社畜【シャチク】

陰猫(改)

第1話

 ──シャチク。


 ジャパニーズブラックグローバルカンパニーを裏から支えるサムライ、ニンジャ、サラリーマンの次に世界を代表的なジャパニーズワードである。

 シャチクソウルを宿した者は尋常ならざるワークパワーを発揮し、ジャパニーズブラックグローバルカンパニーで日々鍛練していると言う。


 いま、この世界に新たなシャチクソウルを宿した者が現れようとしていた。

 そんなブラックグローバルカンパニーの存在に脅威を感じたホワイトハウスやペンタゴンはジャパニーズブラックグローバル技術を封じるべく、ホワイトグローバルカンパニーを取り入れる。

 ジャパニーズヒューマンが持つソウルパワーがいつ、また恐ろしいモンスターの存在を産むかは古事記にも記されている。

 故にホワイトカンパニーを増やす必要があった。


「本当に入るのか?」


 閉鎖されたジャパニーズブラックグローバルカンパニー養成訓練施設の前で実況準備をするケニーにアルマンは質問する。

 その質問にケニーは答えた。


「ジャパニーズブラックウォーリアの手掛かりがあるかも知れないのよ。調べない方がおかしいわ」

「そうかも知れないが、10年前の施設だろう?

 本当にこんな場所にジャパニーズブラックウォーリアの秘密が隠されているのか?」


 アルマンは念仏を唱えながらハッキングして扉を開けるケニーについていく。

 ケニーは扉を閉めると懐中電灯を点け、周囲を見渡す。

 アルマンはカメラを構えて実況をするケニーを撮影する。


「アナウンサーのケニーです。今日はジャパニーズブラックウォーリア・シャチクの秘密を探る為に10年前に閉鎖された養成訓練施設に侵入しています。

 中は思っていたよりも綺麗にされています。恐らくはジャパニーズ・クリーナーがいるのでしょう。ジャパニーズヒューマンは本当に綺麗好きなようです。これより我々は更に奥へと入ります」


 ケニーはアルマンと一緒に奥へと進む。

 不意にアルマンが足を止める。


「ちょっと待てよ、ケニー。おかしくないか?」

「おかしいって何が?」

「10年前に閉鎖された施設なのにいまだにエネルギーが供給されているんだろ?

 セキュリティも生きていたんだぞ?」

「確かに言われてみれば・・・」


 次の瞬間、頭上の電灯が一斉に点灯してケニーとアルマンは驚く。


「何かわからないが逃げた方が良くないか?」

「ここまで来て逃げるの?」

「だってヤバいだろ、この状況は?・・・こいつは罠の臭いがするぜ」


 そんな話をしていると奥から足音が響く。

 アルマンは顔を真っ青にして元来た道へと逃げ出そうとした。

 しかし、何かがアルマンの前にふさがっている。


「う、うわああああぁぁぁーーっっ!!」


 そこで撮影映像は終わり、ホワイトハウスで会議がされる。


「まさか、ブラックグローバルカンパニーの養成訓練施設がまだ機能していたとは・・・」

「シャチクはやはり、いまでも存在するのか・・・厄介なものだ」

「シャチクはジャパニーズサラリーマンの上位互換だと聞く。ジャパニーズサラリーマンだけでも厄介だったのにシャチクが経済侵食するのは避けねばならない。

 その為のホワイトプロジェクトだ。わかっているのかね?」

「モチロンですとも。ジャパニーズサラリーマンのブラックマインドは脅威です。

 我々はジャパニーズブラックグローバルカンパニーが増えるのを阻止しなくてはなりません」


「世に平穏のあらん事を」


 ジャパニーズブラックグローバルカンパニー。

 それは都市伝説のようなものだが、ジャパンに確かに存在するカンパニーである。

 今日もどこかで新たなシャチクが誕生し、世界に侵食するかも知れない。

 それを阻止しなくてはならない。ジャパニーズサラリーマンを失うショックもだが、後世の子孫の繁栄を考えるのならば、シャチクソウルは危険なものである。


 全ては明るい老後と未来の為に。世に平穏のあらん事を。

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