第15話 突然の来訪者
突然入ってきた男子生徒は近くにあった椅子に座り顎で私たちを出ていくように促した。
「……何で?」
突然勝手に入ってきて身勝手な振る舞いをする男に対して言いたいことは沢山あったが、驚きすぎて出てきた言葉はそれだけだった。
「この教室は許可証が必要なのか?」
龍が聞く。
「は? 知らねーよ。いいからさっさと出ていけ。お前らには廃れた階段がお似合いだろ」
そう言って男は鼻で笑った。
「私たちが先に居たんだからそっちが出ていけば」
あまりに図々しい態度に思わず喧嘩腰になる。
すると今度は四人の男女が入ってきた。
「やっと見つけた」
その中の一人の男子生徒が言った。
「おせーぞ」
男が言う。
「この教室にするの? なんかパッとしないね」
「前んとこが使えなくなっちまったんだから仕方ないだろ。こんなんでも部屋なだけマシだろ」
私たちを無視して男どもは会話を続ける。
「……彼ら、僕たちが階段にいたこと知ってるんだね」
隣でボソッと四季が言った。
確かに、あの場所はあまり人が来ない場所なのになぜ知ってるんだろう。
後ろで申し訳なさそうにこちらの様子を伺っている女子生徒が目に入った。
あれ、あの子たち……。
「そんなにここ使いたいなら僕たちが別のところに移るから使っていいよ」
日向が言った。
誰が見ても腹が立つような身勝手な人たちなのに「部屋はまだ沢山あるから」とヘラヘラ笑っている。
「はっ、お前ら勉強なんかしてんのか。どうせ全員バカなんだろ。残念だったな、俺たちに協力してもらえなくて。馬鹿は馬鹿同士馴れ合ってろ。どうせ合格できないんだから」
男は明らかに見下して言った。
なぜこの男は話したこともないのにこんなにも喧嘩腰で失礼なのか。
「僕たちは別のところで勉強するから」
四季が冷ややかに言う。
「行こう」と言われみんなの後に続いて部屋を出た。
近くに空いている部屋は沢山あったが、少し歩いてできるだけ遠くの部屋を探した。
「この辺にしよっか」
日向が言った。
狭くもなく、広すぎず、6人でいるのにちょうど良い大きさの部屋。廊下側には窓がなく、人目を気にする必要はなさそうだ。鍵をかけることもできるこの部屋にすることにした。
紅羽と日向は何事もなかったかのようにすぐに席に座りさっきやった問題の復習を始める。
もやもやしているのは私だけなのだろうか、なんて思っていたら日向と目があった。
「気にならないの?」
思わず聞いてしまった。
「それどころじゃないからねー」
日向はあっけらかんとして言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます