ばんそうこうをはる
きつねのなにか
ばんそうこうは傷に貼る大切な医療道具
はい、ばんそうこう
ありがと、これでいたくない
またけがしたの、はい、ばんそうこう
ありがと、これでまたがんばれる
わたしはかれのばんそうこうかかり
かれがきずをしたらわたしがばんそうこうをはるの
でもおとなになるにつれてけがもしなくなって
ねえ、もう、ばんそうこうは、いらないかな
皮膚の怪我にはいらない、でも
でも
心の傷にばんそうこうを貼ってほしい
うん、わかった
じゃあ早速貼って貰えるかな
え、もう心に傷があるの
いや、これから君に告白するから緊張で心に傷が付いちゃって
バカ、そんなの告白しなくてももう心は一緒だよ
私はばんそうこう係
彼の傷にばんそうこうを貼って、傷を埋めるの
そんな関係をしていたとき、突然彼がいなくなった
自動車事故だった。即死、とのこと
それじゃ、ばんそうこうはれないじゃない
失意にくれていたとき、私の部屋に彼が突然やってきた
おかしいな、鍵はかけていたのに。合鍵渡していたっけかな
よう、最後に一発パーッとやろうや
やだよ、最期なんて、絶対に嫌
それでも悲しすぎた私の心には彼との愛瀬がたまらなく欲しくて
なんども体を重ね合った
おかしいよね、死んでる相手なのに
でも私は求めた
重ね合ってるときは夢の中で
夢から覚めたら消えてしまいそうで
消えてほしくない
消えないでよ
ふう。よし、これがお前に出来る精一杯のばんそうこうだ。俺を振り切って、良い人生を送るんだぞ
やだよ、帰らないでよ
そうはいかねえんだ。強く生きろ、強くな!
そういって、ばんそうこうを貼る相手は消えてしまった
もっと、もっと、ばんそうこうを貼ってもらえればよかった。もっと、もっと
私だけばんそうこうを貼る記憶だけで、どうやって強く生きろっていうの
葬儀が終わってさんかげつご、生理不順で病院に行ったら、妊娠が発覚した。わたしは、してない、だれとも
妊娠は隠し、出産は秘密出産で行った。可愛い男の子だ。名前は彼の名前から何文字かもらった名前にした
俺を振り切れって、振り切れるわけ無いでしょ、ばか
これから、また、ばんそうこうを貼らないといけないね
そして、こんどは私にばんそうこうをはってもらって生を終えられるといいな
ばんそうこう、それは傷を塞ぐもの。それがどんな傷であっても
ばんそうこうをはる きつねのなにか @nekononanika
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます