第11話 情報共有します
「私は青森夢。グループは違えどみんなで仲良くできたらいいなって思ってます。よろしくね」
そう言って夢はにこやかに微笑む。ショートカットに意志の強そうな大きな瞳が光っている。笑うと女の子らしさが増して可愛らしい。明るい女の子という感じがする。
私たちは「よろしく」と軽く返事をする。
「竹内綾子です。よろしく」
続いて吊り目の一つ縛りの女子がそう言って笑った。
「霜月柚月です。よろしくお願いします」
その隣のお淑やかそうな女子がぺこりと頭を下げる。
「宮後優斗です。よろしく」
背の高い大人しそうな男子が言った。
「宮下幸弘です。お互いに協力できたらいいな。よろしく」
優しそうな男子が和かにに言った。
全員の挨拶が終わってこのグループは全体的に穏やかそうな印象を受けた。主張の強い人や癖がある人が居らずまとまっている。ワンマンチームじゃなくてみんなでなんとかしようと言う感じが伝わってくる。
「それじゃあ僕たちも自己紹介するね」
日向が切り出した。
「僕は飛羽日向。よろしく」
真ん中に居た日向が挨拶したので次に誰が言うべきか一瞬迷う。右にいる私が言うべきか左の四季が言うべきか……なんて考えていたら間髪入れずに四季が挨拶した。続いて龍も挨拶する。
紅羽が様子を伺うようにこちらを見ているので次に私が挨拶した。その後に紅羽も小さな声で挨拶をする。
「それで早速だけど、次の試験についてお互い知っていることを共有しよっか……、それとも趣味とか教え合う?」
夢が悪戯っ子そうに笑う。その一言で部屋の空気が一気に緩んだ。
「僕はねー」と話し始めようとした日向を止める。
「いや、大丈夫。試験について話あいましょう」
お互い探るような空気がなくなり、話しやすくなった。日向に話をさせたら今日が終わってしまいそうなのでさっさと進める。
「まずはお互いが知っていることを全部話そっか。何個とか決めなくても大丈夫だよね? 今回の試験に関しては隠しているからといって有利になるわけじゃなさそうだし、私たちは全部伝えるつもりだけど」
伺うように夢はこちらを見る。
「本当!? 僕たちも知っている情報は全部話すよ」
考える間もなく日向が言った。
夢の言う通り隠していても仕方がないのだろうが、……本当に全て話しても大丈夫なのだろうか。日向としては少しでも試験の情報が欲しいらしい。そこまで勉強したくないのか、……いや、足を引っ張りたくない彼なりの優しさだと思うことにしよう。
「ありがとう! じゃあ、早速私たちから話すね」
嬉しそうに言う夢を龍が遮った。
「まずは俺たちから話そう。先に提案したのもこっちだからな」
驚いたように向こうのメンバーが龍を見る。
「そ、そう。わかったわ。それじゃあお願いするね」
こちらの方から提案するのは予想していなかったのか夢は一瞬驚いたようだったが、すぐに笑顔で言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます