第12話
シンデレラが街に買い物に出ると龍神太郎がやってきます。
「よぉ」
気さくに声をかけてくる。
「あら太郎さん。どうかしたんですか?」
「ちょっと相談があってね。今度舞踏会を開くんだけど一緒に来てくんないか?」
「でも私ドレスとか持ってないし」
そう言って断ろうとすると太郎は
「心配すんなって俺が用意するから。それにお前も参加して欲しいんだよ」
「どういうこと?」
「ちょっと知り合いに頼んで連れてきて欲しい人がいるんだ」
「私を連れてきてどうするつもり?」
「まぁそれは後で言うわ。とりあえず来てくれるだけでいいから頼むわ。もちろんタダとは言わねぇ。もし俺が優勝できたら何でも言うことを一つ聞いてやるぜ。どうだ?」
この言葉を聞き少し悩んだものの結局は承諾することにしました。
そして当日、約束通り馬車に乗って会場へと向かうとそこには煌めく宝石の数々が並べられていました。
しかし肝心の王子様の姿がありません。
どうしたものかと思っていると一人の女性が近づいてきた。
どうも様子が変だと思い警戒していると 彼女は
「初めまして。あなたがシンデレラですか。私の名は花子。早速だけど私と踊ってくれませんこと。是非あなたのことが知りたいのです。ねぇいいでしょう。」
と言う。
さらに続けて
「それともこれじゃ不服かしら。だったらもっと素敵なものをあげましょう。これをどうぞ。きっと似合うと思いますから。」
と言ってネックレスを渡してきた。
それを付けようとすると突然後ろから太郎が現れてそれを奪い取った。
「てめぇ何しにきやがった。」
と太郎。
しかしそれに対して相手は何も答えずそのまま立ち去ってしまった。
一体なんだったのかと考えているうちに太郎に話しかけられた。
なんでもあの女は太郎の知人で今日はどうしても外せない用事があるのだとか。
それで仕方なく代理としてやってきたのだという。
そしてダンスの時間となり、 二人で踊り始めた。
その最中
「なぁ」
と太郎が言ってきた。
「はい。なんでしょうか」
と答えると
「俺はあんたが好きだ。付き合ってほしい」
と言われた。
驚いていると
「やっぱりダメだよな。わかってたんだ。諦めようと思ってたけど最後に一度だけ思い出をくれないかな。嫌なら突き飛ばしてくれて構わないから」
そう言われてしまうと何も言えないまま時が流れていった。
しばらくして音楽が終わると同時にお開きとなった。
そしてその帰り道、私は彼にキスをされた。
その翌日彼の姿はどこにもなかった。
それもそのはずです。
だってシンデレラが夜に食べてしまったのだから
めでたしめでたし?
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