第20話 課題
(遠野視点)
特別メニューを行う。そう言った木村先生は、宮城に対して指を指した。
「宮城。お前は、得意のフラットショットに頼りすぎだ。もっとスピンをかけたショットを織り交ぜるべきだ。だから、宮城にはこれを渡す」
そう言って、コーチは自らのバッグから一本のラケットを取り出し、宮城に渡した。
「これは…?」
宮城に渡されたラケットは、縦ガット16本、横ガット21本のラケット。普通は縦ガット16本、横ガット19本のラケットでそれがショットのバランスを取る為の最適な造りとなっている。横ガットが19本より多ければ、スピンをかけにくく、19本より少なければ、スピンがかけやすくなる。今回、渡されたラケットは、横ガット21本なので、スピンをかけにくく、でフラットショットが打ちやすいラケットになっているはずだ。
「先生。どうしてこのようなラケットを…」
「このラケットは、スピンはかけづらいができない訳ではない。スピンをかける為のスイングができれば、しっかりとしたスピンボールが打てるはずだ。このラケットを使ってスピンとフラットの使い分けができるようにするんだ」
「分かりました。やってみます」
「ありがとう。明日から俺が専属で見るぞ。他のみんなにも課題を与えるからそれをしっかりこなしてくれ」
それから、先生がそれぞれに課題を言い渡した。木村先生の話したそれぞれの課題は要約すると…
遠野
自分から仕掛ける事が足りない。自分だけの武器を作れ。その為の筋力アップトレーニングを行え。
山田
怪我前以上の状態にする為に動体視力を上げるべき。専用機械で動体視力トレーニング。
阿西
強打を有効的に打つ為、打球が来る先により早く移動できるようにする事が課題。専用機械で動体視力トレーニング。
赤嶺
サーブのパワーがまだ足りない。壁打ち場で専用トレーニング。
喜納
独自のフラットとスライスサーブを混ぜ合わせたFSサーブをワイドだけでなく、センター、ボディどのポジションでも打てるようにする事。壁打ち場で専用トレーニング。
国吉
爆発的プレイをするには筋力アップが不可欠。筋力アップトレーニングを行う事。
坂田
強力なエッグボールを打つ為には、足腰の強化が必要。指定されたコースを走る事。
与那嶺
振り回されても走り負けない体力と、その体力の使い方を覚える。指定されたコースを走る事。
宮城は木村先生の元でコートで練習。俺と国吉がトレーニングルームで練習。山田と阿西がコートベンチで機械を使った動体視力トレーニング。喜納と赤嶺が壁打ち場での練習。坂田と与那嶺が校外に出てランニング。計5グループに分かれることになった。マネージャーの3人はこの5グループを見回ってサポートをするようだ。こうして明日からそれぞれの課題解決に向けたトレーニングが始まるのだった。
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