8. 腐った木の幽霊の重い、隠されてない秘密

「よいしょーー」


シャーリンは自分の背中を覆うほどの大きく重そうに見える丸い盾を背負った。

フレアが心配そうにシャーリンを見つめながら手を差し出して話した。


「シャーリン、重くない?

私が持ってあげるよ」


シャーリンは大変ではないかのように体をくるりと向き直りながら話した。


「いいえ、慣れているので大丈夫です。

アルダフォードからここまで来る時もこのように来たんです」


私がヘルを指差して話した。


「シャーリン、大変だったら言って。

ヘルが持ってくれるよ。 ね?」


ヘルは自分のカバンを持ってこちらも見ずにぶっきらぼうに話した。


「あー」


シャーリンは白い鞘に美しい金属の飾りがある短いナイフを腰につけて微笑んで話した。


「お気持ちはありがとうございます。

しかし、これは私が担わなければならない私の荷物です。

他の方に任せるわけにはいきません」


フレアは剣を手に取りながらシャーリンに話した。


「ところで、シャーリン。

こんなに神殿を空けてもいいの?」


シャーリンは椅子に座っている老人に頭を下げて挨拶しながら話した。


「私以外にも神殿にいる子供たちの世話ができる人はいます。

しかし、ヒルダを見つけることができる人は私しかいません」


バルダーの神殿を出て我々はガングラードの北口に向かった。

早朝だったがオードの家を通って北へ行く道には依然として多くの人で賑わっていた。


フレアは広場を通り過ぎる人々を見てうらやましげに話した。


「相変わらずフレイヤ神殿の前は人が多いね」


私は無心に話した。


「ここでは有名な《バニル》だからね」


フレアが話した。


「私も一度は行ってみたいんだけど神殿に入るには結構お金がかかるよね?

私が知っている冒険家は一生懸命働いて貯めたお金で行ったんだって。

フレイヤの魔法石を直接見て、なんて言ったっけ…」


「ふーん、【フレイヤの加護】をもらう?」


フレアは手をピシッと上げながら話した。


「そうだよ。加護!それをもらったと喜んでいたよ。

何がよくなったのかまだよく分からないが、フレイヤの加護を受けて

『自分は以前よりもっと強くなった』と言って結局北の村に行ったな。

確かにそっちの方が危険な分だけもっと稼げるからね」


シャーリンが話した。


「フレイヤはお金をもらって加護をくれるんですね。

私たちのバルダーはそうではありません。

もちろんー、加護を与える使者は決まっているし、

戦いに出るバルダーの騎士たちに与えますが…」


広場を通って回ったところから見えるフレイヤの神殿の前には

多くの人が神殿に入るために列に並んでいた。

入れない人たちは神殿の前で神殿を眺めながら両手を合わせて頭を下げていた。

フレイヤの神殿は空高くそびえる白い柱の上に赤い屋根が覆われており、

屋根の下は黄金で美しく飾られていた。


神殿の屋根の上には消えない炎が燃えていて、その炎は危険が近づく時に高く燃え上がるという話があった。

神殿の左右には水が流れ、美しい庭園に囲まれており、香りの良い花が咲いていた。


そして、神殿の深いところには《フレイヤの心臓》と呼ばれるフレイヤの魔法石が保管されており、フレイヤの魔法使いたちと戦士たちが守っているらしい。

いくらかのお金を出して神殿に入り、その魔法石を見て祈れば【フレイヤの加護】が受けられるという。 加護の魔法がどんな効果を与えるのかは人によって違うようだった。


ある人は力が強くなり、ある人は熱い火に触れても熱く感じず、病気の人は健康になることもあった。


このような人々の話が広まり、神殿を訪れる人々でこの広場はいつも賑わっている。

私はフレイヤの神殿に背を向けて通りを歩きながら独り言を言った。


「オードが見たら、全部燃やしたかっただろうな」


ガングラードの北口を通ってからはフレアが先頭に立った。

フレアは私たちを見て力強く話した。


「よし!私について来て!

昨日聞いた情報通りに行けば、

夜になる前には北の森に到着するよ」


道に沿って少し歩くと北から来る馬車が私たちの前を通り過ぎた。

フレアは目を丸くして話した。


「北の村から来る馬車だね。

うわぁー。馬車の飾りが華やかだ」


馬車には疲れてる冒険家たちが揺れる馬車の後ろに座っていて、

内側には何か分からないものがいっぱい入っていた。


私は馬車の上に見える模様を指差して話した。


「あれは魔法使い一族の馬車みたいだけど。

へーニルの魔法使い一族で起用した冒険家たちと採掘者のようだね」


フレアがわくわくしながら話した。


「魔法使いの一族は優れた冒険家に【魔法が込められた武器】も与えると聞いてる。 彼らも使っているかな?」


「そうねー、フレアも興味あるの?」


「ああ、うんー、私の周りの冒険家たちはどうすれば有名になって、

魔法使いの家で働けるかどうかだけ考えていたよ。

だけど私は、昔話で聞いていたものを直敵見て、経験したくて冒険家になったの。

多くの冒険を経験した.. うんー、誰だっけ。

あの..《ポール·エトニー》だったかな…

とにかくそんな有名な冒険家になりたいんだ。

ローレンは遺跡には行ったことある?」


「直接行ったことはまだないよ。 学校にいる時に遺跡について勉強はしたね。

シードホートの魔法使いたちは必要なものがあれば、

自分たちが直接行くよりはギルドを通じて冒険家や採掘者たちに依頼を任せるの。

あ、もちろんたまに自分で行く魔法使いもいるよ。

私の師匠のノーブルも若い時にはよく行ったと言ったね」


「最近、遺跡の東側では白いドラゴンが現れて冒険家や採掘者を

攻撃して宝物を奪う事件が起きているらしいよ。

ドラゴンはやっぱり直接出会ったらすごく怖いだろうね?」


私は驚いて話した。


「ドラゴンがずいぶん弱くなったね。

冒険家とか採掘者の宝物を奪ってね。

ヘル、後で時間があれば倒しに行こうねーー」


フレアは驚きながら話した。


「ロ、ローレンとヘルはドラゴンと戦ったことがあるの?

