9. たき火、おとぎ話、神話

森に入って来た時より空気が冷たくなり、

木の葉も赤色と金色に染まって落ち始めた。

落ちる木の葉が風になびいて木の間を精霊たちが踊るように美しく飛び回った。

そして冷たい空気の間から濃い肉の匂いが漂って広がった。


私は寄りかかって座っていた木から立ち上がり舌なめずりをして話した。


「うわぁ!もう出来たのかな?」


シャーリンは真剣な表情をしてスプーンで味を見て話した。


「もう少しお待ちくださいね。

そうですね。そろそろパンは用意してもいいですよ」


匂いを嗅いだのかびっしりとした木の間から見える空を

飛んでいる黒い鳥の鳴き声が空から響き渡った。


森に入ってきて何回か夜を過ごしてからフレアとヘルが熊を狩った。


熊はフレアとヘルにあった時、猛然としフレアのいる方へ

殺到してたとフレアがその時を思い出しながら怖がる顔で話した。

しかし、熊はヘルによって一瞬で倒され、このように私たちの食糧になった。


ヘルとフレアはその場で手入れをして、

私たちが何日か食べるだけの肉を持って帰ってきた。

肉の量が多すぎると動くのに支障があり、

食べ終わる前に腐ることもあるからだ。

また、血のにおいに唾を流す獣やヨツンの襲撃も無視できなかった。

だが、シャーリンは持ってきた肉を詳しく見て、他の部位も欲しいと言い出した。


そして自分が持ってきた剣を持ち出して

フレアに熊の肉があるところまで案内してほしいと頼んだ。

しばらくして熊の脂肪部位を持って帰ってきたシャーリンは

満足したように笑みを浮かべながら血のついた手と顔を

流れてる水で拭き取った後、盛大な食事の準備を始めた。


シャーリンは持ってきた肉と脂肪をきれいに整理し、

多様な料理を簡単に作れるように準備して自分のカバンに入れておいた。

数日間、熊の肉を使ったさまざまな料理を楽しんだ。


熊の肩肉とキノコを木の枝に刺して焼いたのものは柔らかいキノコと胆力ある肉がシンプルだったが、本当に美味しかった。

骨に付いている肉を火で直接焼いて食べた。それも本当に美味しいかったな。

ある日は私が持ってきた多様な香辛料を入れて煮込んだ熊のシチューも作った。

辛いスープと柔らかくなった肉は最高だった。


今日は残った熊の肉をよく刻んで森で採集した他の材料と共に脂肪を溶かして作った油で炒めてる。熱い油で肉が飛んだり、肉の焼く音といい香りで倒れそうだった。

そして私が【パルマグド】から買ってきたパンと一緒に食べることにした。

【パルマグド】のパンは表面は粗いが香りが香ばしく、

中が柔らかくてもちもちしていて、

初めて食べた時にとても気に入っていくつか買っておいた。


私はカバンから布に包まれていたパンを取り出した。


フレアはパンを見ながら話した。


「うわぁーー、めちゃーーいい香りね!

