キャラと対話しよう
あらすじが完成したのでどんどん書いていきましょう。この辺りで「聖法衣」についての設定と本格的に登場するレムレスの背景を真剣に考える必要が出てきました。そこでとりあえずルベリアさんを捕らえさせて、レムレスと直接話をさせることにしました。
地下牢でのシーンを書きながら、とにかくレムレスはルベリアを「聖法衣を着ていなければただの女」と認識していることに気がつきました。設定としてルベリアは誰からも慕われる聖女のはずですが、何故かレムレスだけはそう思っていない。当初は「聖女すら下に見ている傲慢な男」というくらいの書き方でしたが、そう思うには何か理由があるだろう、ということで「実はルベリア自身に惚れている」という理由付けが出てきました。当初の概要には「ルベリアに愛はない」って書いてあるけど……まあいいか。
この作者、キャラの設定は結構キャラ自身と話し合いながら決めているところがあります。実際に書いてみて「そうか、お前はそういう奴だったのか」ということは結構あります。こうやって書くまで設定がポジションくらいで曖昧のままで、実際に書いてみてキャラが決定することはよくあることでした。今回のレムレスが顕著です。
余談ですが、竜は凶兆と作中ではかっこよく描写していますが、要は中世ヨーロッパでいうところの悪魔とか魔女に相当するものとして書いています。日本風に言うと穢れ、つまりエンガチョです。現代日本だとドブネズミとかゴキブリみたいなものですね。それをさっと持ち上げるルベリアはすごいのですが、実はレムレスもさっとティアを持ち上げるんですね……そういう意味でこの2人は非常に似た性格です。
そこでルベリアと本質は同じ、しかし性格の影の部分を担当したのがレムレス、という方針が決まりました。ルベリアは国教会の教えを忠実に守り、国教会の光の部分を担当していたとすればレムレスは外交やその他の影の部分を担っていたことになります。行動理由は決定しましたが、やらせることは大して変えません。後は作中にある通りです。
レムレスの方針が決まったところで、ここから竜の里に行くまでルベリアさんにはひたすら惨めになってもらってレムレスたちへのヘイトを高めないといけません。とにかくヘイトを溜めさせながら、作者はこの後のスケジュール管理をしていました。執筆のスケジュールだけではありません。作中のタイムテーブルです。
レムレスの戴冠式がある、というのは決定事項でしたが果たして「聖女処刑」というショッキングな出来事と国民が距離を取れるのはいつ頃かという問題が浮上していました。「戴冠式イエーイ!」となってるところに死んだはずの聖女が乗り込んでくるから面白いのであって、聖女処刑の悲しみが無くなる前に乗り込んできたら「うおお聖女様やっぱり生きておられた!」みたいになるじゃないですか。
そこでルベリアの死の衝撃が薄れるのが数か月後として、そこに戴冠式を設定しました。すると再び問題がありまして、西竜の里へ行ってルベリアがすぐに元気になってしまっては「さあ急いで聖法衣を取り戻しに行きましょう!」と戴冠式の前にロメールに戻ることになります。つまりルベリアさんには全治数か月の重傷を負ってもらわないといけないことになりました。そこで思いついたのが全身焼き印です。流石に全身に火傷を負わせればいくら何でも一か月は動けないだろう、と。そこから体力や気力の回復まで数か月、と計算しました。
つまりですね……ルベリアさんが焼き印を施された真の理由は「作中の時間的都合」というろくでもない理由でした。ちなみに晒し刑は「ルベリアさんの心理描写をじっくり書くための猶予」だったりします。それもこれも当初は「レムレスの意地悪」で済ませようとしていましたが、「好きな子に意地悪しちゃうの進化形」に変更になりました。最悪だな!
ここまでで11月は終わり、カクヨムコンが始まりました。後は書きながら頑張って連載していくしかありません。
次回、書きながら考えるの後半戦です。
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