第三十五話 パワーレベリング
高難易度ダンジョンの地下五階。
初めはここまで降りてくるつもりはなかったんだけど、地下四階までの魔物は俺がこの階に下りた瞬間本気で全力疾走して逃げるんだよ。
しかも以前の時よりひどい。
そりゃ、あの時に比べてステータスが倍近くになってるけどさ。
「本当に逃げていくのね。驚いたわ」
「そうだろ。俺もあそこまで逃げるとは思わなかった」
「バフの威力も異常だし、このことを知ったらみんなあなたとパーティを組みたがるわ。どうして私を助けてくれる気になったの?」
「そこまで怪我をしながら、友達を助ける為に冒険者を続けようとしてたからかな? それに、相手にされなくてソロの気持ちはよく知ってる」
今は顔が右半分隠れてるし、その痛みのせいなのか表情も険しい。
元々は美人だって話だけどね。
さて、そろそろその傷を治してみますか。
「
「え? ……よく考えれば、ここまで強い
「それじゃあ行くよ。奇跡の再生!!」
再生よりもう一つ上の回復魔法。
傷跡はもちろん、身体で弱っている部分も確実に治す。
更に言えば俺が使うと一万以上の回復魔法も同時に掛かるから、生命力なんかも完全回復だ……。
「……嘘!! 抉られて無くなってた私の耳が……。あんなに酷かった頬の傷まで!!」
「鏡はあるよ。見てみる?」
「ありがとう……。っ!! こんなに簡単に……」
「友達の足は
俺が治すのと、一緒に戦った仲間に治して貰うんじゃ意味が違うだろう。
俺じゃ心の傷までは治せないしな。
「本当にありがとう……。あの、
「
「いい名前ね」
「そう? 俺はこの変わった名前は割と苦手だけどね」
さて、これで後は
ところで、さっきから
「そろそろ魔物を倒しましょうか。えっと、私が使える攻撃魔法はロックバレット位よ」
「白黄と他には?」
「青。だからさっきの緑の話はうれしかったわ」
そんな事より、攻撃手段があったのがうれしい。
「でもとりあえず白をあげないといけないね」
「必要な白レベルは後四つ。仮に十まで上げても多分十分にポイントが残るわ」
「ここの魔物は強いからね。バフはまだ切れてないよね? 攻撃する前にファイナルアタックをかけるから言ってね」
「……本当に凄いのね」
「これでロックバレットの攻撃力が軽く千を超える。普通の魔物だったら一撃だよ」
平均的な魔物の魔法防御力は百程度で、この辺りの魔物でも二百を超える事は絶対にない。
で、この階層の魔物の平均的な生命力が五百程度なので、確実にオーバーキルだろう。
大体全ステータスをプラス百したら、たとえレベル二の冒険者でも二色持ちのカンスト直前以上のステになるしね。
さて、俺達が選んだ標的は……。
「あそこにいるギガントミノタウルスでいい?」
「そんなに気軽に戦う事を決めていい敵じゃないんだけどね。……ロックパレット!!」
全ステータスプラス百の効果はすさまじく、かなり高スピードでギガントミノタウルスを捕えた石の塊は簡単にその体に大穴をあけた。
豆腐とまではいわないけど、結構柔らかかったな。
「倒せた!! ホントに一撃で倒せちゃった!! 嘘!! レベルが上がったわ!!」
「おめでとう。えっと、ポイントは足りそう?」
「基本的に経験値が多い上にレベル差ボーナスが入ってレベル三十まで上がってるわ!! ポイントは……、ステータスポイント三百二十二とスキルポイント二百」
それだけあれば賢力を百まで上げてもおつりがくるし、スキルポイントが二百あれば余裕で二色をレベル一から最大まで上げる事が出来る。
基本五色はレベル一から十まで上げるのに必要なポイントが七十八だからね。
「それじゃあ、あそこにある魔石拾って帰ろうか。他のドロップは……、無いみたいだけど」
「お礼って訳じゃないけど、せめてその魔石だけでも受け取って貰えないかな?」
「わかった。それじゃあ帰ろう」
帰り道も当然魔物の襲撃なんてなかった。
というか、ずっと俺の後ろで何か呟いてる
傷が治った
今日限りのパーティなんだけど、傷が治った
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