カバンに入れて時間が結構経ってると思うけど、

どうしてこんなに作りたてのパンみたいな香りがするの?」


私はフレアに布を見せながら話した。


「ふふ。この布は魔法使いたちが作ったものなの。

この布に包んでおけば硬くならないし、カバンの匂いも染み込まないし、作りたてのように香りも残るの」


フレアは私が見せた布を不思議そうに見た。


私はみんなにパンを配りながら話した。


「この布もカバンも私の師匠ノーブルからもらったものだよ」


カバンにかかっている赤色のひもはノーブルが毎朝、私の髪を結んでくれた時に使っていたものだった。

旅に出る前日、私は髪の毛を短く切った。


旅に出る日の朝、その姿を見たノーブルは悲しみ、

このひもをカバンに結んでくれた。


昔のことを思い出しながら私はシャーリンが作った肉料理をパンにのせて一口食べた。

口の中で盛大なパーティーが開かれたような味だった。


「ーーまさか、こんな食事をこんな森でできると思わなかったよ。

本当にシャーリン、すごいよ」


フレアも自分の残ったパンに鉄の鍋に残ったソースをつけて食べながら話した。


「そうだよね。シャーリンは本当に料理が上手よ。

旅にいつも一緒に行きたいな」


シャーリンは幸せそうに話した。


「ありがとうございます。

しかし、皆さんが苦労して持ってきた材料があったからこそ、

このような料理を作ることができました。

そしてローレンの調味料があったからもっと美味しくなったと思いますよ」


「へえー、そうでしょ?

この調味料を作ったトニーおじいさんは本当にすごいよ。

魔法石を作るのも凄いのに、今はいろんな研究をしてるの」


フレアが話した。


「魔法石はバニールの破片と違うんだよね?」


私は木に寄りかかって話した。


「そうだねーー、あんまり、知られてないね。

魔法石は小さなバーニールの破片と他の金属を混ぜて作るの。

遺跡で採掘者たちがいくら探してもバニルの破片の量があまりにも少ないから

シードホートの魔法使いたちは魔法石を作る研究を始めたの。


そういう研究のおかげで魔法の道具もできたし、

トニーおじいさんは更に多くの金属や素材を研究して、

こんな調味料も作ったんだ」


私たちは暖かいたき火を囲んでおいしい食事をした後、

自分が知っている面白い話を一つずつすることにした。


先に始まったシャーリンの話はあまりにも退屈で寝床で子供たちに話したら寝たくない子供たちでもすぐに眠れそうな話だった。

ゆっくりで柔らかいシャーリンの声は薪が燃え上がる音と調和し、

私の魔法よりもさらに強い【眠りの魔法】のようだった。


私は魔法と戦う気持ちで両目に力を入れて音に流されないように努力した。


しかし、フレアはすでに居眠りをしていた。


(あーー、深い眠りについたなーー)


