第116話 聖と闇の衝突
エレナはまたも莫大な闇エネルギーの中心に飲み込まれている。
それはまた屋外でみると、その大きさがより目立っているような感じがした。
「うあああ――――ッ!! 」
彼女は胸を押さえて苦しそうにしている。
今のうちに彼女を押さえつけて、闇の鎖を繋げてやりたいが今俺が近づくとまた闇エネルギー同士が反発して爆発しかねない。
どうすれば……。
「春陽〜遅くなってごめんよ〜!! 」
この声っ! やっと出てきたか。
「ティア! 遅いって! ……といっても今は相当危険な場面なんだ。 隠れた方が…… 」
すると彼女は俺の言葉を遮るように、
「春陽! ボクがなんのためについてきたと思ってるの? 」
そう言って強く自分の胸を叩いた。
そういえばティアは何か策があるようなことをずっと言っていたな。
「ティア、あの暴走しているのはエレナだ。 あれを止めれそうか? 」
「うん、大丈夫!! ボクを信じてっ! 」
そう言うと彼女は俺の胸元に飛び込んできた。
「えっ!? ティア……なにを! ってあれ!? 」
不思議なことに彼女の姿は消えていた。
いや、消えたのではない。
ティアは俺の中に魔力として宿ったのだ。
でもこれって元に戻ったりは……。
(春陽、ボクはここにいるよ! 君が戦いを終えて願えば元に戻れるんだ! だから目の前の戦いに集中! それとキミとボクは今一心同体。 考えていることも分かるんだ。 だから……闇の鎖の創り方調べとく! )
ティア……こんなに頼りになると思ったのはこの旅の中で初めてかもしれない。
(こら、春陽!! 聞こえてるよ!? )
あ、そうか心の声聞こえるのか。
なんだかアウロラと話している感覚に近いな。
そういえばアウロラはどうしているだろう。
まぁ出てくることはほぼないとは言っていたが、なんか寂しいな。
いや、今は目の前の戦いに集中しないと。
俺はティアから引き継いだ魔力を纏う。
彼女からはとんでもない量の聖属性エネルギーを感じる。
これを纏うことができれば、エレナの力を止めることができるかもしれない。
闇エネルギーには聖属性エネルギーが効果ある。
そんなことは分かっていた。
だから俺は何度か纏ってみようとも思っていたが、なぜかそれが出来なかったのだ。
それはおそらく聖属性エネルギーはなぜか創れる限度があったみたいで、纏うにはどうにも足らなかった。
だが、今回得たティアによるエネルギーによってそれを叶えることができたのだ。
そして纏い終えた。
これが聖属性エーテルバフだ。
「うううっ!! 」
そんな中、彼女は未だに苦しみ続けている。
この力で助けてやるからな、待っててくれ。
俺は溢れ出た聖属性エネルギーで宙を舞い、彼女の元へ流星の如く飛んでいく。
迫り来るものを感じ取ってか、エレナが纏っている闇エネルギーが彼女より先行してこちらに襲いかかってきた。
今目前に闇エネルギーが迫ってきたが、俺の纏っている聖属性エネルギーに触れることでそれは消滅していく。
やはり闇エネルギーに対して有利なんだな。
それから俺とエレナは衝突した――
纏ったエネルギー同士が拮抗する。
さっきと違うのは、闇エネルギー同士だとお互いのエネルギーが反発し合っていたが、今回はそうではない。
俺の聖属性エネルギーがエレナの闇を徐々に飲み込んでいっているようだ。
そして彼女を纏う闇エネルギーを吸収し終えた時、彼女はフッと気を失った。
バタッ――
「エレナッ! 」
俺は彼女に駆け寄って抱き抱えた。
とりあえず抑え込めたようで安心だ。
だけど、まだエレナの中に神の魔力を感じる。
これがこのまま収まっていればいいんだけど。
(春陽!! 鎖の創り方分かったよ!! )
ティア!本当か!?
……いや、しかしこのまま収まるってことはないかな?
(……それはないと思うよ。 ねっ? )
ティアは誰かに問い返している。
ん? 俺以外と話をしているのか?
(あぁそれはないはずだ。 春陽、彼女はいずれまた暴走するぞっ! )
この声、もしかしてアウロラ!?
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