第6話 作戦会議 (2)

「今年の試験は今までとは方向性が違うみたいだよ。あと、試験の方法なんだけど––––」

「ちょ、ちょっと待って」

話を続けようとする四季の言葉を遮る。

「四季、先生の所に行ってたの!?」

「うん、ちょうど見かけたから直接聞く方が早いかなーって思って」

……確かに先輩に聞くより確実だ。

「そういえば説明の時に質問してたっけ」

日向が納得したように頷く。

「それで話の続きだけど、試験は筆記試験だけじゃなさそうなんだよね。もしかしたら面接とか論文?みたいなものもあるのかもしれないみたい」

「面接ですか……」

紅羽が呟く。どうやら苦手なようだ。

それにしても四季の説明は歯切れが悪い。ふわふわしているのはいつものことだが。

「具体的に何をするのかは聞けなかったの?」

「それは教えてくれなかった」

流石にそこまでは聞き出せないか。一応試験だからな。

「高校卒業レベルか……」

龍がポツリと呟く。

「どうしたの?」

「教師が説明していた言葉だ」

「あー、試験内容の説明の時に言ってたことか。でもそれって高卒認定のことじゃないの?」

日向が首を傾げた。

「教師は一切高卒認定とは言っていない。確か“高校卒業レベルに相当したもの”と言っていた。学校が考える高校卒業レベルについて考える必要がありそうだ」

どうやらこの試験は単純なものではないらしい。学校側は私たちに何を望んでいるのか。

「これで少し進んだね」と日向と四季は嬉しそうだ。龍も満足そうにしている。一方で私と紅羽の表情は晴れない。まだどう対策すればいいか見当もつかない。

「大丈夫でしょうか……」

不安そうに呟く紅羽の顔を四季が覗き込む。

「大丈夫だよ、ちゃんと前に進んでるから」

楽観的なようだが純粋な笑顔はなぜか大丈夫なんじゃないかと言う気持ちにさせてくる。

確かに、何も分からなかった時よりは進歩している。悲観的になっても仕方ない。さあ、もう一度作戦会議をしよう。

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