4. 黒い煙

私は手を上げて振りながら言った。


「魔法使いが素質のある子供を無理やり連れて行くのは初めて聞いたな。

彼らが本当に《シードホートの魔法使い》なら

当然、子供たちの保護者に正当な代価を払うし、

行きたくないと言う子供は無理に連れて行かないよ」


なぜなら、シードホートの魔法使いになりたいという人が

毎日のようにシードホートの魔法学校に集まってくるからだ。


本当に多い。


朝起きて授業を受けに行く途中に外を見ると、

朝から大勢の人が学校の扉の前で待っている。


その中で本当に素質がある人は魔法学校に堂々と入学できるが、

素質がない人はいくら多くの財物を持ってきても入学させてくれない。

ほとんどの魔法使いたちは財物に関心がないからだ。

ある日は数多くの財物と自分の部下たちを連れてきて、

自分の子供を魔法学校に入れろと叫びながら命令する人がいた。

当然素質がなかった子供を見て魔法使いは丁重に断って扉を閉めて入ったが、

彼は怒って部下たちに扉を壊させと命令した。

結局、魔法使いにひどくやられて逃げた。


私は毎日他の魔法使いたちがどんな魔法で人を追い出すのか

それを見るのが好きで毎朝眠い目をこすりながらも廊下に出て見たりした。


「そして、ヘーニルの魔法使いなら、

外部の人をそのように連れて行くことはしないよ。

彼らは自分たちが使う魔法を外部に知らされないように

秘密裏に守っているからね。


魔法石や破片も代々自分の子供たちにだけ受け継いでいる。

シードホートの魔法使いたちが使う魔法と違う魔法を使ってると聞いたが、

私も彼らがどんな魔法を使うのか気になるが私が見た本には書いてないの」


シャーリンは私の話を聞いて何か思いついたのか、

私の話が終わるのを待って話した。


「オリーが隠れてヒルダが連れて行かれるのを見たと言いました。


ところがヒルダを捕まえて人が門に入ったら門が消えたそうです。


それでオリは他の子供たちと一緒に門があった場所に走って行ってみましたが、

そこには木の壁だけがあって建物に入る門はなかったそうです。

驚いたオリーが私のところに戻ってきて話したので、

私も行ってみましたが、そこには本当に壁しかありませんでした。


そこは私たちも知っているブレッド爺さんが住んでいますが、

その方は体を起こすのも大変でいつも家で一人でいらっしゃいます。

家を訪問してみたのですが、いつものように一人でベッドに

横になっていました」


(門が消えた?)


門が消えたと聞いて私はヘルを見た。

ヘルも私を見てうなずいた。 私は自分たちが探しているものと関係が

あるのではないかと少し興奮して話した。


「ふむ。壁に門ができて、なくなった。と?

ほう。 それは本当に不自然なことだね。

魔法使いとしてそんなことはただ見過ごすわけにはいかないね。

よし!まずその子が消えた場所に私たちを案内してね。

私とヘルが行って確認してみるよ」


その時、私のそばで力はあるが少し震える声が聞こえてきた。


「ちょっと待って!魔法使い!」


首を回して横を見るとそこには太陽のように輝く赤い髪を

なびく少女が手を伸ばして私を指していた。

彼女は古びた灰色のマントの後ろに大きな剣を背負い、

何か決意を固めたような顔でこちらを見ていた。

そして照れくさそうにシャーリンとヘルを一度ずつ見て、

再び私を見ながら話した。


「オードの家での勇気あるあなたの行動、よく見た!

私もオードのね…めいー盟約に従って手伝う!

悪いけど君たちの話は横でぬ、ぬ…盗み聞きした。

人を探しているって? こう見えても人探しなら自信あるよ!」


(この人、大丈夫?)


これはどういうことかと思い、赤い髪の少女を見ながらしばらく考え込んだ。


気まずい沈黙を破り、シャーリンは両手を合わせて頭を下げて嬉しそうに挨拶して話した。


「私はバルダーの使者、シャーリンです。

私は魔法使いたちに捕えられた子供を探しています。

この方々は魔法使いのローレンとヘルです。

まさに今、この方々も手伝ってくださると言っていました。

こんなに助けてくださるなんて本当にありがとうございます」


私はシャーリンを見ながら話した。


「シャーリン、《魔法使い》が連れて行ったのかそれはまだ分からないよ。

そして、これはもしかしたら危険なことになるかもしれないの。

助けが必要なのは分かるけど経験が少ない人はむしろ後で荷物になることもあるよ。

大丈夫なの? 」


私より少し大きく見える赤毛の少女は私を見下ろしながら怒って話した。


「わ、私はフレア。

後日有名な冒険家になって私の名前を知らせるのが私の夢だ!

まだだけど、だからといって私は冒険家という名前の後ろに隠れて

何もしない臆病者ではないよ!」


私はシャーリンを見て話した。


「シャーリン。あなたの依頼だよ。

私たちは私たちの仕事さえすればいいから構わないよ」


シャーリンは私たちの前に進みながら話した。


「じゃ、皆さん助けてください。

すべての人が頭の役割をするわけではありません。

誰かは手になり、誰かは足になって一緒に動いてこそ、

一体となってきちんと動くことができますからね」


まず、私たちはシャーリンに付いてオードの家の方向に元った。

オードの家の横から通り抜けて人通りの少ない路地に入った。


そこは騒々しいし明るい雰囲気の外の道とは違って

静かで暗い雰囲気の道が広がっていた。

通りにはみすぼらしい身なりの人々が地面に座り込んでいた。


(ふんーガングラードにもこんな所があるのか。どこも同じだな)


