第20話


 私は奏音を別の部屋に運んですこし様子を見た。


「奏音、とりあえずこれ飲んで?」


 そう言って私はお水を渡す。


「えへ?なにぃ」


 やばい、奏音がフラフラになっている。かわいい...じゃなくって!

 あんまり考えることができてなさそう...


「とりあえずお水飲んで!」


 うーん、なんでお酒があったんだろう...姉さんのかなぁ。でもお酒と麦茶入れ間違えてたらすでに他の人も倒れてるはず。

 

「ねぇ〜...華音〜」


「なっ、なに?」


「すっごいドキドキするんだけどぉ、これって恋かなぁ?」


 えへへと笑いながら奏音はそんなことを言ってくる。

 え、なにこれ。襲ってもいいやつ?いいよね?だってこんなコト言ってるんだよ?


 いやまて私、まてまて。これは酔ってるから。たしか奏音のお義母さんもおさけが弱かったから遺伝かな。


「はいはい、とりあえず横になって」


 でも...これで襲っても多分奏音は記憶はないはず。合法じゃね???


「華音?」


「ひゃっ!?」


 後ろを向くと桜がいた。


「なっんだぁ桜か」


「なんだあじゃないけど?もう10分経ってるけど奏音くん大丈夫?」


「だいじょーぶぅ。ちょっとねとくからぁ桜と華音は楽しんできてぇ?」


 奏音が喋ったあと、桜は耳打ちしてきた。


「え、何この天使。襲っても良い?」


「流石にダメじゃない?とりあえずみんなを解散させないと」


「了解。私収めてくる」





***







「はい。みんな帰らせてきた。まあ時間も時間だったしよゆーだったね」


「てっきり明日土曜日だからみんなもうちょっと夜ふかしするのかと思ってたけど」


 まぁ帰ってくれて好都合だけど。


「それにしてもこの天使どうする?みんな返したから原因究明とかできないけど」


「原因究明はもとより諦めてるよ」


スゥ スゥ


 奏音の寝息が狭い部屋に広がる。


「てかこれ返さなくて大丈夫なの?ダメじゃない?奏音のお義姉さんが殴り込みに来たりしない?」


「お姉ちゃんを通して連絡したから大丈夫。結構怒り狂ってたらしいけど殺しにはこないでしょ」


「それやばくない?」


「まぁいいでしょ...で、桜はどうする?泊まる?」


「いいの?じゃあお言葉に甘えさせてもらおかな」


 中学校入って初のお泊りが泥酔した男の子と友達になって二日目の子役ってなにこれ。


「それにしても...寝顔エロくない?」


「いやエロいって表現はどうかと思うけどドエロいね。食べちゃいたい」


「桜のほうがやばいじゃん」


 ふふ、と笑いあう。


「んっ...姉さん...」


「寝言にもお義姉さんが出てくるってことは相当仲いいんだろうなぁ。こんな弟がほしかった」


「いやお兄ちゃんでもよかったくない?」


「わかる」


 そんな話題で夜通し盛り上がった。

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