第4話 異世界の死神

「俺は、死んだんだよな」

変な死に方をしたにも関わらず、死を受け入れていた私がいた。

しかし私の死はあるものに否定された。


胸の痛みが消えていて私は暗闇の中、目を覚ました。

夢にしては、感覚が残りすぎてる。でもここは私が知ってる場所ではない、

あたりは真っ暗で、でも自分の姿ははっきりと見えていた。


「やっと目が覚めたか、このくらいの傷で大げさな」


後ろを振り向きとそこには、14歳ぐらいの少女が不気味な笑みで自分を眺めていた。


「えっ、お前は何者だ?」


少女は赤いワンピース姿で右腕には赤い宝石がついたブレスレットを付けていた

髪は肩まで伸びていて、綺麗な黒い色をしている。

彼女の右手には真っ赤なナイフが見えた。


「わたし?お前に教える義理はないわ」


まあ誰であってもどうでも、いい私はそう思っていた。

「お前は何がしたいんだ。」

唐突に聞いても答えてくれないと思ったが、彼女はすぐにこう言い放った。


「私はお前が気に入ったの、だから少しの間お前の体を借りたいのよ、いいでしょ」


わがままなガキみたいだ、子供は殺すまいと思っていた俺が生きてきた中で14人も殺してしまった子供の人種だ。

こいつが何を言っているのか分からないが今の状況に至った元凶はあいつだろう、

俺が死んだときに左手に持っていた真っ赤なナイフと彼女が持っているものが同じことから、自分を殺した相手は、彼女だと私は認識した。


「もしかして俺を殺したのも、ここに連れてこさせたのもお前か?」

「わたし以外に誰がいるって言うのよ。」

「そうか、なら死ね」


実質殺しは辞めると言ったもののこいつは放おってはおけないと思ったのだろう武器がなくてもガキは拳で十分だと思い私は少女に向かって殴りかかった。


「生き生きとしてていいわね、でもお前に私は殺せないわ。」


そう言うと少女は真っ赤なナイフを前に突き出しそしてナイフから手を離した、

赤いナイフは落下せずそのまま前方に急激に加速し、わたしの肩をかすらせた。

夢ではなかったようだ、かすれた場所から血が滴りちゃんと痛かった。が、

それでも私の歩みは止められず、私は彼女の顔面に強烈な一撃を与えた、

つもりだった。


「何だコイツ、硬え」


パンチによって怯むことなく彼女は、両手から生み出した血から赤いナイフを作り出し、私の右腕を根本から切断した、


「なっ!!」


腕の切り口から大量の血が飛び散ったがその血は、宙で止まり

そのまま一点に集まりついには、私の血でできた赤いナイフが完成した。


気づけば自分の血のナイフは、私の額に刺さっていた。

強力な激痛が襲うが、何故か死にはしなかった。


「普通の人間に比べたら実力は高いほうだわね、まあ、その体は私が使うんだけどね。これでやっとこんな狭い場所からおさらばできるわ」


そう言うと彼女は、立ったまま動けない私のもとに近づきそのまま彼女は私の体の中に入った。すると、右腕はすぐさま再生し傷という傷は全て治ってしまった。


「これはこれでまあまあな居心地ね」

私は、自分の意志とは関係なく言葉を発していた。彼女が本格的に私を乗っ取りに来たのだろう。だが私は、まだ体を自由に動かせるようだった。

何なら傷を直してもらっただけだ。


「(何よ、おかしいじゃない!!)」

彼女もついには私の心の声とでしか話せなくなった。

よくわからないが、良い方に進んだのだろう。

血のナイフが溶けている様子を見ながら私は、状況を整理した。



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