捨て活の燃料

 捨て活に対するやる気が増幅するときがある。雑誌の断捨離の特集を見たときなどがそうだが、2023年、新たな燃料と出会った。


 それは、捨て活動画、である。


 ミニマリストを目指す人や、部屋にためこんだものに挑む人などの捨て活動画がYouTubeにはあふれている。しかしながら、どれでもいいわけではない。自分の好みのタイプがある。

 私は結婚もしていないし、子どもがいるわけでもない。そのため、主婦が子どもが小さかった頃のものなどをごっそり捨てる系のものは、あまり心に響かない。


 私が好きなのは、シングル二、三〇代女子の捨て活、実家で自分のものを片付ける捨て活、などだ。

 床置きのものがあふれていたり、意外と収納に服など大量にためこんでいたり、昔のものが捨てられずにとってあったり、自分だけじゃないんだな、と思うと安心する。

 捨てるかどうか迷う中で、もちろん潔く捨てる様子に感化されることもある。だけど逆に、悩んだ結果、それ捨てないんだ、となることもあって、みんな簡単に捨てられるわけじゃないんだとほっとする。


 ミニマリストの方々の捨て方を見ていると、捨てられない自分が駄目な人間に思えてくるので、保留している姿はむしろ好ましい。悩みながら自分なりの指針で手放すことを選ぶ姿は参考になる。

 保留にすればまた次に判断するのに時間を使うからよくない、という。たしかにそうだ。わかっている。だけどそれができない。きちんと納得して手放さなければ、後悔することがある。後悔すれば、捨てることにためらいが生まれる。結果、時間を要しても、納得して捨てることが重要だ。特に取り返しのつかないものは。


 また、ミニマリストの方や片付けのプロではまず見られないが、捨て活動画をあげるいわばアマチュアの方々は、収納の仕方は完璧でない。

 たとえばコスメの捨て活と収納を試みる。コスメを減らし、用意した収納ケースにしまう。同じ種類のものが同じ段に収まらないと、違うものの入っている別の段に押し込んだりする。入れ方もなんとなく、取り出しにくそうだなと見ていて思う。

 入る分まで、と減らすことも意外としない。その素人然とした様子が逆に好ましい。完璧じゃなくてもいいんだ、と思える。


 どちらかと言うと等身大、または少し先を行くような様子に、自分も捨て活をがんばろうという気持ちになる。プロじゃないからこその視線ややり方が、参考になることもあるのである。


 私は動画を見ては、あそこのゾーンの捨て活をしよう、とやる気が出た。勢いが出たのは、この燃料のおかげだと思う。

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