第5話 初めて見る世界

「(早くここから出しなさいよ!)」

勝手に人の体に乗り移ろうとしたくせに、体の所有権は手に入れられなかったらしい

が、まだ何がなんだかわからない。

倫理観がぶっ壊れていた私でも非現実的な現象に少し戸惑っていた。


「もう一度聞くがお前は何者だ?。」

「あなたが先に答えるのが義理じゃないのかしら」


心の中での会話を図り、やっと話してくれるようになったが、心を開いた訳では無い慎重に行かなくては、


「私の名前は 永井 雅義 23歳だ。

 現世では、気に食わない奴らをただただ殺してた殺人鬼だ。」


「そう、知ってる。だからあなたを選んだの。」


「はぁ?」

知ってるくせに無意味なことをさせるなよクソガキ

一度やられてはいるが、やっぱり腹が立つ


「私は、アビよ、アビ・スワルカー 冥界から生まれし、最高最悪な ”死神”

 にして異世界を巡回し理不尽な死を与える殺人鬼とでも言おうかしら。」


「お前が、死神だって!?

 にしては、あまり強くなさそうだったけど、」

異世界を巡回している死神にして俺と同じく殺人鬼、私のイメージしていた死神

と全くの別物だ、大きな鎌さえ持っていないのだから


「舐めるんじゃないわよこがっぱが、これでも数世界を潰したことがあるの、」

「俺は、こがっぱってほど若くはない」

「へぇ〜、まだ22歳なのにか?」

「23だ、」

「どうでもいいわよ、私からしたらまだ赤子のような年齢よ。」

「そうか、ならお前は年がいってる割には頭の中はまだ赤子だな。」

「はぁ!?こがっぱがなんて口の聞き方するのよ?」

「グサッ//」


床に溶けていた血が、私の腹部を狙って襲いかかり激痛とともに、

血のナイフが腹に突き刺さっていた。まだこの力は使えたらしい


「安心してだいぶ痛くっても死にはしないわ、私が死なせないもの」


「うっ、わかった、悪かったって」

慎重に動こうとか思っていたのについディスってしまった。


「まあいいわ、もうすぐこの生製空間も閉じるでしょうし。」


「そうなれば俺たちはどうなるんだ?」

生製空間とはこの真っ暗な空間のことだろう周りは、飛び血で少し汚れてはいる


「どっか適当な異世界に飛ばされるわ、

 どこであろうと私はいいのだけど」

「それと一つ約束して頂戴、あなたに私の力を貸してあげる。

 その代わりの私から依頼を果たして頂戴。あなたに拒否権はもちろんないわ」


嫌がればまた暴れだすだろうし、彼女と中立を保てれるのなら言うことを聞いておいても悪い気はしない。


「わかった。」

「話が早くて助かるわ。

 じゃあまた新たな世界で、会いましょ。」


彼女がそう言うとあたりが急に明るくなり、

視界は真っ白に包まれた。



「んんっ、夢だったのか?」

目が覚めたとき私はベットで横になっていた。

しかしそこは見覚えのないガッツリ木材の部屋だった。


とりあえず周りの様子を確認しようと窓の奥を眺めると


それは、”初めて見る世界”だった。














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