第15話 シュリアノと盗賊退治へ

「ふははははっ!」


 笑いながら現れたのはシュリアノであった。


「シュリアノ? 話は聞いたって……いつからそこにいたんだ?」

「お前が尻から火を出そうとしていたところからだっ!」


 ほぼ初めからである。


「ふん。男女が2人きりで林の中へ。なにも起きないはずは無く……。しかしわたしの予想する出来事がなにも起きなかったっ! なぜだっ!」


 一体なにを予想していたのか……?


 シュリアノは恍惚とした表情で叫ぶ。


「はっ!? ま、まさかわたしがこうして出てくるのを待っていたっ? そして出てきたわたしとそこの女をいやらしい視線で舐めまわす気だったのだなっ! なんてスケベで破廉恥な奴っ! しかし出てきてしまった以上はしかたないっ! さあわたしをいやらしい目で見るがいいっ! だがわたしは屈しないっ! どんなにいやらしい目で視姦されてパンツを濡らして全裸になっても、決して靴下だけは脱がんからなっ! ふははっ! 思い通りにならなくて残念だったなっ!」


 ……残念なのは君の頭だよ。


 外見は巨乳の美少女なのに、中身は変な妄想ばかりな残念な女の子である。


「あーまあ、それはともかく、話は聞かせてもらったって……最初から最後まで全部を聞いてたの?」

「ん? うん。お前とフリードの中身が転生者で、さっきのアホそうな女とそこの女が神で、そいつは魔王の魂を持ってるんだろう? 全部聞いてたぞっ! よくわからんけど、フリードとさっきの女が悪いのはわかったっ!」

「馬鹿じゃけど理解の早い女じゃ。正しく善悪も理解しとる」

「そ、そうだな」


 めちゃくちゃ変だけど、悪い子では無いのだ。


「人間を殺す覚悟を得たいのだろう? 殺すのは得意だ。殺人の覚悟というものを伝授してやってもいいぞ」

「えっ?」

「お前からはいやらしい目に屈さず耐えるという鍛錬を日々受けているからな。そのお返しというわけだ」

「そ、そっか」


 鍛錬をしてあげてる自覚は無いのだが。


「けど伝授って、覚悟のしかたなんてどうやって教えてくれるんだ?」


 技術ならわかるが、覚悟の伝え方は想像できなかった。


「簡単だ。まずは誰か殺せ。ひとり殺せば2人目以降はサクッといける」


 なんだかすごい話をしてるなぁ。


 しかし言わんとすることは理解できた。


「そのひとり目がなぁ」

「兵隊は新人でも、役目と割り切れば盗賊退治や稀にある他国との戦争で、当たり前のように人を殺す。いざとなればやれるものだ。よし。今から盗賊退治へ行こう。殺人の覚悟を得るには手軽な相手だ」

「えっ? 今から行くの? まだちょっと心の準備が……」

「いいから早く来いっ!」

「おふおおぅっ!?」


 腕を引かれて肘がシュリアノのおっぱいに触れる。


 良いおっぱいだ。

 Hカップはあるかも。


 やはり美少女の巨乳は素晴らしい。

 男をしあわせにする……。


 そんなことをぼんやり考える俺は、そのままシュリアノにグイグイ引かれて林を出て行った。


 ……そして王都を出て、近くの森へとやってくる。


「ここ魔物とか出るんじゃないの? 大丈夫?」


 ゲームでは町の外へ出れば魔物が出る。これ基本。


「大丈夫だ。この森は盗賊団が牛耳っていて魔物はいない」

「ああ、そうか」


 そういえば王都の周辺にそんな森があった気がする。


「しかし盗賊はかなりの数がおる。あまり無理はせんことじゃな」

「う、うん」


 よく考えたらこっちは俺と女の子2人だ。

 盗賊の数は知らないが、もしかしてかなり危険なんじゃ……。


「……へっへっへっ、ついてましたねボス」


 うしろのほうから声が聞こえて、俺たちは茂みに姿を隠す。

 しばらくすると、見るからに粗暴そうな集団がぞろぞろと現れる。


「ああ、ガキは高く売れるからなぁ。けっけっけっ」


 よく見ると集団に交じって身なりの良い男女と子供が3人ほど歩いていた。


「商人の馬車を襲ったら、ガキまで乗ってるとはついてるぜ。金や食べ物もたくさん手に入ったし、今夜は盛大に宴だぜっ!」

「おおっ!」


 クマみたいに大きな男の言葉に集団が大声で答える。


「お、お金も食べ物もすべて差し上げますので、どうか私たちを解放してください。お願いします」

「ああ? ダメに決まってるだろぉ。全員まとめて奴隷商人に売りつけてやるんだからよぉ。うははははっ!」


 掴まっている男性に懇願は聞き入れられず、下衆な笑い声を上げて盗賊団は目の前を通り過ぎて行く。


 お手本のような盗賊だ。

 捕まっている人たちを助けたいが、しかしあの数は……。


「よし行くぞ」

「えっ?」


 シュリアノが茂みから飛び出して行く。


「待て悪漢どもめっ!」

「あん?」


 出て行ったシュリアノを盗賊たちが睨んだ。


 ――――――――――――


 お読みいただきありがとうございます。


 テンプレな盗賊たちが出てきました。まあもう、こんな下衆な連中はサクッと殺せちゃいますね。先にシュリアノが出て行っちゃいましたけど。


 フォロー、☆をいただけたら嬉しいです。

 感想もお待ちしております。


 次回はスキル『G』発動後のクールタイムにテンラー暴走……?

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