第9話 協力しましょ!

他のグループと協力すれば、何か新しい情報が得られるかもしれない。ちょっとでも負担が減るなら協力するのもありだと思う。

「せっかく手に入れた情報だけど他と競い合っているわけじゃないしね。もしかしたら試験の内容とか他のグループが持っているかもしれないし」

試験の内容という言葉に日向と紅羽が反応する。

「協力しよ!」

日向が勢いよく言った。

 

「協力するって言ってもどことするかだよね……」

四季が顎に手を当てて考える。

「どこか良さそうなところあるの?」

聞いても四季はうーんと曖昧な返事をするだけ。

他の人も何も言わない。

……そういえば、このグループは他に友達いないんだったな……私も含めて。

考えて少し悲しくなる。やっぱり、最初にもう少し人と話しておくんだった。

 

「誰でもいいじゃん。とりあえず話しかけてみよ!」

沈黙を破って日向が言った。

「でも、協力してくれるでしょうか……」

「私たちと仲のいい人いないもんね……」

女子二人でジメジメしたネガティブオーラを醸し出す。

「それは聞いてみないとわからないじゃん。ここで考えても仕方ないし。でしょ、龍、四季」

日向の問いかけに二人は頷く。

「俺たちも有益な情報を持っている。何も臆することはない」

「龍の言う通りだよ。いいカードは持ってるし大丈夫、大丈夫」

確かにその通りかもしれない。紅羽も勇気付けられたのか少し元気になっていた。男子三人がこんなに頼もしく感じるなんてとみんなの背中を見ながら一人で感動していた。

 

 

「誰に声をかけるの?」

日向の耳元で囁く。

教室には数グループが残っていた。とはいえ広い教室でそれぞれが距離を取って話していたので1グループずつ交渉することになりそうだ。

入り口でもたもたしていたせいか何人か警戒したようにこちらをチラチラ見てくる。これ以上いても不信がられそうなので一回廊下に出た。

「そもそも、みんなで行くの?」

全員で行くのも変な感じがする。一人が声をかけに言って様子を見てみんなで話し合うとかの方が良さそうだけど。

「? みんなで行けばいいじゃん」

何を言っているんだと言うような顔で日向が言った。

「全員で行ったら威圧的な感じがしない? どうせ話すの一人だろうし」

「みんなで顔合わせた方がお互いの雰囲気わかりやすいじゃん」

日向が言った。

「大丈夫だよ。そんなに気にしなくても」

私が反論する前に四季が話す。気にしすぎ……なのか? 大事なことだと思うけど。紅羽も私の顔を見て頷く。男子に任せてみようと言うことだろうか。

「わかった。行こう」

そう言って再び教室の扉を開けた。

 

日向を先頭に私と紅羽は男子の後ろについていく。

「ちょっと今いいかな」

人懐っこそうな笑顔を浮かべて日向が話しかけた。

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