第七夜:孤高の人

 謎の感染症が流行し、全人類が絶滅の危機に直面していた。

 私は、医学の進歩を信じ、研究中の長期冷凍保存装置に、生き残りをかけた。

 タイマーを百年後にセットすると、カプセルを閉じた。

 しかし、私は、既に未知のウィルスに感染していた。


 長い眠りから覚めると、反射的にタイマーを見た。

 西暦100025年……。

「おはよう、気分はどうかね?」

 私の傍らで、丸い身体から、たくさんの触手のようなものをはやした、異様な生物が話し掛けてきた。

「君は、人類最後の生き残りだ。素晴らしい! ありがとう。今後、我々の起源の研究にもたらす功績は、計り知れない!

 何しろ、君の身体の中で、太古の我々の祖先が生きているんだからね。」

(了)



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