて言語道断だ。
とりあえずクエストボードと書いてあるところに貼ってあるパーティー募集の紙を見てみた、だがよく見ると全部条件が合わない。
困って立ち尽くしていると
「そこの君ぃ!お困りかい?」
と後ろから声を掛けられた。
声のするほうを振り返ってみると、そこには犬のような耳の生えた女の子が立っていた。
「誰?」
「僕の名前はエルナ!お困りのようだから助けてあげよう!」
やたらと!マークの多いしゃべり方をする子だ。それに、まさか獣人が存在するとは。
「なにか失礼なことを考えていないかい?」
「いや?」
「まあいいや。君パーティーメンバーを探してるのかい?それなら僕が適任だよ!」
と必死に訴えてくるような目で俺を見てくる。
「おまえは成人なのか?」
「失礼な!これでも僕はちゃんとした大人だ!あと名前はエルナだ!」
この見た目で大人なのか、獣人の僕っ子... 罪悪感しかないが、実際俺は困っているし、別に断る理由ももないので俺は快く承諾した。
「ああ、ちょうど探していたんだ。なってくれるのなら心強い。なにせここに貼ってあるのは全部条件に合わないからな」
「だろうね!ここに貼ってあるのは全部中級かそれ以上の冒険者用だもん!初心者はあっち!」
と、何も張っていない壁を指さした。
「何も張ってないじゃないか」
「最近冒険者始める人が少ないみたいなんだ」
「なんでだよ?一番稼げるんじゃないのか?」
まさかとは思うがあのお姉さん俺をだましたりしてないよな?
「少子高齢化とか?」
...こいつに聞いたのが悪かった。最近の日本じゃないんだから。
「知らないのかよ」
「知ってるさ!でも今はそんなことより自己紹介をしよう!」
流したな。
「改めて、僕の名前はエルナ・スノーパウ!ユニークスキルは部分カットだ!モンスターの好きな部分を一瞬で切り取れる!」
強そうだが相変わらず名前は雑だな。もしかして全部そうなのか?そんなことを思っていると彼女はこう続けた。
「まあ、見えてる部分しか切り取れないし、ナイフの耐久力消費半端ないし、硬すぎるとナイフが一発で壊れるんだけどね」
...なんてしょうもないスキルだ。デメリットが多すぎやしないか?
「俺の名前はリュウマ・カタギリだ。ユニークスキルは料理強化」
「料理強化?...あ、あぁ!腹が減っては戦はできぬっていうもんね!」
慰めてくれているつもりらしい
「えっと、うまいのかい? リュウマの作る飯は」
「まだ試したことがない」
「試したことがない? 一生に一度も? そんなまさか!」
「事情があってな。一度もやったことがない」
実際どうなのだろう?料理強化というからには料理がうまくなるのだろうか?だがそれなら料理上手とかのほうが分かりやすくないか?
「じゃあ試してくれよ!リュウマは食材を持っているのかい?見たところ荷物も何も持っていないようだけど」
「いや、今ここに来たばっかりなんだ。見ての通り俺は今何も持っていない」
「じゃあ、どうやって来たんだよ?......まあいいや、とりあえず食材を買いに行こう!」
そう言われ、商店街に行くことになった。
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