遣らずの雨

 晴れ渡っていた空はいつしか曇り空となり、突然雨が降り出した。

「雨が上がるまでは内に居ていいよ」

 彼女の言葉に甘え、俺はもう少し家にお邪魔することにした。彼女は県外の大学に受かったため、明日この家から出ていく。俺は幼馴染として、彼女の引越し作業を手伝った。いや、手伝わされたというのが正しい。

 俺はソファーに座りながら、雨の様子を眺めていた。彼女ともう会うことは当分ないと思うと心がギュッとする。今更になって、彼女への恋心に気づいてしまったらしい。

 このまま雨がずっと降り続ければいいのに。なんて、止まない雨などあるはずもないのに、ありもしない幻想を抱くほど心はボロボロだった。

 晴れた道を沈んだ気分で歩くのは嫌だな。なら解決策は一つだろう。

「なあ、ずっとお前に言いたかったことがあるんだ」

 隣に座る彼女の表情を見る。彼女の瞳は太陽のように光り輝いていた。

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