第2話【提案=脅迫】

ここは、赤羽教団の拠点の1つが設置されている北華。


ここには研究所も設置されているため、

教祖の赤羽と赤羽の側近である石堵誠と御波栢がいた。


赤羽が「誘拐してきた6人はどうしていますか?」と誠と栢に聞いた。

「6人共会場に閉じ込めています。」と誠が答えた。


私は赤羽教団の教祖、赤羽四久です。


私がこの教団を設立した最初の目的は、

人間の域を離れた能力を持ち、いずれ来るであろう戦争に備え、


圧倒的な戦闘能力を持つ人材を古来渡帝国、皇帝に捧げ、

私の価値を認めさせることでした。


しかし、皇帝である大志は私が設立した教団への活動許可を出さず、

教団を正式な宗教団体として認めることは出来ない、と言った。


私はこの出来事をきっかけに、

古来渡帝国を滅ぼし、他国で活動することを決意したのです。


さて、話は少し戻りますが、

先程出た6名の者達は、

私が各国の闇市から入手した怪物の血液を注入する用に誘拐した人材のことです。


今回誘拐してきた6名のには個人的に期待しているので、

これから行われるであろう〝教育〟に耐え、

私の計画の一因を担ってくださることを願っています。


誘拐され監獄のような場所に閉じ込められた6人は、

部屋に入ってきた3人に一斉に目を向けた。

3人は戸惑っている榊達6人に向けて話しだした。


「おはようございます。これから君たちには私の教育を受け、

完璧な実験体になってもらいます。」と笑顔で言い、

続けて

「申し遅れました。私の名は赤羽四久、と申します。この、赤羽教団の教祖です。」と自己紹介を始めた。


次に赤羽の右隣に立っている男性が

「僕の名前は御波栢(みなみかや)。よろしくね。」と言い、

左隣に立っている男性が

「俺は石堵誠(せきとまこと)だ。よろしくな。」と言った。


赤羽は「君達がなぜこんな所にいて、これからどうなるのかは、

この後案内される部屋で各自それぞれに伝えていこうと思っていますから、

安心してくださいね。」と言い、

教員達に6人を部屋へ案内させた。


 部屋に案内された榊は一緒に部屋に案内された赤羽達から説明を受けた。


その内容は

「未華榊くん。君はここに連れてこられる前両親が殺害されたという報告を受けていますよね?」と言われ、

どうして知っているのか謎に思いながらも「はい。」と答えた。


「殺害したのは私達、赤羽教団です。」


榊は苦笑いし、「はい?、、、それはどういう、、。」と戸惑いを隠せなかった。


赤羽はさも悲しいかのように

「実は君の両親に君を実験体にしていいからお金をくれ、と頼まれまして、

私は本当にいいのかを2回程聞きましたが、

お金をくれ、としか言わないのでその提案を受け入れ、お金を渡しました。

しかし、お金を受取った瞬間、私達のことを警察に通報しようとしました。

なのでやむをえず殺害してしまいました。」といい、


満面の笑みで「というのが君のご両親の死の真相です。」と言った。


正直、親の死の真相などどうでもいい。


そんなことよりも親が俺をこんな訳の分からない団体に売りつけたことに対しての

怒りが込み上げてきた。


「ふざけんなよ!!両親との縁なんか切ったも同然だ。

だからさっさと解放してくれ!」と怒りをあらわにし、頼み込んだ。


しかし、赤羽は無表情で、

「君が両親との縁を〝切ったつもり〟でも戸籍上は君はあの2人の息子なんです。

いい加減この状況を受け入れたらどうですか?

それにこの実験は君にとっても悪い話じゃないと思いますよ。」と言った。


俺は疑問に思い「悪い話じゃないって、どういう事だよ、。」と聞いた。


「この実験で君には様々な試練を乗り越えてもらって、

タイミングを見計らって、怪物の血液を注入する。」


「それのどこが悪い話じゃないんだよ!」


「人の話は最後まで聞きましょうね。

見事、怪物の血液がその身に適応した場合、

君は力を手に入れることができるんだよ。」と実験に関して、簡潔に説明された。


俺は頭を整理し、1つの疑問が思い浮かんだ。


「さっき、適応したらって言ったけど、もし、適応しなかったらどうなるんだよ。」と聞くと、バツが悪そうに


「そ、それは、、、そうなったらそうなった時ですよ!

と、とりあえず!教員付き添いじゃないと君はこの部屋から出ることはできないし、仮に出れたとしても、出口までの道は私と、私の側近しか知らない。

だから逃げようなんて無駄な事は考えずに、

明日から始まる試練に備えて心の準備でもしとくんだよ。」と言った。


赤羽が出て行った後、

悔しさとこれから何が起こるか分からない恐怖でその場に泣き崩れた。


 榊の部屋を出た赤羽は次に暗の部屋へと向かった。


「ご気分はいかかですか?暗さん。」と満面の笑みで部屋に入ってきた赤羽四久を、私は睨みつけた。「わー、こわーい、、、。」と棒読みで言い、挑発してきた。


私自身、この状況の説明を受けたいため、その挑発には乗らず、

とりあえず話を聞く態度をとった。


そんな私の態度に気づいた赤羽四久は淡々と話し始めた。


「まず、君がこんな状況下に置かれている理由は

施設の職員がお金と引き換えに君を売ったからであって、

無差別に選んだわけではない、ということを頭に入れておいてください。」


この話を聞いた瞬間、

心の中では恐怖と不安で震えていた私の心は怒りで震え始めた。


私の事を邪魔に思っていたことは知っていたし、私にも非はあるから、

思われるだけなら仕方ない、と思っていたけれど、

こんな訳の分からない教団に売りつけるなんて、ありえない!!


