間違えて女子トイレに入ったら男子同級生と鉢合わせた。

完結

　ある日、お腹を下してしまい一階のトイレを使おうと思ったんだけど個室は全部埋まっていたんだ。

　二階にはトイレが無い。遠いけど仕方なく三階にあるトイレへ向かったんだ。

中に入るとあれ？なんかいつもと違うな？とは思ったんだけどお腹の方はそれどころじゃ無かったからすぐに個室に入った。

　トイレが和式でやりづらく、悶々とした気分で個室を出たんだ。するとタイミング良くドアから入ってくる同じクラスの男子同級生、草野と鉢合わせた。

　その時は特段気にせず俺と同じく排便にでもきたのかなーとか思ってそのまま出ようと思ったんだけど、草野、なんだか動揺してるように見えてね。

そして個室に入るでも無く、彼はすぐに踵を返してトイレを出て行ったんだ。

まあ、別にどうでも良いかと、その後は普通に手を洗って教室へと戻ったんだ。でもふと思い返す。そういやあのトイレ立ち小便無かったなって。

どうやら、あの時僕は誤って女子トイレに入ってしまったらしい。

普段使わないし、標識が古くなっていたのもある。いつも通りの感覚で奥側にトイレがあると思い込んで入っちゃったみたいだ。

しかも草野にその姿を見られた。それはかなりまずい。あいつは、口が軽いんだ。

いや？じゃあ、待てよ？

草野はなぜ女子トイレの中に居たんだ？俺と同じように間違えたのか？

取り敢えず俺は草野と話そうと思ったんだ。

どうやら草野は他の同級生達に何かを話し周っているらしい。

嫌な予感がした俺は彼を呼び止め直接聞き出した。

すると彼はこう言ったんだ。俺は女子トイレなんかに入っていない。お前がドアから出てくるのを見ただけだってね。

意味が分からなかった。

草野は既に僕が女子トイレ入っていたことを言いふらし回っていた。

俺は誤解を解くために間違えて入ったのだと弁明した。

すると彼は後ろめたそうな表情で頷いた。

草野になぜ嘘をついたのかを問いただしてみる。

しばらく答えなかったが、意を決した表情で

ごめん、俺、ついムラムラきちゃって女子トイレの個室に篭ろうと思ったんだ。

と白状した。

　その告白にはとても驚いたけど、まあ気持ちは分からないでも無かった。

　そして、どうやら草野は自分が女子トイレに入っていたことを俺に言い振らされるのを恐れ、全ての罪をなすりつけようとしていたらしい。

　それならあの時お互い後ろ暗い状況だったんだから話し合えば良かっんだけど、かなり焦って冷静な判断ができなかったみたいだ。

　草野はかなり罰の悪そうな顔で確かにと言い放ち、弁明するからあのことだけは黙っていてくれないかとお願いされた。

　俺は頷いた。

　話し合った結果、二人は偶然トイレの場所を間違え、焦って草野が俺に罪を擦りつけたということになった。

　まだ詳しいことについては話していないらしかったので、場所などより詳しい詳細も話すことにした。そうすることで、話の信憑性も上がると思ったからだ。

　俺たちは一人一人丁寧に誤解を解いていく。

　それを聞いた他の同級生達は俺と草野のミスを責めるでもなく大笑いしてくれていた。そして俺と草野も笑顔だった。

　あの時もしちゃんと話し合っていれば面倒なことにはならなかったかもしれないけど、最終的にみんなと笑い逢えたから良かったのかもしれない。

　それに草野とも距離が近くなった。

結果オーライだ。

そして最後の1人に俺たちは弁明しに行った。

すると彼は大真面目な顔でこう言ったんだ。

「あれ？三階に女子トイレってあったっけ？四階じゃ無かったか？」