ヘルはエルフだから魔法に抵抗があるのか、

それとも聞いていないのか、

平穏な表情で森側とシャーリン側を交互に眺めていた。


シャーリンの話が終わって私は深く息を吸い込んだ後に話を始めた。


私はノーブルから聞いた話を始めた。

バニールの破片を探し回ってものすごい魔法を作った人の話だった。

魔法好きのフレアはいつの間にか、目を覚まして目を輝かせながら話を聞いていた。


しかし、フレアはたき火が熱いことも忘れたか、

私にもっと近づこおとして赤い髪の毛の先が燃えた。


小さな騒動の後、私の話は終わった。

フレアはもじもじしながら話を始めた。

しかし、すぐ子供に話を聞かせてるように自然に演技をしながら話した。


「深い山の中、

うさぎが朝起きて

いつものように

小泉へ行くために家を出ました。


ところが世の中は白く変わっていて、

いつも自分が小泉へ行く道は消えてしまいました。


途方に暮れるウサギは木の上で歌ってる鳥に尋ねました。


鳥は高いところにいて小さな泉が見えました。


『あ、見えるね。私が案内してあげるよ』

と自信満々話した鳥は大きな翼を広げて空に飛び立ちました。


ウサギは鳥を追いかけて木の間を一生懸命走っていきましたが、

鳥はウサギのことを気にせず、一人で楽しそうに話しました。


『簡単だよ。こうやって、ずっと飛んで行けばね、あそこの前だよ』


いつの間に鳥はウサギが見られないところまで

飛んでいってしまい、ウサギは再び道に迷ってしまいました。


その時、雪を掘り起こしていたリスに出会いました。

ウサギはリスに小泉への道を尋ねましたが、

リスはどんぐりを見つけて口に入れるのに夢中てした。


ウサギはもう一度リスに小泉への道を尋ねました。


口にどんぐりをいっぱい入れたリスは

ウサギに手を動かしながら何かを話しました。


しかし、ウサギはリスが何の話をしてるのか

よくわかりませんでした。


そうすると音をもっと出そうとしたリスの口からどんぐりが落ちて来ました。

リスはウサギに怒ってどんぐりを拾うためにあちこちに走り回りました。


怒ったリスが手で指さしていた方向にウサギは走っていきました。


しかし、深い森はますます暗くなり、

ウサギは再び道に迷ってしまいました。


暗い森で鳴る獣の音にウサギは恐ろしくてぶるぶる震えました。


そんなウサギの前にモグラがトンネルを掘って現れました。

ガタガタ震えるウサギに事情を聞いたモグラは話しました。


『私は

あんたが行きたいところまで

地の上からは案内できないが、

地の下なら案内できる。

どうする?』


ウサギはモグラを信じてついて行くことにしました。

モグラが掘ったトンネルに入るとそこは暗い森より明るく、暖かいでした。

先頭に立ってトンネルを這っていたモグラが

後ろを振り向いてウサギを見て静かに言いました。


『ここからは静かに口を両手でふさいで通らなければならない。

今からあなたが見たものは口に出してもいけない。

分かった?』


ウサギは自分の口を両手でふさいでうなずきました。

ゆっくり、モグラに付いて歩くと、

深く眠っている巨大な熊が現れました。


熊は息をするたび、

お腹が大きくなって小さくなり、

小さくなった時に合わせて通らなければなりませんでした。


もう少しトンネルを歩いていくと、

自分の体をくるんと包み込んて眠っている大きなヘビが出てきました。

大きなヘビは寝ながらも舌をぺろぺろしていて首を回していました。

大きなヘビの頭が他の方を見ている時に気をつけて通りました。


どれだけ歩いたか、とても大きな洞窟が出てきました。

暗い洞窟の中は突然明るくなり、また暗くなりました。

洞窟の中には自分の宝物を抱いて寝ているドラゴンがいました。

ドラゴンは息をするたびに鼻から火が出て、

暗かった洞窟は明るくなり、宝物が光を放ちました。


ウサギは宝物に映った自分の顔を見てめまいがしました。

そして宝物に目が行ったウサギは倒れてしましました。


モグラはウサギを背負って洞窟を通り過ぎました。


洞窟から出るとそこには小泉が見えました。


モグラとウサギは幸せそうに水を飲みました」


話が終わったフレアは期待に満ちた顔でヘルを眺めながら座って話した。


「へへ、この話は昔から好きな話んだ。次はヘルだよ」


ーー薪が燃え上がる音だけがずっとしていた。

ヘルは何も話すつもりはなかった。

私は静かに話した。


「ヘル、あなたも分かると思うけど今度はあなたが私たちに話をしてくれる番だよ。

あなたと旅行しながら一度もあなたの話は聞いたことがないんだよ。

今回は絶対に聞くからね!

ほら、フレアも期待してるよ。

あなたは私たちより長生きしてるし、

たくさんのことを見て、聞いて、経験したはずなのに

まさか面白い話一つも知らないとは言わないでね」


ヘルは私の話に微動だにしなかった。


「うんー、なんでもいいからなんか話てよ」


「面白いかどうかは分からない。 しかし、今思い出した話が一つある」


フレアは期待に満ちて目を大きく開けてヘルを見た。

シャーリンも私もエルフがどんな話を聞かせてくれるかを期待してヘルを見た。


ヘルが話を始めた。


「暗闇の中で一筋の水が流れた。

【ニフの川】からカゴに入って流れてきた最初のエルフ、

彼が歩き始めたとき、世界は緑に染まった。

【ニフの川】からカゴに入って流れてきた二番目のエルフ、

彼が走り出した時、世の中が青く染まった。

【ニフの川】からカゴに入って流れてきた三番目のエルフ、

彼が剣を持って怒り、世の中が赤く染まった。

【ニフの川】からカゴに入って流れてきた四番目のエルフ、

彼が歌い始めた時、世の中が光に染まった」

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