第7話 高校卒業レベル

「学校が考える高校卒業レベルか……」

学力的にはどのくらいなんだ?

「義務教育は中学で終わっていますしね……」

「大学に入る前までだよね。就職する人もいるし」

「成人して責任も増えるな」

紅羽の言葉に四季、龍と続く。

「社会人として生きていくこともできる年齢ってことね」

「一人暮らしもできるよね。あと免許も取れるしカードも持てる。憧れるなぁー」

日向が目を輝かせる。周りからしたら心配でならないが。

「高校卒業は一人でも社会で生活できる知識が持てている段階ということでしょうか」

今までの会話から紅羽が推測する。

「正直、数学とか物理、化学とかいらないでしょ。英語も国内にいるうちは喋れなくても構わないし、国語も最低限の漢字がわかっていれば困らないし」

日向が口を尖らせる。

言いたいことはわからなくもないが、賛成もできないな。うまく説明できないけど最低限でいいとは思わない。社会で使わないような知識も学ぶことに意味はあると思う。

「確かに、今わからないことはスマホで全部調べられるしねー」

四季が言う。

「そうだよなー。調べられるんだからわざわざ知識を頭の中に入れておく必要はないよな。時間をかけて勉強しなくてもなくても一瞬で答えがわかるし……」

「……で、でも知識がなければそれが正解かわからないんじゃないでしょうか……」

紅羽が小さな声で反論する。その通りだ。日向、聞いていたか。

日向は腕を組んで固まっていた。正論パンチにやられたかと思っていたが、一点を見つめ微動だにしない。

「もしかしたら……いいこと思いついたかも」

急に笑顔になって叫ぶ。

「スマホだよ、スマホ!」

「……何が?」

意味がわからなくて聞き返す。しかし、隣で龍が「なるほど」と呟いた。

「確かに、そのことについては確認した方がいいかもしれない」

「何をですか?」

紅羽が聞く。

「今回の試験、スマホの使用が禁止かどうか」

……、確かに禁止事項について何も説明がない。一般的に考えれば禁止だろうけど前回の試験のことを考えたら確認することに意味はありそうだ。

「禁止されていないってことは使っていいってことだよねー」

四季が言う。確かにそうだ。言われていないなら文句を言われる筋合いはない。

「今回の試験、もしかしてすっごく楽なんじゃない」

日向が楽観的に笑った。

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