第21話 リセの冒険① 賞品授与

「ここまでのようですね。貴方がたの魂の輝き、確かに見届けさせて頂きました。

今回はこれにて合格と致しましょう。」


 自称管理人の言葉を聞き、璃星は剣を引いて一歩下がる。

傷口、唇より流れでる体液の量が負ったダメージの深さを物語っているが、ゼノバルは余裕の笑みを浮かべたまま満足そうな表情を見せていた。


「ゼノバル、ご苦労でした。これにて試練は完了とします。魔界へと戻りなさい。」


「……はっ!かしこまりました。我が女神のお役に立てて光栄の極みにございます。何が御用の際は――いえ、何の用件が無くても、是非、是非お呼びだて頂けますと――。」


「さっさと消えなさい。」


「それではまたのご用命、心よりお待ち申し上げております。」


 塩対応を愉悦の表情で受け止めたゼノバルが深々と一礼すると、その姿が虚空へと消える。


「それでは、今回の賞品の授与ですね。」


 自称管理人が何かを抱えるように手を出すと、そこへ一つの盾が出現する。


「テッテレー!勇者の盾―!」


「大人の悪戯が成功して、被害者にネタ晴らしをする感じがするのです。」


「なんと!こちらの賞品は洗練された美しいフォルム!中央に描かれた何か格好良さそうな文様!伝説の金属とかで作られていそうな光沢!だけでなく!どんな――、大体の強力な魔法攻撃さえも防ぐ事が出来るという素敵な一品です!」


 満面の笑みで賞品説明を加える自称管理人に対して、空気を読める幼女である璃星は拍手を送る。


「ですが、魔族の身体の貴女では――装備できないでしょうね。」


「でも折角なので、試してみますか?多分無理だと思いますけど。」


 そう言い、勇者の盾を強引に璃星へと引き渡す自称管理人。仕方無く璃星が持ち手を握り、盾を掲げようとしたところで急に重さました為、取り落としてしまう。


「……やっぱり使えない。(´・ω・`)」


「ここまで頑張ったのだから、せめて何か使えるものが欲しいのです……!」


 上目遣いでおねだりする璃星を、頬に指をあてながら眺める自称管理人。


「そ~ですね~。どうやらアレの血縁のようですし~、まあ、サービスしちゃいましょうか~。」


 自称管理人が再び手を出すと、今度は金色に輝く髪飾りが出現した。


「ご~ま~だ~れ~♪黄金のティアラ~!」


「今度は、タイトルに人名が入っているけど、実は主人公の名前じゃない伝説の感じがします。」


「なんと!こちらの賞品は見るものを魅了する黄金の輝き!どことなくエレガンスを感じさせる意匠!外して売りたくなるような宝石!だけでなく!ふっしぎー、なヴェールを張る事で物理的な攻撃への耐性が大幅に上昇するという便利な一品です!」


「ぱちぱちぱちぱち。」


「それでは、幼女さんにはこちらの品を贈呈します!

 あ、盾もちゃんと持ち帰って下さいね。返品は受け付けておりませんので。」


「そうですねぇ……。あの年増ハイエルフさんにでも渡しておけば良いのではないでしょうか?きっと年の功で有効活用して下さる事でしょう!」

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