魔法少女『ウラン』ちゃん!

夕日ゆうや

私は『ウラン』ちゃん

「魔法少女『ウラン』、ここに見参!」

 わたしは高らかに宣言すると、悪の組織『アルゴン』が襲いかかってくる。

「ニート魔法少女『プルトニウム』。敵を倒します」

「先輩魔法少女『セシウム』! やるわよ」

 赤、白、緑の三人の魔法少女がアルゴンに対して、魔法を使い倒していく。

 偃月えんげつの魔法で敵を蹴散らしていくと、敵幹部の『ネオン』が舌打ちをし、離れていく。

「待て!」

 先輩魔法少女のセシウムが追い打ちをかけようとする。

「待ってください」

 わたしはその間に身体を滑り込ませる。

「負傷者の手当が先です」

 わたしはそう言うと、近くにいた飯能炉はんのうろくんを見やる。

 男子中学生の彼は膝から血を流していて、意識ももうろうとしていた。

 彼が狙われたのはわたしの恋人だから。

 わたしと仲良くしているせいで。

「心配しないで」

 ニートであるプルトニウムがくしゃりと笑みを零す。

 頷きで返すと、治療に入るわたし。


「別れましょう」

「え。俺と一緒にいてつまらない?」

「違うの。このまま一緒にいたら、飯能炉くんはきっと辛い目に遭う」

「大丈夫だよ。俺なら。ウランちゃんも守ってくれるって」

「それは……」

「それにその様子だと、また俺が狙われる。分かっているだろ?」

 そうだ。

 わたしがいつまでも飯能炉くんのことを思っていたら、人質としての価値は失われない。

「一緒に乗り越えよう?」

 飯能炉くんの言うことが今は嬉しかった。

「うん。ありがと」

 ギュッと抱きしめ合い、わたしたちはまた戦うのだった。

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魔法少女『ウラン』ちゃん! 夕日ゆうや @PT03wing

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