第26話 決闘前のマッサージ

 さて。ルーシィとシャルロッテの決闘の当日となった。


 俺がルーシィに教えることができたのは、一週間。その期間でルーシィが習得できたことは限られている。……ルーシィにちょっぴりえっちないたずらとかして遊んでいたせいもあるが。


 もともと水属性メインのシャルロッテに対し、炎属性メインのルーシィは圧倒的に不利だ。

 それでも、俺が教えたごくわずかな闇魔法があれば、ルーシィの勝利は揺るがない。そう確信していた。


 ただ、ルーシィは俺ほどは自信がないようだった。


 決闘の控室で、ルーシィは落ち着かなさそうにうろうろとしていた。不安なのだろう。

 ちなみに今のルーシィはぴたぴたの白いパイロットスーツみたいな不思議な服を着ている。


 安全のため、決闘のときはローブではなく、この専用スーツを着るのだそうだ。身体を魔法から守る特殊な力がかけられているスーツのため、一応理由は通っている。が、最大の理由はギャルゲーだからだろう。


 身体のラインがわかりすぎるほど浮き出ているし、ルーシィが歩くたびに大きな胸がぶるんぶるんと揺れる。胸の先端に、ちらっと突起が浮いてすらいるような……。


「さ、さすがにこの服、恥ずかしすぎない?」


 ルーシィが小声で俺に聞く。

 勝負だけでなく、そっちのほうも不安だったらしい。


 俺は微笑んだ。


「まさか。とても可愛いですよ」


 ルーシィはちょっとうれしそうにして、それからむうっと頬を膨らませる。


「可愛い可愛いって言われても、それだけで喜ぶほど安い女じゃないんだからね?」


 いや、いま喜んでましたよね?


「もっと具体的に褒めろってことですか?」


「そ、そうじゃない!」


 ともかく、俺は改めてルーシィを見て、もっと具体的に褒めようとする。

 赤色の髪が胸元にかかり、少しエロチックな雰囲気がある。


 胸だけでなくて、お尻の丸みや腰のくびれもはっきりわかる。太ももや内股の質感も素晴らしい。


「うーん、ルーシィ殿下はやっぱりエッチだ……」


「ほら、やっぱりえっちな目で見てたくせに!」


 つい口に出して、ルーシィに怒られてしまう。ーシは恥ずかしそうに胸や下腹部を手で隠したりしようと試みたが、すぐに無駄だと諦めて、俺をジト目で睨む。、


 俺は微笑んだ。


「恥ずかしがることはないですよ。ルーシィ殿下は美人でスタイル抜群ですから。何を着ても似合いますが、むしろ女性らしい身体のラインがわかる服はぴったりで、殿下の素晴らしい美しさを際立たせます。むしろ見せつけていくべきです!」


「クラウス……それ褒めているの? 煽っているの?」


「褒めています。でも、ルーシィ殿下のえっちな……美しい姿を他の男に見られるのはちょっと気に食わないですけどね」


「それ、クラウスがわたしを独占したいってこと?」


「そう。殿下の師匠は私だけですからね」


「そういう意味の話じゃないんだけど……」


 とはいえ、ルーシィもまんざらではなさそうな顔だった。この帝姫殿下、案外ちょろい。

 ただ、ルーシィが美少女なのも、ピタピタスーツが似合うのも本当だ。


 ロボットアニメのメインヒロインの風格がある。まあ、実際にはギャルゲーで悲惨な末路を遂げるサブキャラなんだけど……。


「そ、それより……本当に、わたし、勝てるのかしら?」


「そちらは問題ありませんよ。私を信じてください」


「クラウスを信じていないわけじゃないわ。でも、不安は不安なの。ね、わたしを安心させてくれる?」


 ルーシィが甘えるように言う。その瞳は少し潤んでいる。

 まるで、ハグやキスを期待するかのようだ。


 俺は少し考えた。期待するルーシィは可愛いが、ハグの安売りは問題だ。

 勝った後のご褒美にとっておこう。今回は別の方法でも良い。


 俺はルーシィの右手を握った。その部分は魔力使用の関係もあって、スーツから出ている素肌だ。


 ルーシィが「ひゃっ」と声を上げる。


「クラウス先生の手、冷たい……」


「心が熱い人間の手は冷たい、という言い伝えがありまして」


「クラウス先生は心も冷たいんじゃない?」


 ルーシィがからかうように言う。俺はルーシィの小さな手をモミモミとした。


「く、クラウス……?」


「俺がルーシィ殿下を教える情熱は、ちゃんと熱いですよ」


「そ、そうね。いつもわたしのことをえっちな目で見ているし……あっ、冗談だってば。ひゃっ」


 俺がルーシィの手を強めに刺激していく。ルーシィは顔をかあっと赤くする。


「な、なんかこれ……恥ずかしいわ」


「手のひらをマッサージすると不安がほぐれるそうですよ」


「へえ……。で、でも、クラウスの手とわたしの手が……んっ」


 ルーシィの細い指先も白い手のひらも、俺が好き放題にする。

 まるでルーシィの身体全体を蹂躙しているかのようだ。


 ルーシィもそんな気分になったのか、「あっ、んんっ」と甘い声を上げる。

 俺はその耳元でささやく。


「シャルロッテ殿下なんて、ルーシィ殿下の敵にもなりませんよ。なぜなら、私がついているからです」


「あなたってけっこうキザよね……ひゃっ、いじめないでっ」


 ルーシィがびくんと身体を跳ねさせ、そのスーツの乳袋が揺れる。

 俺の視線に気づいたのか、ルーシィが「胸もマッサージしないの?」と尋ねる。


「してほしいんですか?」


「そ、そういうわけじゃなくて、えっちなクラウスがしたいのかなって思ったの!」


「いまはルーシィ殿下を安心させるためのマッサージですから、そんなことしませんよ」


「ふ、ふうん……」


 ルーシィがちょっぴり残念そうに言う。

 俺はくすりと笑った。


「勝ったら、ご褒美にしてさしあげます」


「ば、バカっ! なんでそれがご褒美にになるのよ!」


 ルーシィの緊張は完全にほぐれたようだった。

 さあ、決闘だ。




<あとがき>


引き続き星での応援、よろしくお願い申し上げます!!!


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