私があなたを忘れてゆく順番

パ・ラー・アブラハティ

あれどんな感じだったけ

 彼と別れたのはもう五年も前のこと。今じゃ、声も顔も思い出せやしない、彼を私は今も想い続けている。


 覚えていようと必死に努めていた五年前の私の努力は虚しく散って、今じゃ何も思い出せやしない。彼と過した濃い青い記憶は気付いた時には埃をかぶった朧気な記憶に変わっていて、思い出そうとしても思い出せなくなっていた。


 心の中にはまだ青い恋は残っているというのに。頭だけは正直に彼のことをキッパリ忘れて未練を断ち切っている。心と体は繋がっているものじゃないのか。どうして、こうも私の心は未だに未練を繋ぎ止めていようとするのか。


 私自身も早く忘れてしまたい。顔も声も何も分からない人を想い続けるなんてアホみたいじゃないか。こんなのは一途なんかじゃない、未練を垂らしまくって醜いだけだ。


 醜い自分を抱えてこの世を生きていくのはさほど辛くは無いが、時折ふとした瞬間に襲ってくる付き合っていた頃に戻りたいという衝動は精神をズシンと重たくさせる。それも大抵寝る前とかになるため寝れなくなったりしてよりタチが悪い。


 だから、早く忘れてしまいたいのに忘れられなくて。次の恋をしようと決心をしたとしても、過去は私を繋ぎ止めることに必死で誰かに心を移すことを許してはくれない。


 今、貴方は元気にしているだろうか。この同じ青空の下で、貴方の呼吸は息づいていて私はそれをもう横で感じれることは無い。


 私は貴方の声、顔、記憶を忘れてしまったが、貴方は私を覚えていてくれているだろうか。


 それとも、もう他の恋へスタートを切っているのだろうか。分からないが、ただ貴方が元気なら私は嬉しい。



 いつか、この消えていった順番に貴方への未練が追加されることを願って、私は今日も未練を垂らす。

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私があなたを忘れてゆく順番 パ・ラー・アブラハティ @ra-yu482

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