彼らは彼らの前を通り過ぎる私たちを暗い目で見た。

シャーリンは彼らを見て明るく挨拶して彼らもシャーリンに両手を上げて挨拶した。


泥と土でできた道の間には傾いた木で作られて隙間があり、

壁に扉もなく古い布で覆われている小屋がぎっしりと立っていた。


ある小屋の中では子供の泣き声が聞こえてきて、

また、ある小屋の中では大人たちが口喧嘩する音が聞こえてきた。


もう少し道を歩いていくと子供たちの騒ぐ声が聞こえてきた。

狭い路上で遊んでいた子供たちはほこりだらけの服を着て

地面に座って小さな石をおもちゃにして遊んでいた。

通りかかった私たちを好奇心に幼い目で見守っていた一人の子供が

自分が持っていた石を捨てながらシャーリンに向かって走ってきた。


「シャーリン!どこ行くの?」


シャーリンは近づいてきた子供の手を握って歩きながら答えた。


「こんにちは、マチルダ。

朝、君たちと遊んでいたヒルダが消えたところを

この方々とまた行ってみようと思ってます」


シャーリンと私たちを見た他の子供たちも大声で叫んで走ってきた。

子供たちは私たちの周りを囲んで大声で叫んだ。


「俺たちが知っている!

ヒルダを連れて行った悪い奴!」


私はその子を見ながら話した。


「その人たちがどんな姿をしていたのか覚えているの?」


子供たちはみんな自分たちが知っていると大声で叫んだ。


「背が巨人のように大きい!」


「いや!ドワーフみたいに小さい!」


「違うね!見たけど本当に太ってた!」


「ヒルダを捕まえた腕を見たが、

こんなに厚くて腕に黒い染みがあったよ」


「ヒルダを捕まえた悪いやつを私がこう足で蹴ろうとしたのに

私を押したの! 今度見たらお尻を蹴ってあげる!」


シャーリンの腕を握っていたマチルダは私たちを見ながら話した。


「ヒルダを連れて行った悪い奴らからヒルダを連れ元してください。

ヒルダがいないと面白くないよ」


「そう、ヒルダは喧嘩に強いよ!

もちろん俺よりは弱いけど、そして面白い。」


フレアの後をついてくる子供が叫んだ。


「わあ、本物の剣だ」


一人の子供がフレアの手を握って見ながら話した。


「赤毛の剣士さん、私もその剣を振り回してみたいです」


別の子供は腕を振り回しながら話した。


「俺も力が強くなって早くそんな剣を振り回す剣士になる!」


フレアの後を走ってついてくる子供は息を切らしながら話した。


「じゃあ、私は遺跡で魔法石を探す人になるよ!

見つけたらすごく金持ちになるって!」


一人の子供が私のそばを歩きながら私のカバンをじっと見つめていた。

私はカバンを開けて飴を取り出して子供たちにあげた。


初めて見る飴をもらった子供たちは目を輝かせながら私を見た。

私が口に入れる手振りをしたらそれを見た子供たちは飴を慎重に口に入れた。


そしてしばらく静かになった。


<チリンチリン>


路地を曲がるとヘルの手首から冷たいが神秘的な音が風に乗って聞こえてきた。

シャーリンに付いて目の前に見える建物に近づくほど小さな風の音は

激しい風が木を揺らす音のように大きく響いた。

一人の子供がシャーリンの後ろに隠れながら話した。


「怖い」


他の子供は周りを見回して話した。


「うぅ、この音は何? 不気味だよ」


一人の子供が後ろに隠れると私たちについてきた他の子供たちも

驚いたのか叫びながらシャーリンの後ろに隠れた。


シャーリンの後ろに隠れた子供が話した。


「あそこ。あそこだよ!

悪い奴らがヒルダの腕を引っ張ってもダメだから、

ヒルダをさっと持ち上げて動けないように掴んで門の中に入ったの」


「そうだ!そしてぱっと煙が出て、さっと消えたよ」


「そう、さっと消えた」


「そう、そう。 すごかったよね?

魔法のように消えた。

なくなった後、俺が足で壁をパンパンと蹴ってみたけど、

何もなかったよ」


一人の子供は悲しそうな顔をして小さくささやいた。


「私も魔法使いになりたかっけど、私は連れて行かなかったよ」


私はその子の頭をなでてカバンから飴をもう一つ取り出してあげた。

飴を口に入れた子供の悲しかった顔はすぐ明るくなった。


ヘルはもう少し近く壁に近づいて腕を上げながら壁に向かった。

そして、意味が分からない言葉を低く吐き出していた。

彼の腕には薄い糸で編まれた腕輪が巻きつけてあった。

銀色に光る腕輪についた小さな平たい鈴が揺れながら音を立てていた。


鼻水をすすっている子供は手で壁を指差しながら話した。


「あれ、あれだよ、あれ。 シャーリン、私たちが見たのはあれだよ」


その瞬間、壁から風が立って風は黒い煙になって吹き出していた。


子供たちはもう怖いものはなくなったのか楽しそうに叫びながら

黒い煙が出る壁に向かって走っていった。


ある子供は再び壁を足で蹴っていてもう一人の子供はヘルを

真似しながら腕を上げ、未知の言葉をつぶやきながら叫んでいた。


一人の子供は鼻をふさいで苦しい表情をした。


シャーリンは子供たちに向かって叫んだ。


「みんな!危ないからこっちに来て!

ヒルダのように君たちも消えるかもしれない! ニール!

ブレッドのおじいさんが驚くでしょう!

足で人の家の壁を蹴ってはいけません!」


子供たちはその言葉に驚いた目で再び走り、シャーリンの後ろに隠れた。

黒い煙が大きな風の音を立てて壁に沿って空に上がっていた。

私はこの光景を以前にも見たことがあった。


そして、それは私がヘーニルに来たある目的と関係があった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る