恋するハートを撃ち抜く、恋愛スナイパー。母の涙のわけ

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 恋するハートを撃て!恋愛スナイパーが、撃ち抜いたものは?恋愛スナイパーを、撃ち抜いたものは?

   (いみエモ話)

 意味がわかると、エモイ話。

 あなたは、この話の意味がわかりますか?

     ☆

「あんたのお父さん、この高校の大先輩でしょ?」

 「みたい」

 「サッカー、強かったんだって?」

 「うちのお母さんも、卒業生でさ…」

 「知っているよ!恋愛スナイパーなんでしょ?」

 「?」

 学校の友だちは、気になることを言う。

 私のお父…父親にも、お母…母親にも後輩に伝わるほどの伝説があるのか?

 ああ、そうそう。

 自分自身の父親のことを、知らない人とかの前で、「私のお父さんが…」みたいに言う人がいる。

 それ、やめたほうが良いらしいよ?

 友だちとか家族の前でなら、言っても良いんだけれど。

 そもそも、どうして言っちゃいけないのかわからない人も多くなってきたという…。

 帰宅し、本人に聞いてみた。

 「ねえ、お父さん?」

 「どうした?」

 「友だちが、お母さんは恋愛スナイパーだって言っていたんだけれどね?」

 こういう親子の会話のときには、「お母さんは」と言って良い。

 でも、他人の前では基本、「私のお母さんは」でなく「私の母親は」。

 この区別ができない人は、幼稚な社会人らしい。

 「なつかしいな。父さんは、いつも心臓を撃ち抜かれたよ」

 「だれに?」

 「母さんに」

 「ええー?」

 心臓を撃ち抜くの?

 スナイパー、こわっ。

 「お父さんは、どうしてお母さんに心臓を撃ち抜かれていたの?」

 「ああ、それか」

 「お母さんは、殺し屋なの?」

 「お、言うなあ」

 「何でお父さんは、心臓を撃ち抜いてくるような人と結婚したの?意味わかんない」

 ちょうどそのころ、お母…母親が、キッチンの向こうで涙を流しはじめた。


   (この話の意味)

「ハートを撃ち抜く」

 そうか。

「恋愛スナイパー!」

 ようやくわかった彼女の顔は、赤らむばかり。

 それは、彼女が生まれる前。

 高校時代の父親の心臓を撃ち抜いたのは、同じく高校時代の母親。

 父親は、若き母親に恋心。

 「あの子に、ドキドキ…。お、目が合っちゃった!ドッキューン!ハートを、撃ち抜かれたぜ~!」

 やがて、 2人は結婚。

 彼女が産まれ。

 そこで、疑問。

 最後に、母親は涙を流していたはず。

 なぜ?

 タマネギでも、切っていたから?

 それとも…?

 彼女にも、その答えまではわからなかったようです。

 エモいなあ。

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