私の怒りに満ちた顔を見て、不気味な笑みを浮かべ、


「我々としては、これからあなたには多くの試練を乗り越え、

あなただけの力を手に入れてほしいと思っているのですが、どうですか?」


と言った。正直、赤羽四久の言っていることの意味は理解していなかったけれど、

その時の私の頭の中は

“力を手に入れれば、復讐できる”ということしかなく、

この提案を受けることにした。


 拓矢は赤羽が来るまでの間、この状況を整理していた。


僕は誘拐された。ここがどこかは分からない。

さらに、何の目的で誘拐されたのかもわからない。


つまりはこの部屋に監禁されている、という事実以外の情報が一切無い。


正直、恐怖で押しつぶされそうだが、

すぐに殺さず、わざわざ個室に監禁するということは、僕が必要なのだろう。


一旦落ち着こう。


そんなことを考えていると、赤羽が部屋に入ってきた。


部屋に入ってきた瞬間、僕は口を開いた。

「早くこの状況を説明していただけませんかね。」


「そんなに急かさなくてもいいではありませんか。、、、まぁ、良いでしょう。

君は賢い。が故に皆に見捨てられ、。

とても可哀想な君に復讐できるように力を与えたいと思っているんだ。

もちろんタダで手に入るわけじゃない。

これから君には沢山の試練を乗り越えてもらわないといけないけれど、

特に問題ないよね?」


この男、明らかに僕を挑発している。


もちろんそんな幼稚な挑発に乗る僕ではないが、

「その提案(もはや脅迫だが、)断ったらどうなるんですか?」と質問した。


すると、「どうなると思いますか?」と返ってきた。


この提案を断ったら、最悪殺されるのだろう。


生かされたとしてもろくなことにはならないことだけは分かる。


なら、僕がとる決断は一つしかない。


「わかりました。その提案、受けましょう。」


 怖いよ、なんで僕がこんな目に遭わなくちゃいけないの、?


そんなことを考えていると教祖だと言っていた人がはいってきて、

この状況の説明をしてくれた。


「海くん、君がこんな状況なのは、君の両親のせいなんだ。


とても残酷なことを言うんだけどね、

君の両親は、海外であるプロジェクトに取り組んでいたんだけど、

そのプロジェクトがうまくいかなくて、日に日に借金が増えていったらしいんだ。

借金を返済して、プロジェクトを続けたかった君の両親は、

君をこの教団に売って、それで得たお金で借金を返し、

今はプロジェクトが成功しているらしい。」


、、、え、両親が僕を売った、?


あまりにも残酷な現実だったため、この時の僕は

事実を受け入れることができなかった。


「ひどい親ですよね~。そんな君に慈悲を与えてあげようと思うのですが

どうしますか~?」


「慈悲、?」


「えぇ。君にはこれから様々な試練に耐えてもらって、

君だけの能力を手に入れてほしいと思っているのですが、いいですよね?」


この人の言っていることを全て理解できなかったけど、

たぶんこの話を断ったら僕は殺される。


本能でそれを感じたため、この提案を受けることにした。


 僕は絶望していた。


パパとママは僕のことなんか愛していなかった。


いったい僕は何のために生まれてきたんだろう、?


そんなことを考えていると赤羽が入ってきて、この状況の説明や、

僕が今後この人達の下で、この施設で、

色んなことをしなければならないなどを聞かされたけど


この時の僕は、

両親に売られた、両親に愛されていなかったことで頭がいっぱいで

赤羽の話を聞いていなかった。


自身の提案を受けるか、と聞かれた時も黙っていた為、

了承したのだと勝手に解釈されてしまった。


「“こんなこと”で絶望していたら、今後大変でしょうね~。」


という意味深な言葉ももちろん聞こえていなかった。


 これは一体どういうことなんだよ!


俺はこんなところに閉じ込められるような人間じゃねぇんだよ!けど、

この部屋の色んな所殴ったり蹴ったりしてもビクともしねぇ。


正直詰んでる。くっそ!!


「あー、だいぶ暴れましたねぇ。」


こいつ、さっき教祖とか言ってた赤羽か、?「何なんだよ!」

「そんなにカッカしないでくださいよ。話だけでも聞いてくれませんかね~?」


こいつ、何か癪に障るヤツだな。まぁ、この状況を説明してほしかったし、

「聞くだけ聞いてやる。」


「ありがとうございます。では早速、君は強い。

けれど、もっと強くなりたくありませんか?」


「どういうことだよ。」と聞くと

赤羽はペラペラ話し始めた。


「君が少しの試練に耐えれば、

今以上の力を手に入れることができるのですが、どうします?」


正直力は欲しい。けど、いかにも怪しい話に乗っていいんだろうか、、、。

いやいや!こんな時こそ自分の直感信じねぇでどうすんだよ、俺!!


「いいぜ、その話乗ってやるよ!」


この時の自分の“直感”を後に後悔することになる。












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