第15話

「今日の項目は握力、長座体前屈、反復横飛び、上体起こしだ。終わり次第報告してくれ」


ハイ


「上体起こしからしよ!」


「おっけ〜」


 上体起こし...嫌いだったわぁ。


「先に計測させてもらうね!」


「わかった。確か涼さんの足にお尻を置いて足組めば良いんだよね?」


「そうそう!」


 肯定してもらったので言ったとおりにする。


「じゃあ30秒タイマーはじめるね〜。よーい、スタート!」


 スタートと同時に一秒に一回のペースで上体起こしをしている。


「11,12,13,14」


 一秒よりちょっと早いな、0.9〜0.7くらい?


「23,24,25」


 のこり7秒で26、恐らく35くらいかな?


ピピピピ


「34回!早かったね〜」


「はぁ...はぁ...」


 涼さんは息を切らしている。なにこれ立ち位置も相まってちょっと事後(意味深)みたいじゃんやめてくれよ。


「じゃあ次一条くん...!」


「大丈夫?ちょっと待ってからでも大丈夫だけど」


「座って数えとくだけだし...大丈夫!」


 まあそれもそうか。


「いける?」


「いけるよ」


「じゃあよーい...スタート!」


 こういうときは無心で単純作業を繰り返す。いやでもこんな体って動かなかったっけ...いやいやそんなコト考えずに無心だよ無心。













ピピピピ


「終わり!35回!」


「えっ...マジ?」


 さっきの涼さんの息切れのようになっている。呼吸を整わせなければ。

 ってか35回って多くね?この年の平均って23とかじゃなかったっけ。いやまあ遺伝で人類が強くなったと考えよう。うん。


「一回負けちゃったなぁ〜」


「いやいや...涼さんも早かったよ」


 34はかなり早い方であるはず。俺は35回だが()。


「2分くらい休憩してから長座体前屈でも行こっか」


「そうだね!」


 どっちも疲れているしちょっと暗い休憩しても許されるはず。


「一条くんはなんかスポーツとかやってたの?」


「いやなにも」


「じゃあ筋トレとか?」


「そーだね、サーキットを一日きつくなるまで」


「へぇ〜!」


「涼さんは?」


「私も筋トレ!アプリで筋トレメニューを適当に確認してやってるんだ〜」


 こういう他愛のない話ができてちょっと嬉しい。昔に戻ったみたい。


「奏音くん終わった〜?」


 握力を測っているところから華音さんと桜さんがこっちにきた。


「上体起こしだけ〜」


「私達握力だけ終わったから反復横とびと長座一緒にしない?」


 うわーすっげえうれしい。いやでも涼さんは大丈夫だろうか...


「涼さん大丈夫?」


「え〜」


 若干嫌そうな顔をしている。まあ嫌なら二人には申し訳ないが断ろう。

 そう考えたとき、涼さんが口を開いた。


「ゴメン、そうなると予定してる時間が合わなくなっちゃうから別々でいい?」


 桜さんは少し嫌そうな顔をして答えた。


「そっか、一条くんじゃあまた後で」


「またあとで〜」


 

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