第16話
その後の体育は順調に進み、そのまま終わった。
着替える場所なのだが、女子は教室で男子は体育館の側の更衣室で一人のため少し寂しい。いや別に女子と一緒に着替えたいわけじゃないんだけど。
「あっ、奏音」
「おお、裕翔」
BCが次は体育だったか。
「ここ広い割に人少なくて寂しいな」
「そう、そうなんだよ!」
二人の声が響く。
「そういえばライン交換してなかったよな?」
「あっ、そうだっけ」
そういえばそうな気がする。
「監視の目がないうちにしとこうぜ」
「そうだね」
この学校は朝始まってから終わるまでスマホを使うのが厳禁のため、始業前・終学活後か人気のないところで使うしかない。
ここは絶好の場だ。
「はい、僕のQR」
「おっけ」
スマホを重ねる。これでよし。
「やっば、時間間に合わないかも」
「もう残り3分か。走ってこい」
「行ってくる〜」
頑張るか。まあ走ったら間に合うだろうし。
***
キーンコーンカーンコーン
「セーフですかっ?!」
「ギリギリアウト!残念だね〜」
「そんなぁ」
フフフフ ハハハハ
一条くん、かわいいなぁ。確か綾斗もそんなだったっけ。
「よーし、じゃあ社会をはじめていくぞ〜」
私は市村世奈、転生者である。死んだ感覚はなかったけど。
2024から転生してきた、タイムリーパー?いや死んでるからタイムリーパーではないか。まあなんにせよ人生二週目である。
「まあ初回から授業をする感じじゃなくて今日はガイダンスだから安心してくれ」
だから中1から中3の授業など受けなくても成績は上位をキープできる。中学受験もノー勉で入った。
「この社会の授業は基本的に教科書はつかわない。プリントで進めていく」
じゃあ教科書買った意味はなんぞや????
とか聞きたくなるけど我慢我慢。私は元高校生なのだから。
元々私はもっと元気でわんぱくな少女で幼馴染の綾斗と中学まで行動をともにしていた。
高校も同じ高校に行くつもりだったのだけど...トラックに轢かれてしまったらしい。遺体は見るも無残な姿だった。
「ただ、教科書を必要とする日はあるからその時はちゃんと予告するしちゃんと持ってきてくれ」
綾斗は静かな男の子で他の子とは違い普段は大人っぽいがたまに抜けててかわいいところもあったりして全女子から人気を博していた。
私が一番仲が良かったのだが。
「地理が好きな人〜手を上げてくれ〜」
そんな綾斗に憧れて今回は大人っぽさを演出して生活をしている。そのおかげでみんなからはかっこいいとか美人とかお姉様とか小学校で呼ばれることもあった。
ただ、真似したところで綾斗は戻ってこない。
「やっぱ歴史は漢字ばっかでおぼえずらいよな」
いつか私が綾斗とあったときのために、私は大人になって待っておく。前世のように迷惑をかけたりしない。
絶対探し出してやる。
「公民は一般常識だから知っといたほうが良いぞ〜」
てかうっさい!これ私の心情描写でしょ!!!!
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