第32話

彦星と織姫は年に一度だけ会うことが許されています。

7月7日の夜空を見上げると天の川という綺麗な川が見えるのです。

その川にかかる大きな橋の上で二人は出会うことができます。

今日はその七夕の日。

私は一年に一度のこの時を楽しみにしていました。

「ねぇ、今年は私に会いに来てくれるの?」

「もちろんさ」

「本当?約束だよ」

「ああ」

そう言って彼は手を差し出してきた。

「何これ?握手でもするって言うの」

「違うよ」

「じゃあどういう意味?」

「君を抱きしめたいんだ」

「へぇ〜そんな事言っちゃうんだ。じゃあ覚悟してよね」

「もちろん。だって僕は君のことが好きだから」

「えっ?」

「だから好きなんだ。君は僕にとって一番大切な人だ」

「えっええええええ!!!」

「そんなに驚くことかな?」

「今まで一言も言わなかったじゃない」

「言ったよ」

「いつ?」

「去年のこの日に」

「えっ?嘘」

「ほら」

と彼はポケットから一枚の写真を取り出しました。

「これは?」

「僕の宝物」

「見せてくれる?」

「うん」

写真には二人の男女が写っていた。

この2人は昨年の彦星と織姫です。

また2人は来年も会おうねと約束をして別れました。

めでたしめでたし

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