第05話 焼豚炒飯

第05話 木造平屋のアパートメント


「B男」「a女」=「横川B」と「巡海a」

北海道残留組は、残留を背負うように神奈川県ドッキリを断念した。


ここだけの話だが「巡海a」はひらがなで「めぐみ」と書くが

「横川B」と均整を保つために

ストーリーテラーが当て字した。

源氏名と言うか、芸名と言うか、本来とは異なる表記だ。


北海道残留組は神奈川県勢の生活圏を荒らすことを嫌った。

北海道に来てくれることはWelcomeだったが

神奈川県に行くことは悪いことをすることみたいだった。

かつての恋人は丁寧に熱心にSNSを返してくれるから

信じることよりも、疑わない気持を大事にした。


北海道での生活は木造平屋のアパートメント。

二人の生活スペースは壁に遮られていた。

(=同棲スタイルの否定)。

隠れ家的な中華飯店で食べる焼豚炒飯が

今の二人のトレンド。

「巡海a」においては自宅で再現しようと

毎日研究に余念が無い。


燃え尽き症候群と言う邦楽BANDの

「模範囚」と言う楽曲を

音楽アプリケーション経由で聴いて

二人でさめざめと泣いた。

生きる、と言うことは懲役刑なのか……

二人は北海道に来て良き大学生活を送っていたが

他県に暮らす、かつての恋人を思い出しては

胸が締め付けられる思いがした。

北海道残留組を名乗った以上、

この広大な土地の外側を覗くことは許されない。

緑の床のように広がる、自由で不自由な座敷牢。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る