第21話 魔法の教え方
「責任って、何の責任ですか?」
「わかってるでしょ? バカ。わ、わたしを……ちゃんと一流の魔術師にしてよね?」
ルーシィは小声で言う。本当にそれだけの意味だったのだろうか。
俺は試しにもう一度、魔倉をいじってみる。いや、光石を嵌める位置が少しずれたのを直そうと思ったのだ。
途端にルーシィが「ひゃうんっ」と甲高い声を上げる。
ルーシィは涙目で俺を睨む。
「クラウス先生……? わざとやったでしょ?」
「すみません、ルーシィ殿下が可愛いすぎて、つい」
「そ、そんなこお世辞でごまかされないんだからね。もうっ」
ルーシィは言葉とは裏腹にまんざらでもなさそうな表情を浮かべる。
そして、手渡されたテトラコルドを愛おしそうに眺める。
「クラウスのものが私の中に入っているんだね」
「その言い方、ちょっとセンシティブなのでやめたほうがよろしいかと」
「なんで?」
ルーシィが小首をかしげる。その仕草も可愛いが、本気でわかっていないらしい。
魔導銃が女性の身体の感覚と連動するというエッチな設定がなぜあるか?
答えは明確だ。
悲しいけどこれギャルゲーなのよね……。
『蒼星烈火のアーデルハイト』は18禁美少女ゲームである。ストーリー重視とはいえ、ヒロインとのエッチシーンもあるわけだ。
設定もところどころにそういう部分がある。
魔導銃以外にも、たとえば……魔法を教える際は身体的接触が必要、とかだ。
ルーシィが顔を赤くする。
「えっと、どうしよう。魔法を直接教えてもらうときってキスとかする必要があるのよね?」
言葉を発する口は魔術的にはもっとも重要な部分だ。キスをすることで互いの魔力をつなげることができる。
ゲームでは主人公とヒロインも使った手だ。要するにサービスシーンのための設定である。
とはいえ、それは唯一の方法ではない。
俺はくすりと笑った。
「殿下はキスがお望みですか?」
「べ、べつにそういうわけじゃないわ」
「手をつなぐとかでも大丈夫なのはご存知でしょう」
「でも、効率が悪いでしょう?」
「急ぎでなければ平気ですよ。時間はたっぷりありますし」
主人公がヒロイン……アーデルハイトに魔法を教えたときは、緊急事態だった。敵に追い詰められ、隠れた場所で自分の魔法を伝えるために、二番目に効率の良い方法、キスで魔力をつなげたのだ。
一方で、俺とルーシィは時間的余裕があるから、それ以外の身体的接触でも問題ない。だいいち、そうでなければ男と男の師弟はどうするのか? 女性同士はそれはそれであり。
だが、ルーシィは不満そうだった。
「それはそうだけど……」
俺とキスをしたりすることをルーシィは想像していたらしい。この皇女様、思ったよりも……えっちな性格なのかもしれない。
俺は考えた。
「なら、こうしましょうか」
俺はルーシィのスカートの上に手を当てた。
下腹部を触る形になる。
「く、クラウス!?」
「手で触れるのであれば、魔導銃と一番連動する箇所を触るのが効率はいいんですよ」
「で、でも、これ……恥ずかしい」
俺に子宮のあたりを撫でられ、ルーシィは顔を真赤にして身悶えした。
<あとがき>
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