5. 叶えたい夢

巨大なラウペイが倒れ、森が大きく揺れた。

周りの木が倒れて空が見えた。

赤く染まっていく空には黄金色の光が眩しかった。

私はシャーリンのところに駆け寄って言った。


「シャーリン、大丈夫?」


シャーリンは自分の傷を治しながら言った。


「すみません、このくらいの傷は問題ありませんが、武器が壊れてしまいました」


大盾を持った冒険家が言った。


「はぁー、どんでもない力だな」


大剣を持った冒険家が針のようなヨツンたちを倒しながら叫んだ。


「まだ終わってないぞ!集中しろ!」


私はラウペイの方を見ながら言った。


「それでも、ずっと出てきていたヨツンたちはほとんど消えたよね。

もう終わりなんじゃないかな?」


バグナが演奏を止めて言った。


「本当に驚きです。

小さな体にあんな巨大な力が宿っているなんて。

光に包まれながらヨツンたちと戦うバルダーの使者。

ハハ。本当に戦争の神に愛されている戦士のようでした。

古い話ですが…」


私は攻撃してくる木の幹を避けながら叫んだ。


「うあ!終わったんじゃないの?

あの虫みたいなのは何?危ない!」


大盾を持った冒険家が木の幹の攻撃を防ぎながら言った。


「まったくだよ!本当に終わりが見えない!」


モードという人は、大剣で攻めてくる木の幹をはじき飛ばしながら言った。


「魔法使いたちからこの後の話は聞いていない。

魔法使いたちが来るまでは耐えるんだよ。

崩れずに立っていれば、我々の勝利だ」


その時、ヘルが私たちの前を走って虫のようなヨツンたちを斬り始めた。

そして、いつの間にか魔法使いのギルド員が私たちの方に来ていて、大声で叫んだ。


「ラウペイはまだ倒れていません!

あのヨツンを倒さない限り、他のヨツンたちは絶えず出てきます。

冒険家の皆さん、私たちが道を作りますので、ラウペイを攻撃してください!」


私は後ろにいる他の魔法使いたちとバーバラを見ながら言った。


「魔法でラウペイは倒せないの?」


バーバラは私を見て言った。


「ラウペイは私たちの魔法に対して強い耐性があるみたい。

残念だけど、足を止めることしかできないの。

昔、ラウペイを倒した時も、最終的には冒険家たちが止めを刺したと聞いたわ」


バグナが言った。


「あー、新しい章が開かれたので、新しい音楽が必要ですね?」


そう言って、バグナは新しい音楽を激しく演奏し始めた。

魔法使いたちが呪文を唱えながらヨツンたちを攻撃し始めた。

地面から巨大な手の形をした土がそびえ立ち、ヨツンたちを叩き潰した。

そして、明るく光る鳥のようなものが鋭い音を出しながら飛び、ヨツンたちを燃やした。

魔法使いたちが投げた土の団子からは棘のある植物が生えてきて、

ヨツンたちを縛り動け、ヨツンたちは黒いほこりとなって消えていった。


バーバラはクマのぬいぐるみで遊んでいるように見えたが、

彼女がクマのぬいぐるみを動かすたびに地面が盛り上がり、植物がヨツンたちを攻撃した。

彼女は表情を変えず、むしろ眠そうな顔でリラックスしているように見えた。

私はそんな彼女を見てしばらくぼうっとしていた。


「フレア!行こう」


私はヘルの声で我に返って言った。


「あれ?これからどこへ行けばいいの?」


ヘルが先頭に立って針のヨツンを斬りながら答えた。


「魔法使いギルド員の話では、地面が息をするように動く場所があるらしいんだ。

その周辺には木もなく、ひどいにおいがするそうだ。

昔もそこを攻撃してラウペイを倒したそうだ」


私は目を閉じて鼻をくんくんと鳴らし始めた。


「ふむ、土のにおい以外にはひどいにおいはよくわからないけど…

えっ!あの木たち、動いてない?