二人はそんなに強いの?」


私は笑いながら話した。


「冗談だよ!でもすることが昔話のドラゴンと比べるとしょぼいから言ったの」


私たちはそのように話しながら北の森に向かって進んでいた。

しかし、時間が経つにつれてフレアは言葉がなくなって焦っていた。

日が私たちの頭の上に登った頃には、

自分が道を見つけられないことを認めて頭を下げて私たちに謝った。


私はフレアに話した。


「大丈夫よ。町で道を探すのは私が得意だけど森やこういう自然の中ではヘルが道をよく案内してくれるの」


フレアは頭を下げながら話し続けた。


「申し訳ありません。すみません」


日が赤く染まる頃になって私たちは北の森に入った。

高くてびっしりとした木々の間に黄金色の日差しが入ってきており、

強い草の匂いが漂っていた。

森の中で道を探すのは立派な狩人や経験豊かな旅行者なら難しくないだろうが

フレアはどうしてもそれほど経験がないようだった。


森に入ってもう一度自信を持ってフレアが先頭に立ったが、

しばらくして結局森の中でもヘルが先頭に立って道を探した。

私たちは森に光が消えていく前に今日寝る所を探してフレアは急いで狩りに出た。


(道を見つけられなかったことでまだ気を遣っているのか。

別にいいんだけどな。期待してなかったし)


そんな彼女についてヘルも狩りに出た。


「ふんー、私と一緒に旅しながら

一度も狩りを手伝わなかったあのヘルが助けに行くね。


あ、もちろん私が川沿いで魚を捕まえようとして溺れた時は助けてくれたな。


まあ、あの二人なら食べ物は問題ないかな。

シャーリン、私たちは木の枝でも拾って周りの整理をしようか?」


シャーリンと私は森の中で乾いた枝を拾い、おいしそうなキノコも採集した。

木々を重ねて火をつけると闇と寒さが消えて暖かい気運が

木が燃える匂いと共に周辺をいっぱいに満たした。


<ドーン>


シャーリンが背中につけていた盾を何気なく下ろすと大きいが低い音が響いた。


シャーリンは驚いて話した。


「あ、すみません」


よく見ると、丸い盾だと思っていたのは【鉄でできた平たいファン】だった。

私は手でファンを持ち上げようとしたが、重すぎた。


「これは盾だと思ったのに、料理用の鍋なの?」


シャーリンは鍋を軽く持ち上げて地面に気をつけて置いて、

私が見た中で一番明るく笑いながら話した。


「はい。これさえあればどこでも温かい料理が食べられますよ」


しばらくしてヘルとフレアが戻って来たが、

フレアがヘルの後ろから固い顔で少し距離を置いて歩いてきた。


そして驚いたウサギがぴょんぴょん跳ねるように私に近づいてきて小さくささやいた。


「え、え、知ってた?

へ…へ…ヘルは…

えーえ..エルフなんだよね?

吟遊詩人たちの歌と物語に登場するエルフ。 そうでしょう?」


私はしばらく考えてから話した。


「あ、そういえば話してなかったね。

しかし、フレアはよくヘルがエルフだと気づいたね」


フレアはシャーリンを見て叫んだ。


「ヘルがエルフだって!

シャーリンも知ってた?」


シャーリンはヘルから狩りから持ってきたものを受け取りながら

立ち止まってヘルを見上げながらゆっくり話した。


「いいえ。

ヘル様はエルフだったんですね。

でも、話さなければ誰も分かりませんね」


私はシャーリンを手伝いして料理の準備をしながら話した。


「そう、エルフに憧れていたり、

エルフに多大な関心がないほとんどの人は、

自分たちの周りをエルフが通っても知らないだろうね。

私たちが話で聞いた姿とあまりにも違うじゃん。

特にヘルはね」


ヘルはいつもの真面目腐った顔をしてフードを脱いで話した。


「君たち人間は目に見えるものに依存しすぎてすべてを判断しているようだ」


フードを脱いだヘルの髪の毛は短髪の黒で、

肌は暗くて青白い灰色を帯びていた。 耳が少し尖っているが、

路上でヘルに会っても彼がエルフなのか気づく人はいないだろう。

私たちが話で聞いて知ってるエルフは日光のように輝く髪の毛をなびかせ、

美しい容貌に明るい肌の色を持っているためだ。


そして、このように【真面目腐った表情】で人を眺めて話さない。


ヘルのあのような表情は敵にとっては危険かもしれないが、

隣に一緒にいる私には腐った木の幽霊と一緒にいる気分だった。

フレアはまるで幻影を見たかのようにヘルを見て、

私を交互に見ることを繰り返した。 聞きたいことが多そうに見えたが、

フレアはまた何から聞けばいいのか分からないようにぼんやりと眺めていた。


シャーリンも驚いた様子だったがヘルとフレアが持ってきたもので

急いで食事の準備をしており、特に何も言わずにたまにヘルを眺めるだけだった。


私は香ばしいキノコの香りがする温かいシチューを食べて、

フレアが寝返りを打つ音を聞きながら眠りについた。

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