おまけ バレンタイン
★掲載時バレンタインでしたので。スピンオフです。★
「お兄様、そのチョコ、誰からですか?」
家に帰るなり、萌々子から問い詰められる俺。
「アリス部長だよ」
「ピエールマルコリーニですよね?」
「ピ、ピエールマルコメ?」
「マルコリーニ。ベルギーの有名なチョコです。高いんですよ」
そうなの? アリス部長、
「幼いころブリュッセルで見つけたチョコのお店なんだ。なかなかリーズナブルな価格でね、向こうでは毎日おやつにしてたくらいさ。というわけで、義理チョコにもってこいなんだ。最近は日本でも売ってるが、ベルギーから空輸してもらってる。兄が本店から空輸したやつに限るとうるさくてね。はっはっは、とんだ無駄遣いだ」
って言ってたんだけれども。違うのか?
「くんくん。他にもチョコの匂いがします」
まるで犬のように鼻を近づけてくる。
「正直に言いなさい。他にもチョコもらいましたね?」
貰った。近藤さんから。
「早く出して」
萌々子が手を出す。
「ほれ」
鞄からラッピングされた包みを出す。
「て、手作りっぽいわ」
「手作りチョコブラウニーだそうだ」
手作りチョコブラウニー。近藤珈琲店の新作ケーキ by 近藤さん、なのだそうだ「試作品なの。ちょうどバレンタインだし、マメくんにあげる。感想教えてね」とのことで、貰った。
試作品の味見を兼ねてるなんて、完璧に義理チョコだろ。
「はぐぅっ!」
「どうした?」
「て、手作りブラウニーですって!?」
「うん。近藤珈琲店のケーキはすべて手作りだそうだよ。基本お父さんが作るらしいけど、土日のスペシャルケーキは近藤さんが作るらしい。美味しいと評判らしいぞ。今度食べに行こう」
「お断りします!」
「なんで? ケーキ好きじゃん」
「ダイエット中なんです、萌々子!」
初めて聞いた。
「お兄様もダイエットしてください。あと2カ月もしないでお兄様は
18歳、成人です。成人病が心配です。甘いものの食べ過ぎはよくありません。糖質制限します!」
18歳で成人病ないだろ。
「ですから、萌々子の手作りチョコだけ食べて」
それも糖質じゃないのか?
……というわけで、その日は結局萌々子の作ったチョコだけ食べたのだった。
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