ら、ラウペイの背中にあった木もヨツンだったの?」


「チッ!本当に次から次に出てくるな!

隊長!今度の依頼は本当に損ですよ!」


大剣を振り回して冒険家は言った。


「ふつふつ言うな!

これくらいじゃないと、終わってから話すこともないだろう!

たかがわずかなヨツンたちを倒しただけで、偉そうに話すつもりか!

ふん、私にはまだまだ足りないんだよ!!」


私は大剣を持っている冒険家を見た。彼女は幸せそうな顔で輝いて見えた。

シャーリンは魔法使いたちの前に立ち、攻撃してくるヨツンを光の剣でほこりにしていた。

そして、私のそばには輝く鹿が走っていた。


「うん?鹿?」


私はもう一度目をこすりながら見た。


後ろからバーバラが大声で叫んだ。


「その鹿を追いかけて! ラウペイの心臓を見つけて終わらせて!」


その言葉に何人かの冒険家たちとヘル、私はヨツンを攻撃しながら鹿を追って行った。

鹿はヨツンを避けて走り去った。


「早すぎる! ローレンの蝶はこんなに速くなかったのに!」


ヘルは走りながらヨツンを斬りつけて言った。


「大丈夫。私が見ている」


息が切れた私は、ヨツンをなんとか倒して言った。


「はぁー、もう見えない」


ヘルは木のヨツンを倒して言った。


「鹿が止まった。あそこか?」


ラウペイの背中に生えている多くの木の間から光が漏れていた。


「木の幹の攻撃で鹿がやられた。あっちだ!」


私たちはヘルに続いてヨツンを倒しながら森に向かった。

魔法使いたちも後ろからヨツンを倒し、私たちに道を開いてくれた。


ヨツンの攻撃を避けながら、木の間をヘルに続いて走った。

後ろからは悲鳴が聞こえてきたが、振り返る余裕はなかった。

やがて木のない空き地に出て、ヘルは高く跳び、地面に剣を突き刺した。


ヘルの攻撃で地面が揺れ、どこからか低い悲鳴のような音が響いてきた。

しかし、地面からは棘のある幹が次々と出現し、蔓のようにラウペイの心臓を包み始めた。

そして、その棘のある幹が私たちを攻撃してきた。

いつの間にか森の方からもヨツンが攻撃してきた。

両側からの攻撃を防ぎながら心臓を覆う木の幹を切り取っていったが、終わりが見えないようだった。


ある冒険家が叫んだ。


「おい!これを私たちだけでどうしろって言うんだ!

