第15話 パパの影がついてまわる
アリアナと璃星が去った執務室で、ソフィアはおもむろに虚空へと話しかける。
「さて、君も過保護な事だね、アルカディウス?影まで潜ませて娘を護らせようだなんてね。
――傍から見たら通報もののすとーかーだよ。ドン引きだよ。」
よく見ると、執務室の床に不自然な影があった。それは部屋にある何れのものの姿もかたどってはいないが、確かに何者かを投影したものであった。
ソフィアは独り言のように話を続ける。
「まあ、“影”に気づけるような強力な魔物は手を出さないだろうし、それに気づけない程度の弱さなら彼女でも問題なく対処できると踏んだのかな。」
「ひとまず、これで義理は果たしたよ。
ああ、君に対してではないよ?遠い昔に別れたあの子への義理だ。
それにしても、君の強運には驚かされる。凄い子を引き当てたものだね。」
「うん?あの森の寝坊助のお陰だって?
あれでも、魂を見る目はあるんだね。普段は何も考えていなさそうな、ぬぼ~とした目をしているけど。」
「取り敢えず、彼女の事は私――とあの子たちに任せてくれていい。
安心して、さぼっていた分の仕事に勤しむんだね。
何?お前も一緒だろう、て?失礼だね。私はこうして、いつも仕事に忙しく勤しんでいるというのに。」
「え?机の上にある読みかけの魔導書の山は何だ、って?
……こ、これは、遺跡から回収されたものが危険じゃないか熟ど――検分していただけなんだよ。し、趣味なんかじゃないよ。絶対だよ。」
「……分かったから、もう一つ頼み事を聞けって?
相変わらず注文の多い男だね。そんなだから友達が少ないんだよ。」
「まあいいや。話だけは聞いてあげるよ。……暇だし。」
「でも、それを叶えてあげるかは保証しないよ。
で、何をして欲しいのかな?」
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