こんなの無理じゃないか!ちぇっ!」


私は剣に魔法石をはめ込みながら、大盾を持った冒険家の方へ全力で走った。


「くあっ!何してんだ! この野郎!」


「盾を借りるよ!」


私は盾を踏み台にして高く跳躍し、呪文を唱えた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


幼い頃から私は物語が大好きだった。

オードの話も、お父さんが聞かせてくれたおとぎ話も好きだった。

物語に出てくるドラゴンと戦った勇士のように、

私も剣を持って戦ったり、冒険をしたかった。


太陽のように輝くアルダフォードの初代王の物語

彼女が使った魔法の剣、ランドグリッド。

私も彼女の剣を振り回す夢を見た。


輝く大剣を持ってドラゴンたちと戦った話を聞いて、

私も同じように家の周りを走り回って遊んたった。


そんなある日、ドラゴンと戦っているようなお父さんを見た。

熱い火と戦いながら金属を叩く時に飛び散る火花は、とても美しかった。


ある時から私は鍛冶屋をのぞき始めた。

入ってくるなと言われても、鍛冶屋に入ってお父さんが働いている横で、

小さな両手でやっとハンマーを持って真似をしたりした。

片手でハンマーを持てるようになると、当然のようにハンマーでお父さんの手伝いをするようになった。時々お父さんがくれる褒め言葉が、とても嬉しかった。


毎朝、ハンマーの音で目を覚まし、急いで鍛冶屋に駆けつける日々だった。

鍛冶屋は私にとって最高の遊び場だった。

少し大きくなってからは、お父さんが私に斧の使い方も教えてくれた。

いつの間にか、朝早く起きて木を切るのが私の仕事になっていた。


昔話を読みながら冒険家になる夢を見ていたことは忘れていた。

確かに冒険に憧れてはいたが、実際に冒険をするつもりはなかった。


鍛冶屋の仕事をある程度学ぶと、お父さんは重要な仕事だから助けてほしいと言った。


お父さんに頼られて、私は浮かれて言った。


「任せてよ!これからは私が、お父さんよりもっと頑張るから!」


「クハハハ!まだまだだ!

お前にそれは100年は早いよ!」


お父さんと一緒に注文が入った武器を作り始めた。

黒い鉄の塊を何度も火に入れ、何度も叩いた。

熱気のせいで全身から汗が流れていた。

お父さんが叩くのを手伝いながら、一体何が作られるのか気になっていた。


「お父さん、ところでこれは何?」


「こら、集中しろ。フレア、終わってみれば分かるようになるさ」


時間が経ってある程度形が見えてきた。


「おぉー。これ、剣だよね?」


熱い何かが私の中で動くのを感じた。


お父さんは赤く輝く剣身を持ち上げながら言った。


「フハハ、バルダーの騎士たちが使う剣だ。

こう見えても、ここアルダフォード地方でこの剣を作れるのは私しかいないんだ」


「うわー」


私は忘れていた何かを思い出したようだった。

その日以来、私は父に秘密で自分だけの剣を作りたくなり、鍛冶屋でこっそり作ってみたりした。


「ふむ、これは駄目だ。あ!こうして作ればいいかな」


私も自分だけの冒険がしたいと思った。

自分で作った剣を持って、昔話に出てくるような素敵な冒険をしたかった。


ある日、夕食をする時にお父さんが言った。


「フレア、最近一人で剣を作っているみたいだけど」


私は驚いて食べていたものを止めて言った。


「えっ!どうして分かったの?」


お母さんは食べ物を持ってきながら言った。


「それをお父さんに隠そうとしても、隠し通せるかしら?」


お父さんはお母さんが持ってきた肉料理を食べながら言った。


「フレア、一人でバルダーの騎士たちが使う剣を作るにはまだまだだよ」


私は食事をしながら言った。


「私は自分の剣を作るつもりだけど?」


お父さんは驚いて叫んだ。


「クッハ!何だって!

剣?うちらドワーフは斧だ!剣なんてありえない!」


私はかっとなって言った。


「お父さんはハーフじゃん!何がドワーフだよ!

私は剣が好きなんだよ! もう作るものも考えてあるし!」


私は代々受け継がれてきた魔法石を取り出して、お父さんに見せながら言った。


「フフフ、これを使うよ。お父さんはこんなこと考えたことないでしょう?」


お父さんは今まで見たこともない顔をして怒って言った。


「その魔法石は斧と一緒に使うためのものだ!

先祖代々受け継がれてきたものを、お前がそんな風に使うのではない!」


その喧嘩の後、お父さんと私は一言も話さなくなった。

鍛冶屋の仕事も手伝わず、私は自分の剣を作ることに専念した。

数えきれないほど作りを繰り返して、私は自分が満足できる剣を作った。

数えきれないほど試行錯誤を繰り返し、ついに私は自分が満足できる剣を作り上げた。


「こっちの方がいい」


「それは好き嫌いの問題ではない!フレア。それは斧と一緒に使うように作られたものだ」


「ああ、もううんざりだ」


「集中しろ!お前はこの程度のことも集中できないのか!」


「ふん!私は私の好きなことなら集中できるよ!」


剣を作った後、私は自分で作った剣を持って毎日のように訓練をした。

そんな私を不満に思っていたお父さんとは、毎日のように喧嘩が絶えなかった。


そして私は、私の夢を叶えるために、ある日突然家を出た。

冒険家になって、物語の本に出てくるように剣を振り回したかった。

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